日々の恐怖 1月25日 足(2)
同じ先輩がやはり小学4年生晩秋の頃に体験した話です。
その日は風邪気味で学校を休んでおり、自宅の2階にある自室で布団にくるまっていた。
ぼんやりとベッド横の窓から外を眺めていると、家の前にある道に、
喪服のような黒い服と帽子をまとった髪の長い女性が、俯いて立っていることに気がついた。
何故かその女性のことが気になり、彼女はベランダに出ていった。
なぜそのようなことを考えたのか、後になって振り返ってみてもよくわからないという。
すると彼女がベランダに出ると同時に、その女性がふっと顔をあげた。
その顔は雪のように白かった。
比喩ではなく本当に肌が真っ白だったのだ。
そしてつぶやいた。
そのつぶやきは離れているはずの彼女にもはっきり聞こえたという。
「 足が欲しい。」
気がつくと彼女は部屋で倒れていた。
時計をみると気を失った時から2時間ほどたっていた。
ちなみに、その先輩は今でも五体満足で生活している。
また20数年の人生の中で、手足を失うような病気や事故が起きたこともないという。
彼女が幼い頃に遭遇したものがなんだったのかは未だにわからないそうだ。
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