「滑稽な芝居」
追憶の激しい嗚咽に咽びながら
崖をよじ登る事に懸命な老人に
鞭打つ雨は、心成しか在り来りな
紙芝居に思えて、幾ばくか、滑稽な
寸劇にも見えてくる
芳醇なワインを飲むような
喉に通る哀しい愛染に浸された欲望に
艶めかしい戦慄に震えながら
あなたの身体を貪り食う蛆虫は
怒涛の世界の流動にその邪悪な身体を
腐らしている
あらぬ欲望に振り回されながら
光の確かな輝きを見つめて
泡はまた湖面に浮かび上がるのだろう
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愛染→あいぜん