日々の恐怖 10月6日 一軒家(7)
私には兄がいる。
兄と私は異母兄妹で、前妻の子が兄、前妻が亡くなってやってきた後妻の子が私だ。
6歳上の兄は中学卒業とともに、前妻さんの実家に跡継ぎとして養子に出され、以来、4年に1回ぐらいしか会わない。(私の誕生日祝い等のお祝いは律儀に贈ってくれる関係)
” なんで兄なの・・・・?”
又聞きだけど、兄は大学卒業後、前妻の家業である小さな商社の跡を継いでるはず。
父は、
「 いいから、詳しいことは兄さんに聞け。
そういうのは俺は全然わからないけど、あいつは詳しい。」
と言った。
兄に今までのことをメールすると、一度、現地を見てみようということになったのが、梅雨の終わり頃だった。
梅雨明け宣言ほぼ同時に、兄がバイクでやってきてくれた。
ちなみに、兄の見た目は竹内力とかホタテマンみたいな感じ。
それがバイクで来るから、かなり怪しい。
敷地内にバイクで乗り込んできたと同時に、兄は、
「 いやあ、こんなところによく住めるな・・・。」
と大笑い。
どういう意味かと問うと、
「 ここは近所のモノノケの吹き溜まりになってるんだよ。」
と宣った。
兄によると、
” 大昔、ここらは雑木林だったはずで、それを拓いて田畑にしたんだろう。”
と言うことで、
” 家の裏手にある雑木林が、それまで住んでたモノノケの最後の棲家で、おまえらが邪魔なんだよ。”
と説明された。
「 なんで、そんなことがわかるの?」
と問うと、兄は、
「 なんとなくだな、なんとなく。」
で終了した。
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