一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「いい子にしないとカテリーナ様が来るよ」

2008-06-11 | M&A

6/9付原弘産のリリース
日本ハウズイング創業家資産管理会社による「原弘産を支持する」との意思表明について 

前のエントリをupする前にHPをチェックして置けばよかった(汗))

この意思表明はなかなか格調の高い文章であるとともに、昨今の買収防衛策ブーム(関係者によっては「パニック」であったり「特需」であったりするかもしれません)への問題提起を含んでいます。

・・・ところが、日本ハウズイングから原弘産に対する質問書に始まる質問・回答のやり取りを見ておりましても、あたかも法務・ファイナンスなどの分野の専門家の方々によるような、細部にわたる枝葉末節な論争が目立ち、日本ハウズイングの企業価値を高めていくために本当に必要なこと何なのか、日本ハウズイング現経営陣自身が自社の企業価値を向上させるための将来戦略をどう描いているのか、などの本質的議論がなされていない、いわば“株主不在の瑣末な論争”が行われているように見受けられました。

・・・日本ハウズイングは、本年5月21日の決算説明会で、一連の「買収防衛」のため、証券会社、弁護士事務所等専門家への報酬等約6億円を特別損失として平成21年3月期決算に計上することを明らかにしています。日本ハウズイングの平成20年3月期の当期利益は10億円程度ですから、上記報酬等約6億円は実の(ママ)その6割に相当する額です。上記のような常軌を逸した多額の報酬等の支出が株主の利益になるとは到底考えられず、日本ハウズイング現経営陣の保身のために費やされているとしかいいようがありません。また“対外向けの見栄えのするものはコンサルタントに作成をお願いしたい。”と、事業計画・ビジネスプランの作成など経営の根幹に係る部分まで外注に頼り、経営者が本来業務としてやるべき業務をせず、会社の大事な現金を無駄遣いしているのではないか、と考えています。   

これらのほかに、日頃から経営方針について考えているはずの日本ハウズイングの方が回答期限を守れなかったことなどが辛辣に批判されています(ホント、日頃の行ないは大事ですね・・・)。


もっとも今回カテリーナ社は原弘産の株主提案に賛成する、という意見表明をしただけで、TOBをしたら応じる、とは言っていません。   

カテリーナ社としては、ここで保有株式を売却しても法人レベルで課税されてしまうので、株式は保有したままできれば長期的に安定的な配当を享受するとともに、他の資産運用のための資金調達の担保になってくれればいい、というのが本音ではないかと推測されます。
その意味では、原弘産はカテリーナ社の一次試験は通過したものの、本当に日本ハウズイング社の経営を委ねる相手としてふさわしいか、会社食い物にするのでなく(たとえば「積極的で多彩な株主還元策」が誰のためのものなのか)企業価値向上のために真摯に行動することが期待できるかが問われるのはこれからだと思います。

見方を変えると、カテリーナ社は大株主として大人しくしていたら取締役の地位に安住して経営努力を怠っている現経営陣に対して「お灸」をすえようとしているのかもしれません。
(ということでタイトルはwikipediaのカテリーナ・スフォルツァからとってみました(下から2段落目をご参照)。)  

またはひょっとしたら、カテリーナ社はもう一つ別の経営基盤のしっかりした企業が名乗り出てくれることを期待しているのでしょうか。  
ただ既に泥試合風になった中で、現経営陣のホワイトナイトとして登場するのもあまりイメージがよくないですし、かといって敵対的買収者として登場するのも気が引ける、カテリーナ社を味方に付ければイメージ的にはいいかもしれないがそもそもカテリーナ社と組んで大丈夫?などという不安があるので、ここに割り込んでいくのも度胸がいる話ではあります。

コメント (2)
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