「夕日」
光に照らされた雪の哀しみ
川の流れにそっと佇むあなたの涙は
草原に靡いた風の囁き
やがてさめざめとその白い両手で
人の命を摘み取る時が来るのなら
快楽は溢れる涙のように
シトシトと止む事のない村雨さながら
鼓動に刻み込まれる罪の意識を
冷酷な聴衆達の蔑みの視線を受けながら
石のように冷たくなった身体を引きずり
途方もない帰結を望むように彷徨い行くのだろう
面目は潰れた玩具に伸びる陰影のように
果てもない途に跪いた老婆は
返る事のない旅人の憂愁を感じながら
その渇ききった瞳を伏せるのだろう
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靡いた→なびいた