マッサージでも健康保険の利く接骨院・整骨院があるのはなぜ?という質問を以前、地元の知り合いの医師にしたところ、柔道整復士の団体は人数が多いので政治力があって、制度として認めさせちゃってるんだよね、ということでした。
そうしたところに昨日のニュース
接骨院・整骨院、保険対象外も請求? ケガ数など不自然
(2008年6月1日(日)03:01 朝日新聞)
接骨院や整骨院で柔道整復師の治療を受けた患者の2人に1人が3カ所以上のケガをしていたとして、健康保険の請求が行われていることが厚生労働省の調査でわかった。1人あたりのケガ数が不自然なほど多く、「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる」との声が業界内からも出ている。
記事本文を見ると 「保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を・・・」とあり、そりゃ俺のことだ、と(笑)(でも僕自身のお気に入りのところは保険は使えません)
また、この記事では06年末現在約9万8700人とあります。
一方厚生労働省のこの資料(HPをざっと検索しただけなのでほかにもっと詳しい資料があるかもしれません。この67ページ。)では平成17年で「一般診療所」だけで97,442件もあります。
とすると人数が多いから、というわけではなさそうです(それとも異様に結束が固いとか?)。
ところで医療法との関係はどうなんだろうと柔道整復師法なる法律を見ると
(定義)
第二条 この法律において「柔道整復師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者をいう。
2 この法律において「施術所」とは、柔道整復師が柔道整復の業務を行なう場所をいう。
(業務の禁止)
第十五条 医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なつてはならない。
(外科手術、薬品投与等の禁止)
第十六条 柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。
(施術の制限)
第十七条 柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。
と「柔道整復」とか「患部」というのが何かというのがあいまいなまま、医師との微妙な住み分けがされています。
この法律が昭和45年施行で医療法、医師法は昭和23年なので、昭和40年代前半に問題化して、結局柔道整復師の団体の主張が通って、免許制のかわりに妙な職業独占が認められ、医療保険という別の制度上は柔道整復師も保険対象とされたということなのでしょうか(ちなみに所得税の医療費控除の対象でもあります。)。
朝日新聞が今後もう少し深堀りをしてくれると、その辺の事情がわかりそうなので、興味本位で期待しています。