日々の恐怖 4月22日 ワイの話(6)
妹は小さい時、舌ったらずな話し方だった。
何度教えても『ヘリコプター』を『へこぷたー!』と言ったりしていた。
ある日、家で妹と遊んでいると急に妹は怯えて怖がり、泣き出した。
人形を使ってヒーローごっこをやっていた最中、悪者役の怪獣(妹)が途中で抜けてしまったので、ヒーロー(ワイ)は激おこだった。
ワイは、
「 続き、はよやるぞ!」
と妹に怒鳴るが、妹は怖がって泣くばかり。
「 何が怖いんだよ!?」
ブチギレて妹に問い詰めると、妹は窓を指差す。
「 ぼうしをかぶったひとが、こっちみてるの!!!」
ワイも窓を見る。
窓は閉まっていて、外の様子はまったく見えない。
でも妹は窓を指差し、泣き続けている。
ワイはすぐに妹の手を引いて、ダッシュでマッマのいるキッチンへと移動した。
ワイはすぐ、マッマに、
「 誰かが窓から覗いている。」
と話し、外を確認して貰う。
再び遊んでいた部屋にマッマと戻ると、マッマは人影さえ映っていない窓を見て、
「 誰もいないから大丈夫だよ。」
とワイと妹の頭を撫でた。
安心させる為にマッマは窓を開け、
「 誰もいないから大丈夫!」
と再度、説明してくれた。
後日、テレビを見ている妹が、
「 あ~~~~!」
と声を上げた。
「 へんたいさん!へんたいさん!」
興奮した様子で、テレビに映る軍服を着た人を指差す妹。
「 このまえ、まどからみてたひと!」
ビビりのワイは、それから暫く、窓に近付けなくなった。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ