一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ここからが勝負だ、ホリエモン! (フジテレビvsライブドア その14)

2005-03-28 | M&A
ソフトバンクインベストメンツへの貸し株と新たなヒールキャラ(しかもボスキャラ風の)北尾氏の登場で、マスコミの報道も「ホリエモンもこれまでか」という雰囲気になっている。

① ライブドアはMSCBを発行してニッポン放送の株式の過半数を持つに至った
② しかしニッポン放送の保有するフジテレビ株式はSBIに5年間(H22.4.1まで)の契約で貸し出された。
③ したがってホリエモンはニッポン放送保有株式を通じてフジテレビへの影響力を行使する事はできなくなった
③ SBIとフジテレビ・ニッポン放送は共同出資によるファンドを設立する
④ したがって、ホリエモンのフジテレビ買収の野望はもとより「メディアとネットの融合」もSBIというトンビに油揚げをさらわれた格好になっている
⑤ もはやホリエモンには北尾ボスキャラに頭を下げて、(もちろんフジ主導になる)提携に一枚入れてもらうニッポン放送株を買い取ってもらうしかない。


ということだが、本当にそうだろうか?

①~⑤を違う角度から捉えなおしてみるとこういう見方もできないだろうか


A ライブドアは依然としてフジテレビの子会社
B 貸株はあくまで貸株なので、5年経てば返ってくる
C 貸株のコストはSBI負担
※ 契約内容は不明だがさすがに配当だけで議決権を行使できる対価がタダだと代表訴訟ものなので、何らかのコストはかかるはず
D SBI社はファンド組成ビジネスなので、投資効率を追求する(しないといけない)
E 今回はおそらく、ホリエモンの株式を損の出ない程度の金額でフジテレビ(または親密な持ち合い先)に買い取らせる仲介手数料で稼ごうというのが狙いではないか
※ 上記ファンド設立の説明資料も(急いでいたことを割り引いても)通り一遍の作文(ホリエモンの「融合」と同程度の呪文風)だし、ファンドはフジを巻き込んで立ち上げてしまえば、株を借りている意味はないと思うので

このシナリオどおり行けば、SBIのぼろ儲け(貸株もとっとと返せるし)でフジテレビとライブドアは痛み分け、ということになる。

しかしもうひとつ
F 一方で、MSCBを発行して自社の株式を希釈化させてはしまったが、ホリエモンは5年待つのにコストはかからない(どうせ配当してないんだし)
という要素がある。

つまり、ホリエモンは北尾氏との会談で「5年間でニッポン放送を立派な会社にしますから、そこで株を返していただければ、フジテレビさんも業務提携に応じていただけると思います。それまでよろしくご指導ください」なんてとぼけたことを言ってみるのが、北尾氏にとっては一番痛いのではなかろうか。

そこで「いやいやキミは世の中がわかってない」とか言われるだろうけど、所詮SBIも短期のフィー稼ぎが目的なんだろうから、ホリエモンが真面目(インベストメントバンカー風に言えば「馬鹿正直」か?(笑))にニッポン放送の親会社になっていい会社にしようなんて思われると困るはず。

とすれば、ホリエモン保有株の買取条件を上げてくるはず。
上がった分はフジテレビの負担だし、取引価格が増えれば手数料も増えるのでSBIには痛くも痒くもないので、SBIはホリエモンと腹の探り合いをするインセンティブはないはずだ。

今回の貸株で実質的にはホリエモンとの交渉を回避してSBIにゆだねたフジテレビとしては、SBIに「いやぁホリエモンもなかなか頑固ですし、ここで買い叩いたら売らないかもしれませんよ」などと言われたら信じるしかない。


つまり、ホリエモンは野球に続いて「トンビに油揚げ」だ、と言われているけど、今回のSBIはトンビじゃなくてハゲタカなのではないか、ということだ。


となったら、ホリエモンと北尾氏が組んでフジテレビを食い物にするというシナリオも十分考えられるんじゃないか?


少なくともホリエモンは、ここでしぶとい所を見せて欲しい。


ここでいきなり弱気になったり負け惜しみだけ言っているようでは、「カネで買えるものは何でも買うけどカネ以外は何もない経営者」といわれてしまうぞ。
コメント (10)
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