一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

紙つぶての応酬

2008-06-19 | M&A

もういいや、と思いつつ、たまに見てしまう日本ハウズイングと原弘産のHPです。
この際相互リンクを貼ったらいかがでしょうか(笑)


さて、その後の動きです。

「原弘産グループに対する質問書の送付について」(2008年6月12日)

昨年株主総会決議で導入された買収防衛策(参照)に基づき過去に2回質問書を送付しています。
株式会社原弘産及び井上投資株式会社への質問書の送付について(2008年3月5日)
株式会社原弘産への再質問書及び回答書の送付について(2008年4月1日 エイプリルフールではないようです)
この補足として昨今の不動産会社をとりまく金融情勢を反映して買収資金の調達の根拠についての質問です。


「原弘産らの買付提案に対する社員の意見表明」
(2008年6月13日)

意見書の発信者が「社員一同」とあるのですが、誰なんでしょうか?
労働組合とかなら説得力があるんですけどね・・・

この意見表明を行うにあたって、全国25 部支店、12 営業所のすべてから1,000 名を超える社員の署名とともにお客様やお取引先様の声を踏まえた貴重な意見が集まりました。

とありますが、会社概要によると2007年3月31日現在で従業員4,691名うち「本社員」 1,083名 準社員 3,608名 なので、本社員(いわゆる正社員?)の9割以上の意見が一致したということなのでしょうか。(リスクマネジメント上はそこまで従業員の感性が均一だとそれはそれでまずいようにも思うのですが)
それとも準社員を入れた全社員の1/4の意見ということでしょうか。  
ブルドックソースや北越製紙のときとはちょっと雰囲気が違うような感じもします。


「原弘産のカテリーナ・イノウエに対する回答書に対する当社の見解及び反論について」(2008年6月16日)

これ、そもそも宛先がないのですが、カテリーナ社に対するものなのでしょうか。
そうだとすると「反論」というのが成り立たないと思います。
「(1) 当社のこれまでの事業の取組み」はいいとして「(2) 原弘産のこれまでの事業の取組み姿勢に対する疑問」「(3) 原弘産の提案する「ストックビジネス」の実効性には疑問がある」は、質問したカテリーナ社が判断することです。

そうやって読んでいくと 「(4) 株主の皆様へ改めてのお願い」

あれ??これは株主宛(カテリーナ社を含む、ということ?)だったのでしょうか。
そうだとするなら、上と同じ買収防衛策の一環としての質問権の行使をするのが筋では?


一方原弘産は6月18日に立て続けにリリースしています。

日本ハウズイング株式会社役職員の方々への、当社主催説明会へのご来場の提案について

日本ハウズイングの従業員の方々から、平成20 年6月13 日付で、「当社提案には反対」の旨の意見表明がなされました。これは、当社としては大変残念なことですが、皆様のご意見として尊重せねばならないと認識しています。他方、これまで日本ハウズイングの従業員の方々に当社が直接語りかける場がなかったのも事実です。そこで、一度、そのような提案をする当社のトップの発言を是非直接お聞きいただき、そしてその場で当社に直接皆様のご意見・ご感想を頂戴したいと考えております。

余裕の構えでしょうか。

さらに追い風?
議決権アドバイザー2社による議決権行使レポートについて

この度、機関投資家(生損保会社、年金基金、投資信託などの機関投資家)に議決権行使についてのアドバイスを行う、内外の大手議決権アドバイザー2社(ISS及び日本プロクシーガバナンス)が、買収防衛策発動に関する議案(第5号議案及び第6号議案)につき、日本ハウズイング提案1に反対し、当社側提案2に賛成する、とのレポートを発表したという情報を入手いたしました。なお、レポートの内容についての詳細は、ISS及び日本プロクシーガバナンス株式会社にお問い合せください。

ただこういう他社の非公開の情報をIR情報として流すのっていいのでしょうか?
会員向けのサービスの場合一般の株主はアクセスできないので、真偽が確認できない情報を流しているということにはならないでしょうか。

そして
日本ハウズイング株式会社への回答書の送付について

質問事項3.について当社の財政状態に懸念はございませんのでご安心下さい。これ以上は、取引所規則(適時開示)との関係もございますので、特定先のみに当社の財務状況等にかかわることを回答できませんことをご理解いただければ幸いです。
最後に、繰り返しになりますが、貴社が公表した買収防衛策によれば、既に取締役会検討期間を過ぎ現在は株主熟慮期間でございますので、昨日ご提案申し上げました6 月 21 日の説明会にご出席いただき、直接ご質問等を頂戴できれば、改めて、貴社株主の皆様の面前で、上記回答内容を含めてご説明申し上げます。株主総会も迫ってきており、株主の皆様に有益な情報提供をさせていただく観点からも、質問を書面にて頂戴するのではなく、6 月21 日の説明会へご出席頂き、意見交換等をさせて頂きますよう、重ねてお願い申し上げます。

ここの部分は「蹴たぐり」風な回答です。
資金調達の部分はけっこうネックなのかもしれないですね。

取締役会検討期間については、買収防衛策では

買付者等から情報・資料等(追加的に要求したものも含みます)の提供が十分になされたと当社取締役会が認めた場合、当社取締役会は、対価を円価現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は、原則として60日間を超えない検討期間、その他の大規模買付行為の場合は原則として90日間を超えない検討期間(以下「取締役会検討期間」といいます)を設定します。(下線筆者)

と期間の始期が流動的なので必ずしも原弘産の指摘が正しいとも言えないと思います。ただ逆にそのような恣意的な運用のされやすいルールの合理性が問われるかもしれません。  


また、最後の部分は、対面での対決への自信の現れという以上に日本ハウズイングの取締役の力量が見透かされているように思います。  
確かに今までのドタバタぶりを見ると、シナリオのない本番一発勝負の議論に耐えられる取締役がいると期待するのは難しいかもしれません。

いっそのこと、説明会に出席したものの議論でしどろもどろになってしまい、「こんな取締役を買収後もそのまま留任させようという計画自体、当社の実態がわかっていない証拠だ!」などという自爆テロをする、という手はいかがでしょうか

6億円という報酬額が注目を集め、アドバイザーや弁護士も力量を問われていると思いますが、実は彼らも「大枚はたいても、当の本人がしっかりしていなければどうしようもない」という展開を望んでいたりして・・・

コメント
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