一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

日頃の行いの重要性

2008-06-09 | M&A
その昔仕事上で、資産家から遺産を相続したカタカナ名前の謎の女性、というのが登場してきたことがありました。
だいたいそういうときに限って外国に在住で、しかも代理人と称するどうみても愛人だか詐欺師じゃないかという胡散臭い輩が登場してきます。
そうなると商売としてはあまり深入りはしないのですが、その謎の女性は年齢は60歳だけど全身美容整形をしてどうみても40歳くらいにしか見えないとか妙な話ばかり伝わってきて興味だけが盛り上がった記憶があります(結局ご本人には会わずじまいでしたが)。


さて、日本ハウズイングに対する原弘産の買付提案については、そのうち巡回先のだれかがわかりやすいまとめを(紹介)してくれるだろうと横目で記事の見出しを見ているくらいだったのですが、大株主「カテリーナ・イノウエ」の登場でそれを思い出してしまいました。

ただしこちらのカテリーナ・イノウエというのはれっきとした株式会社で、カテリーナという名前も会社沿革を見ると、同社のマンション(?)のシリーズ名のようです。創業者の井上氏の思い入れのある名前のようです。


株式会社カテリーナ・イノウエの質問書(参照)自体は非常にまっとうな内容です。
日本ハウズイングの経営陣に対しては、原弘産の提案に文句を言っているだけで主体的な経営戦略を感じない(本業の管理事業の利益率の悪化を放置し、開発事業もいきなり撤退)このままでは株価の長期低迷は避けられないので、原弘産の提案に賛成しちゃうぞ、という厳しいトーンです。

創業者が急逝し、大株主の立場になった一族としては、自らの資産価値を最大化する方を選ぶというのは当然の選択であります。
質問書を見ると、原弘産の登場前から開発事業の見直しを経営陣に問うていたのに無視していながら原弘産からの買収提案が来た途端にいきなり撤退を表明するという経営陣の節操のなさも悪印象に拍車をかけているようです。

日ごろの行ないの悪さがここにきて大きく響いいるようです。


一方でカテリーナ社は、原弘産にも氏素性や買収後の経営への関与の仕方を質問しています。
現経営陣がダメで、原弘産が高値でTOBをかけて来たら売却してしまうという選択もあるでしょうが、一族の資産保有会社としては創業者の思いを受け継いで株主の地位は維持したいとか株式を売却しても法人レベルで課税されてしまうので継続保有したほうが経済合理性にかなうという理由で、少数株主にとどまる可能性も念頭に入れているのかもしれません。

質問状に対する両社の回答はこちら
原弘産
株式会社カテリーナ・イノウエからの質問書に対する当社回答書の公表について
日本ハウズイング
当社主要株主からの質問書に対する回答書の送付について

どちらも似たり寄ったりで、目標数字は掲げるものの具体策はあまり明確でありません(そんなものがあれば既にやっているのでしょうけど)。
ただこの「どちらも」というのはけっこう問題です。

最近の買収防衛策のなかには買付けルールとして買収者側に経営政策の提示を求めるものが多くあり、これが論点にもなっています。
会社側は通常何らかの経営計画を立てている一方で、買収者は企業の内部情報を知らない中で経営方針を出せと言われてもそんなに立派なものはできないのは当然で、それを理由に「濫用的買収者」と決め付けるのがいいのか、という話です。
つまり、会社の側は「ホームゲーム」の分有利なのは当然なんじゃないか、ということです。

しかし日本ハウズイングの経営陣は原弘産とどっこいどっこいの経営改善策しか出せず、ホームゲームの利点を生かしきれていません。
そこにカテリーナ社の(長年の)不満もあるんでしょうね。


ということで、依然として日本ハウズイング側が守勢に回っているようですが、どうも要領の悪さが否めない感じがします。
つづきではそのへんを考えてみようと思います。
コメント
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