一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

山本周五郎 「さぶ」

2005-03-18 | 乱読日記
最近帰宅後もblogにライブドア問題ばかり書いてテンション上がり気味でいたので、
通勤用図書くらいほっとしようと、山本周五郎の「さぶ」を読んでいた。

時代物は周期的(それもごくたま~に)に読みたくなるので、藤沢周平をまとめて読みしたり、吉川英司の「宮本武蔵」「三国志」を一気読みしたりした。
司馬遼太郎は思い出したように作品ごとにつまみ読みしている。

でも、山本周五郎は今まで読んだことがなかった。
文学賞の名で知っていたが、「時代物、人情物」というイメージで、ちょっと敬遠していた感もある。
吉川英司の「講壇・説教口調」にあまりなじめなかったこともあり、「大家」をひとくくりで敬遠していた部分もある。

ところが、何ヶ月か前に高橋源一郎がどこかの雑誌の対談で「病気のときとか山本周五郎を読みたくなる。癒されるんだよね。」
と言っていたので、試しに読んでみた。


これが、とてもいいんですね~


登場人物に対する愛情、深い人間洞察にあふれ、しかも語り口が自然で軽妙、さらにストーリーの展開も自然、と
「米の一粒一粒が立ったご飯」のような小説です。

あえていえば、「上手すぎる」とも言えますが、ケレンを感じさせないのは、晩年の作品のせいか。

元は週刊誌の連載(昭和38年!)だったらしいけど、ストーリー展開に冗長さや破綻がなく、しかも意外な結末までうまくまとまっています。



含蓄の深いフレーズもいっぱいあります。


『「何かが始まると」と云いかけた栄二は、大きな咳をして、組んだ腕を解き、片手で膝を撫でながら云った、「---それを終らせるのは容易なこっちゃねえな」 』


『「・・・栄さんは頭がいいから、あたしの云うことなんぞ可笑しくもないだろうが、どんなに賢くっても、にんげん自分の背中を見ることはできないんだからね」 』



ホリエモン、聞いてるかい?(って結局それかよ・・・)
  ・・・というより、今や日枝君に言ったほうがいいかも・・・



さぶ

新潮社

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コメント
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