![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/bf/a192e24afcc1735e9424be80fb6a6ffa.jpg)
(承前)
今回、立体は、ふたつの展示室にひとつずつしかない。
第1展示室の中央部は、林教司(岩見沢市栗沢町)が占めることが近年は多い。
ことしの「news paper」は、その名のとおり新聞紙を固めて圧縮したもの。
新聞名がわからないよう巧妙に隠してあるが、筆者は職業柄、道新や読売の活字は遠くからでもわかる。
この塊はいったいなんだろうと思ったが、まきストーブで、まきの代わりに燃やすために圧縮したものだそうだ。
札幌の或る飲食店で使っているものだが、ただそれをもらいうけて並べたのではなくて、林自らが圧縮したとのこと。ただし、ほんとうに使用するものはもっとぎゅうぎゅうに押しつぶすらしい。
林は非常に多作な作家で、これまでのおもな展覧会へのリンクの数を見れば、おどろかざるを得ない。
なお、冒頭の画像で、奥に見える3つのカンバスは、名畑美由紀「混沌A」「混沌B」「混沌C」(いずれもF100)、さらに奥の紙による作品は、笹岡素子「無題」である。
いずれも一般出品で、名畑は札幌在住、2年連続2度目。笹岡は江別在住で、2年連続6度目。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/63/9ea1553b594d9cf2c62a23005fd4feb3.jpg)
林のインスタレーションのアップ。
「情報社会の暗喩」などとわかりやすく言ってしまうと、なんだかつまらない。それより、ふだんはあまり意識されない新聞紙のモノとしての存在感のほうが目に付く。そういう視点で見ると、実体がなく重さもほとんどないネットの情報に比べ、新聞紙のオールドメディア的性格が強調されているということができるのかもしれない。
これからとりあげるのは、抽象派作家協会のふたりだけのオリジナルメンバー(創設以来の同人)である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/10/1dd408fe94c66c9161d051263922d612.jpg)
岩見沢市栗沢町で絵画を制作しつづけてきた今荘(いまじょう)義男は、「古里(こり)」シリーズに取り組んで久しい。
このシリーズの魅力についてはすでに何度も書いてきたからここでは詳述しないが、日本的な意匠を描くことなしに、色彩の配置だけで懐かしさと大地の感じを豊かに表現しえていることの意義は、何度強調しても足りないだろうと思う。
わたしたちが幼いころに見た土の色、あるいは木造家屋や塀の影の色、遠くの山の色などが、ここに表わされているのだ。
今回は3点を出品している。
上の画像は最新作だ。他の2点よりもかなり明るい色調となっている。
あるいは「古里」シリーズの中でも相当明るい部類に属するだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/8d/f1e2e910e5bf612b608a2aacab6246a5.jpg)
上の作品の部分拡大図。
今荘はマティエールにも細心の注意を払っているが、それほど
「いかにも凝っています」
的な表面処理は行わないことが多い。
今回の作品はめずらしく、上の白い塊では、石膏などを混ぜることで凹凸を強調している。
その下は、ペインティングナイフでひたすら表面の絵の具を引っかいた。
「あれはけっこう切れるもんだね」
と笑う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/1a/96e90c8052abd6a20dfd8ac6509facd9.jpg)
佐々木美枝子(札幌)はS60、F60の「作品」を2点ずつ、計4点出品と、図録にはあるが、実際には5点出品されていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/ff/4654873f2dd193919d72a124cef16071.jpg)
たぶん「作品B」だと思うが、鮮烈な赤のなかに、金色の帯がいかにもかっこいい1点。
種明かしをすれば、この帯は、ガムテープ(クラフトテープ)を貼っただけなのだと言う。
配置が良いので、ほんとうに金色の帯に見える。すこしでも位置を間違えれば、腰巻のようになってしまうわけで、さすがベテランだと思った。
(この項続く)
2009年4月14日(火)-19日(日)10:30-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□http://members3.jcom.home.ne.jp/hokkaidou.tyuusyouha/
■今荘義男油彩個展(2009年3月)
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■異形小空間14th(2008年12月-09年1月)
■TEN展 II (2008年9月)
■BOOK'S ART展5(2008年8月)
■SUMMER WAVE展 13(2008年8月)
■林教司展(2008年6-8月)
■Film work EXHIBITION 写羅(08年5月)
■BOX ART展(08年3月)
■寒桜忌展「歌人・今井和義 没後4年」 (08年2月)
■KYOCHO展(08年2月)
■たぴお記念25th + 13th 異形小空間 (07年12月-08年1月)
■林教司展(07年12月)
■自我の形象展 6(07年10-11月)
■Octob 1(07年10月)
■LEBENS(人生・生命)展 2 (07年6月)
■非・連結展 vol.8(07年5月)
■多面的空間展 vol.9(07年4月)
■林教司作品展(07年3月、画像なし)
■寒桜忌展 うただより・今井和義へ<没後3年>(07年2月、画像なし)
■BOX ART展4 閉塞形状展(07年2月)
■林教司展(06年12月)
■2006年6月の「LEBENS展」(画像なし)
■04年の「多面的空間展」(29日の項。画像なし)
■04年の「今井和義追悼展」(7・8日の項。画像なし)
■03年の「SUMMER WAVE」展(7日の項。画像なし)
■03年の「新・素材の対話展」 (22日の項。画像なし)
■03年の回顧展(画像なし)
■02年の「閉塞形状展」 (18日の項。画像なし)
■くりさわ現代アート展(2002年、画像なし)
■02年の新道展(画像なし)
■02年の回顧展
■01年の個展
■01年の「キャバレーたぴお」 (3日の項。画像なし)
今回、立体は、ふたつの展示室にひとつずつしかない。
第1展示室の中央部は、林教司(岩見沢市栗沢町)が占めることが近年は多い。
ことしの「news paper」は、その名のとおり新聞紙を固めて圧縮したもの。
新聞名がわからないよう巧妙に隠してあるが、筆者は職業柄、道新や読売の活字は遠くからでもわかる。
この塊はいったいなんだろうと思ったが、まきストーブで、まきの代わりに燃やすために圧縮したものだそうだ。
札幌の或る飲食店で使っているものだが、ただそれをもらいうけて並べたのではなくて、林自らが圧縮したとのこと。ただし、ほんとうに使用するものはもっとぎゅうぎゅうに押しつぶすらしい。
林は非常に多作な作家で、これまでのおもな展覧会へのリンクの数を見れば、おどろかざるを得ない。
なお、冒頭の画像で、奥に見える3つのカンバスは、名畑美由紀「混沌A」「混沌B」「混沌C」(いずれもF100)、さらに奥の紙による作品は、笹岡素子「無題」である。
いずれも一般出品で、名畑は札幌在住、2年連続2度目。笹岡は江別在住で、2年連続6度目。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/63/9ea1553b594d9cf2c62a23005fd4feb3.jpg)
林のインスタレーションのアップ。
「情報社会の暗喩」などとわかりやすく言ってしまうと、なんだかつまらない。それより、ふだんはあまり意識されない新聞紙のモノとしての存在感のほうが目に付く。そういう視点で見ると、実体がなく重さもほとんどないネットの情報に比べ、新聞紙のオールドメディア的性格が強調されているということができるのかもしれない。
これからとりあげるのは、抽象派作家協会のふたりだけのオリジナルメンバー(創設以来の同人)である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/10/1dd408fe94c66c9161d051263922d612.jpg)
岩見沢市栗沢町で絵画を制作しつづけてきた今荘(いまじょう)義男は、「古里(こり)」シリーズに取り組んで久しい。
このシリーズの魅力についてはすでに何度も書いてきたからここでは詳述しないが、日本的な意匠を描くことなしに、色彩の配置だけで懐かしさと大地の感じを豊かに表現しえていることの意義は、何度強調しても足りないだろうと思う。
わたしたちが幼いころに見た土の色、あるいは木造家屋や塀の影の色、遠くの山の色などが、ここに表わされているのだ。
今回は3点を出品している。
上の画像は最新作だ。他の2点よりもかなり明るい色調となっている。
あるいは「古里」シリーズの中でも相当明るい部類に属するだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/8d/f1e2e910e5bf612b608a2aacab6246a5.jpg)
上の作品の部分拡大図。
今荘はマティエールにも細心の注意を払っているが、それほど
「いかにも凝っています」
的な表面処理は行わないことが多い。
今回の作品はめずらしく、上の白い塊では、石膏などを混ぜることで凹凸を強調している。
その下は、ペインティングナイフでひたすら表面の絵の具を引っかいた。
「あれはけっこう切れるもんだね」
と笑う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/1a/96e90c8052abd6a20dfd8ac6509facd9.jpg)
佐々木美枝子(札幌)はS60、F60の「作品」を2点ずつ、計4点出品と、図録にはあるが、実際には5点出品されていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/ff/4654873f2dd193919d72a124cef16071.jpg)
たぶん「作品B」だと思うが、鮮烈な赤のなかに、金色の帯がいかにもかっこいい1点。
種明かしをすれば、この帯は、ガムテープ(クラフトテープ)を貼っただけなのだと言う。
配置が良いので、ほんとうに金色の帯に見える。すこしでも位置を間違えれば、腰巻のようになってしまうわけで、さすがベテランだと思った。
(この項続く)
2009年4月14日(火)-19日(日)10:30-18:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□http://members3.jcom.home.ne.jp/hokkaidou.tyuusyouha/
■今荘義男油彩個展(2009年3月)
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■異形小空間14th(2008年12月-09年1月)
■TEN展 II (2008年9月)
■BOOK'S ART展5(2008年8月)
■SUMMER WAVE展 13(2008年8月)
■林教司展(2008年6-8月)
■Film work EXHIBITION 写羅(08年5月)
■BOX ART展(08年3月)
■寒桜忌展「歌人・今井和義 没後4年」 (08年2月)
■KYOCHO展(08年2月)
■たぴお記念25th + 13th 異形小空間 (07年12月-08年1月)
■林教司展(07年12月)
■自我の形象展 6(07年10-11月)
■Octob 1(07年10月)
■LEBENS(人生・生命)展 2 (07年6月)
■非・連結展 vol.8(07年5月)
■多面的空間展 vol.9(07年4月)
■林教司作品展(07年3月、画像なし)
■寒桜忌展 うただより・今井和義へ<没後3年>(07年2月、画像なし)
■BOX ART展4 閉塞形状展(07年2月)
■林教司展(06年12月)
■2006年6月の「LEBENS展」(画像なし)
■04年の「多面的空間展」(29日の項。画像なし)
■04年の「今井和義追悼展」(7・8日の項。画像なし)
■03年の「SUMMER WAVE」展(7日の項。画像なし)
■03年の「新・素材の対話展」 (22日の項。画像なし)
■03年の回顧展(画像なし)
■02年の「閉塞形状展」 (18日の項。画像なし)
■くりさわ現代アート展(2002年、画像なし)
■02年の新道展(画像なし)
■02年の回顧展
■01年の個展
■01年の「キャバレーたぴお」 (3日の項。画像なし)