![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/2b/549b4b4f9a7d4e9894cd411e506237ab.jpg)
(文中敬称略)
北海道抽象派作家協会は戦後の道内前衛絵画をリードした渡辺伊八郎らが1973年に旗揚げした団体である。
その後めまぐるしい同人の入退会があり、多くの生け花作家を展覧会に招待した時期もあった。展覧会は春の本展(札幌市民ギャラリー)と、秋の小品展(札幌時計台ギャラリー)の2度。
1990年代半ばからは、同人の顔ぶれもおおむね固定化し、会は安定期に入ったといえよう。
ことしは、大きな動きがあった。
新同人として、岩田琿(渡島管内七飯町)と鈴木悠高(札幌)がくわわったのだ。
新同人は、1998年の林教司と神谷ふじ子(2004年退会)以来、じつに11年ぶりのこと。
一方で、古くからの同人のうち、旭川のあべくによしは病を得て休会中で、今回は旭川の近宮彦彌と苫小牧の服部憲治も病気のため出品していない。同人の中では若手の後藤和司(札幌)の作品もない。
しばらく平穏だったこの団体にも世代交代の波が確実に押し寄せてきているようだ。
それを受けてか、今回の展覧会自体は、特別に人目を驚かすような作品がなかった一方で、全体的な水準は高く、まとまっていたという印象を受けた。
大ざっぱにまとめていえば、フォルムがはっきりした絵画が少なく、オールオーヴァーに色を塗ったタイプの作品が多い。
また、ベテラン外山欽平(函館)に加え、20代の鈴木悠高と一般出品の石川潤(七飯)は、単にタブローを横一列にならべるのではなく、複数のタブローでひとつの空間をつくりあげるというインスタレーション的な意識をもって展示を行っていたことが注目される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/84/4731b5ddb24d0b84ff9f87c9c329714d.jpg)
岩田「TURBO-08」。
230×575センチという大作だ。
画面ではわかりづらいが、画面全体を細密な模様が埋め尽くしている。一見、機械の分解図のようにも見えるが、彩度や明度の差が少ないこともありなにが描かれているかはわからない。
表面すべてを覆っていたビニールがことしは取り外され見やすくなったのは、歓迎したい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/87/4ccb29f2f84050a3e909de6ee850bc94.jpg)
鈴木悠高「yellow2009」は6枚組み。
筆者が愛読しているblog「散歩日記4号」 http://blog.goo.ne.jp/hsssajpによると、市民ギャラリーの黒い床への映りこみも計算にいれて、やや低い位置に掛けたという。
戦後米国の抽象表現主義の作品はサイズが大きいのが特徴だが、それは鑑賞者があたかも絵画の中に包まれるかのような効果を狙っているという一面もあるだろう。鈴木の作品も、単にホワイトキューブの中で1点ずつ自立した絵画であるにとどまらず、それぞれ固有の空間において、その空間をおおい尽くすような一種の戦略性をもって展示が試みられているといえるのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/11/b2e11dc6580372828ef633b7a3343fa3.jpg)
三浦恭三(小樽)は、道展、美術文化協会、小樽美術協会など、毎年数多くの展覧会に出品している。
ここ数年、バイオモーフィックとも形容できる有機的な形状が浮かぶ画風に変化した。
今回は「浮遊11」「浮遊12」「浮遊13」「浮遊14」と題し、F100を4点出品している。
以前は青や緑系の作品が多かっただけに、オーカー系のあたたかな雰囲気は新鮮に感じられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/7d/bafcbaebd24729990ffda7ca325cc6b2.jpg)
鈴木薫(札幌)の出品は4年連続4度目。
「根の世界に聞く」は200×500センチの大作。
こういうエネルギッシュな作品は、今展ではこれだけであったし、団体公募展などを見ても非常に少なくなってきている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/47/2874734ccf8e30c872b4f4ba8a5a0e89.jpg)
外山欽平は、先の時計台ギャラリーでの個展で発表した絵を、再構成するというスタイルになって久しい。
今回は、ちょうど鈴木悠高の黄色と外山の緑が向かい合う格好になった。
ちょうど中央を縦一直線に太い線が貫くように見える。たぶん外山が個展の前からあたためていた構想に違いない。
それにしても100号12枚! 毎年こんなことをしているのだから恐れ入る。
(この項続く)
2009年4月14日(火)-19日(日)10:30-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□http://members3.jcom.home.ne.jp/hokkaidou.tyuusyouha/
■第35回展(2008年5月)
■第34回
■第33回
■第32回
■第31回
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年9、10月)
■03年秋季展(画像なし)
■第30回(画像なし)
■02年の秋季展(画像なし)
■第29回
■01年の秋季展
■第28回
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■All Japan Under 40 Collections(2009年2月)=鈴木さんらが出品
■TEN展 II (2008年9月)
※三浦さんが出品
■第36回美術文化北海道支部展(2008年9月)
■40周年小樽美術協会展 (2008年6月)
■企画展「07-08展」(2007-08年、画像なし)
■第35回美術文化北海道支部展(2007年)
■第13回さいとうギャラリー企画 夏まつり「風」パートII (2007年、画像なし)
■第35回美術文化北海道支部展(2006年、画像なし)
■外山欽平油絵個展(2009年3-4月)
■2008年の個展
■07年の個展
■06年の個展
■04年の個展
■03年の個展
■02年の個展(画像なし)
■01年の個展(画像なし)
北海道抽象派作家協会は戦後の道内前衛絵画をリードした渡辺伊八郎らが1973年に旗揚げした団体である。
その後めまぐるしい同人の入退会があり、多くの生け花作家を展覧会に招待した時期もあった。展覧会は春の本展(札幌市民ギャラリー)と、秋の小品展(札幌時計台ギャラリー)の2度。
1990年代半ばからは、同人の顔ぶれもおおむね固定化し、会は安定期に入ったといえよう。
ことしは、大きな動きがあった。
新同人として、岩田琿(渡島管内七飯町)と鈴木悠高(札幌)がくわわったのだ。
新同人は、1998年の林教司と神谷ふじ子(2004年退会)以来、じつに11年ぶりのこと。
一方で、古くからの同人のうち、旭川のあべくによしは病を得て休会中で、今回は旭川の近宮彦彌と苫小牧の服部憲治も病気のため出品していない。同人の中では若手の後藤和司(札幌)の作品もない。
しばらく平穏だったこの団体にも世代交代の波が確実に押し寄せてきているようだ。
それを受けてか、今回の展覧会自体は、特別に人目を驚かすような作品がなかった一方で、全体的な水準は高く、まとまっていたという印象を受けた。
大ざっぱにまとめていえば、フォルムがはっきりした絵画が少なく、オールオーヴァーに色を塗ったタイプの作品が多い。
また、ベテラン外山欽平(函館)に加え、20代の鈴木悠高と一般出品の石川潤(七飯)は、単にタブローを横一列にならべるのではなく、複数のタブローでひとつの空間をつくりあげるというインスタレーション的な意識をもって展示を行っていたことが注目される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/84/4731b5ddb24d0b84ff9f87c9c329714d.jpg)
岩田「TURBO-08」。
230×575センチという大作だ。
画面ではわかりづらいが、画面全体を細密な模様が埋め尽くしている。一見、機械の分解図のようにも見えるが、彩度や明度の差が少ないこともありなにが描かれているかはわからない。
表面すべてを覆っていたビニールがことしは取り外され見やすくなったのは、歓迎したい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/87/4ccb29f2f84050a3e909de6ee850bc94.jpg)
鈴木悠高「yellow2009」は6枚組み。
筆者が愛読しているblog「散歩日記4号」 http://blog.goo.ne.jp/hsssajpによると、市民ギャラリーの黒い床への映りこみも計算にいれて、やや低い位置に掛けたという。
戦後米国の抽象表現主義の作品はサイズが大きいのが特徴だが、それは鑑賞者があたかも絵画の中に包まれるかのような効果を狙っているという一面もあるだろう。鈴木の作品も、単にホワイトキューブの中で1点ずつ自立した絵画であるにとどまらず、それぞれ固有の空間において、その空間をおおい尽くすような一種の戦略性をもって展示が試みられているといえるのかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/11/b2e11dc6580372828ef633b7a3343fa3.jpg)
三浦恭三(小樽)は、道展、美術文化協会、小樽美術協会など、毎年数多くの展覧会に出品している。
ここ数年、バイオモーフィックとも形容できる有機的な形状が浮かぶ画風に変化した。
今回は「浮遊11」「浮遊12」「浮遊13」「浮遊14」と題し、F100を4点出品している。
以前は青や緑系の作品が多かっただけに、オーカー系のあたたかな雰囲気は新鮮に感じられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/7d/bafcbaebd24729990ffda7ca325cc6b2.jpg)
鈴木薫(札幌)の出品は4年連続4度目。
「根の世界に聞く」は200×500センチの大作。
こういうエネルギッシュな作品は、今展ではこれだけであったし、団体公募展などを見ても非常に少なくなってきている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/47/2874734ccf8e30c872b4f4ba8a5a0e89.jpg)
外山欽平は、先の時計台ギャラリーでの個展で発表した絵を、再構成するというスタイルになって久しい。
今回は、ちょうど鈴木悠高の黄色と外山の緑が向かい合う格好になった。
ちょうど中央を縦一直線に太い線が貫くように見える。たぶん外山が個展の前からあたためていた構想に違いない。
それにしても100号12枚! 毎年こんなことをしているのだから恐れ入る。
(この項続く)
2009年4月14日(火)-19日(日)10:30-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□http://members3.jcom.home.ne.jp/hokkaidou.tyuusyouha/
■第35回展(2008年5月)
■第34回
■第33回
■第32回
■第31回
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年9、10月)
■03年秋季展(画像なし)
■第30回(画像なし)
■02年の秋季展(画像なし)
■第29回
■01年の秋季展
■第28回
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■All Japan Under 40 Collections(2009年2月)=鈴木さんらが出品
■TEN展 II (2008年9月)
※三浦さんが出品
■第36回美術文化北海道支部展(2008年9月)
■40周年小樽美術協会展 (2008年6月)
■企画展「07-08展」(2007-08年、画像なし)
■第35回美術文化北海道支部展(2007年)
■第13回さいとうギャラリー企画 夏まつり「風」パートII (2007年、画像なし)
■第35回美術文化北海道支部展(2006年、画像なし)
■外山欽平油絵個展(2009年3-4月)
■2008年の個展
■07年の個展
■06年の個展
■04年の個展
■03年の個展
■02年の個展(画像なし)
■01年の個展(画像なし)
ご愛読ありがとうございます。
この展覧会は、第1室の全体的な展示の感じが
面白かったです。
たしかにことしの展示はすっきりとまとまっていたと思います。
画像が多くて、エントリが3本になってしまいました。