一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

問題はビールじゃなくて

2008-06-06 | よしなしごと

財務省383人、深夜のタクシー運転手からビールや現金
(2008年6月5日(木)20:30 読売新聞)

財務省は5日、深夜帰宅の際に公費で乗ったタクシーの運転手からビールや商品券、現金などを受け取っていた職員が383人いたと発表した。

同省によると、1人が現金を、18人が商品券やビール券などの金券を受け取っていた。残りの約360人はビールやお茶などを提供されていた。

現金や商品券はあんまり上品とはいえない行為ですが、問題はタクシー運転手(会社)が規程の運賃からキックバックしていた点がより違法性が強いのではないかと(国土交通省の職員だとシャレになりませんが(笑))。
それにお茶やビールは無理強いしたのでなければ目くじらたてるほどではないんじゃないでしょうか。
タクシー券利用なわけですから「ご接待」によってタクシー会社の選定に職務権限がないので賄賂でもないですし。
タクシー運転手にしてみれば、割りのいい長距離客を常連として囲い込む、具体的には無線や客待ちでなく携帯電話で直接読んでもらえるようになるためにいろんなサービスを提供するのは自然だと思います。(これがルール違反の営業なのかは知りませんが)
 

「税金の無駄遣い」という見地で言えば、一番の問題はそれほど頻繁なタクシー利用に無駄がないか、ということなのではないでしょうか。 
たとえば終電があるのに電車で帰っているとか、そもそもタクシー券の手数料分無駄なので領収書精算にすればいいとか。 
もっと遡ればそんなにしょっちゅう深夜まで仕事をしている中で無駄な残業代も多いのではないか(タクシー代が出るから残業を助長しているとか)。
さらにつっこめばサービス残業問題なども出てきそうです。  

また、最近はないのかもしれませんが、昔は外郭団体からのタクシー券というのがかなり出回っていたようで、そのへんが間接的に補助金の無駄遣いになっている、という論点もあります。


この問題、取り上げるちょっと切り口が矮小化しているように思います。 
これはわかりやすい「悪者」を作りたがるマスコミの性なのか、長妻議員の話題重視のスタンスなのか、どの辺に原因があるのでしょうか。


ついでにいえば

公費でタクシーを使った時の金品の授受は、民主党の長妻昭衆院議員が全省庁に調査を求め、財務省もこれに対応した。

このとばっちりで、各省でタクシー利用状況の集計を深夜まで残業しておこない、結果タクシー利用が増えた、などというオチもあるそうです。


公務員だってタクシーに乗ってビールを飲みたいから深夜まで残業しているわけではないでしょうから、この問題を契機に、(国会議員からの負荷も含めて)公務員の勤務実態の把握や業務内容の改善に結びつけるような建設的な議論につなげて欲しいものです(「建設的」どころか「破壊的」になってしまうので深入りしないのかな・・・?)。



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国籍法に関する最高裁判決の判決文

2008-06-06 | 法律・裁判・弁護士
昨日のエントリでとりあげた国籍法の違憲判決が早速最高裁のサイトに出ていました(こちら

反対意見が5人(3人と2人に分けて2種類)、補足意見6人、意見1人とかなり議論になったことがうかがえます。

反対意見はざくっと言えば実質論(国籍法3条1項の規定は国の内外における社会的環境の変化等によって失われている、という点への反対や無国籍になるわけではない)と違憲立法審査権の範囲についてのいわば形式論(国籍法は,憲法10条の規定を受けどのような要件を満たす場合に日本国籍を付与するかということを定めた創設的・授権的法律であり、非準正子の届出による国籍取得との関係では,立法不存在ないし立法不作為の状態が存在するにすぎないので非準正子に国籍を与えるのは法解釈の限界を超えている)という二つです。

おそらく国側もこの二つの論点を中心に主張したものと思われ、そちらはそちらで説得力があります。

また、補足意見については結論に至るまでの裁判官各様の考え方がわかってなかなか興味深いものがあります。
裁判官の親子関係と国籍についての価値観が現れているものや、反対意見の形式論に対する法的救済のあり方についての立論などもあり、なかなか読ませます。


また、判決では非嫡出子への差別的取り扱い一般を問題にしているのではなく、国籍を与えるという法的救済をするのが妥当かに絞って議論されているので、昨日書いたように相続分の規定への影響が当然に出るというのでもなさそうです。


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