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■第36回美工展(3)=4月19日で終了

2009年04月21日 23時16分39秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
承前)

 これまで、さまざまな作品について述べてきたが、たまたま筆者の目についたものに触れたまでのことで、言及しなかった作品が良くないということではまったくない。
 
 
 最後に、刺繍の会員、吾妻紀子さん(札幌)の「鮭の皮刺繍 大雪の花々」について書いておこう。
 吾妻さんは以前も、道内の野鳥を題材にした超大作を出すなど、見る人を驚かせてきたが、今回も会場で最大の作品。しかも、遠くに大雪山系を望む川べりに花が咲き乱れ、シカもいるパノラマ的な風景のすべてを、サケの皮で作ったというのだから、まったくビックリするしかない。
 山々は皮をひろげてつくり、エゾイソツツジの群落はうろこを散りばめることで表現している。
 それらは透明な糸で縫いつけられているので、刺繍ということになるそうだ。

 もともと日本には、菊人形などに代表される「見立て」という文化的な伝統がある。吾妻さんの大作もその伝統上にあるのかもしれない。
 「見立て」は、芸術的かどうかという観点からはやや低く見られてきたけれど、筆者はとてもおもしろいと思う。「ああ、こんなアートも『あり』なんだ」と見に来た人が思ってもらえれば、アートがより身近に感じられるのではないか。
 こういう、知的ではなくても、シンプルに見る人をびっくりさせる作品の力を、侮ってはいけないと思うのだ。


(この項終わり)

2009年4月15日(水)-19日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□美工展サイト http://www.geocities.jp/bikouten/


第35回
第34回
第33回
第31回

第8回会員展
第30回
第29回
第28回
 =第33回、第29回美工展以外は画像なし


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (はが)
2009-04-22 23:27:03
多くの作品をていねいにご紹介いただき、ありがとうございます。新しく参加した若い作家の力も借りて、美工展を、より見て楽しめる展覧会にしていけたら、と思っています。
音威子府といえば、昨年、札幌彫刻美術館友の会のツアーに参加して、砂澤ビッキの「アトリエ3モア」などを訪問しましたが、それに数日先立って、梁井さんがそれらをことごとく訪問し、ブログにアップしているのを見て、友の会の大内さんと「すごい!」と絶句しあったのを思い出しました。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-04-23 23:42:36
はがさん、今回は多大なるご尽力をいただき、ほんとうにありがとうございました。
第36回は、若い作家が多く加わったことで、展覧会にとっても画期的な回になったのではないでしょうか。
来年も楽しみにしています。

音威子府は昨年はじめて訪問しました。
アトリエ3モアは、いいところですね。
いつかまた、こんどは列車で訪問してみたいです。
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