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■井桁雅臣展2024「花に染む。」 (10月8~19日、札幌)

2024年10月22日 08時29分26秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 キャンバスに絵の具を染み込ませるステイニングと呼ばれる技法で美しい絵画を制作する札幌の井桁雅臣さんが、年に2度の個展を開くのは初めてだと思います。
 制作に時間のかかる技法ということもあり、もともとひんぱんに個展を開催する画家ではありません。
「最初は3階のギャラリーも使おうかと思ったが、すぐに無理だと分かった。本当に大変でした」
と振り返っていました。 
 今回は2009年から新作まで約25点を展示しています。
 
 冒頭画像は最新作「夏に咲く I」「夏に咲く II」「夏に咲く III」。
 「I」が2枚組です。
 これまでに比べ、ドローイングの線によりかたちを表す要素が減って、全体に明るい色が満ちているような、そんな画面になっているようです。

 次の画像、左側は今年8~9月の個展で発表した「花に亡霊」。
「自然光が入るギャラリーなので、この位置に展示しました」
と井桁さん。
 確かに井桁さんの絵は、特に寒色系は、スポットライトよりも、フラットな自然光に引き立ちます。
 

 手前は「繭のなか」(2014)。
 もともとあった作品をいくつかに分割した作品。
 あえて作品を切断すると、構図が引き締まる場合があります。

 奥は2009年の「めくれたオレンジの夢」だと思います。
 
 中2階の壁面にも並んでいます。
 
 やはり自然光が入りやすい場所に水色の絵が掛けられています。
 左は「ひとつの青い水の音」(2015)。

 右の2枚組は「青い、青い実」(2014)です。
 
 
 右端の、珍しく暗色系が主調となる絵は「ゆききする夜に」(2019)。
 
 その左どなりの「ヴェールに浮かぶ」の制作年が
(2014~24)
となっているのは、大幅に改作したためだそうです。
  
 
 手前の小品は「キャラメル」。2009年作で、この中では最も古い作の一つです。

 らいらっく・ぎゃらりいでの個展では、スマートフォンをQRコードにかざすと詩のようなテキストが読み取れる方式でしたが、今回はごく小さな文字で作品のキャプションに添えてあります。
 この文字の小ささが、作者の、読みたい人だけ読んでほしい、という控えめな気持ちの表れなのだと感じます。
 言いかえれば、こういうふうに絵を解釈しろという作者の意図を押し付けるというよりも、どういうふうに感じても自由だけど作者はこんな思いを抱いているので、もし知りたければ…ぐらいのスタンスなのだと思います。

 たとえば「青い、青い実」には次のようなテキストが付されています。

未来を見つめる人の目は
青空の色をしている。
なすべきことはすべて
わかっているような気さえして。
それははるか前になくしたはずの
心の奥の、目の奥の。
それはそれは。
青い、青い実。


 他の作品は次の通り。
懐かしい未来 longing future
水に咲く
水流のロック
Pricella 魅惑のプリシラ
氷点下の息
ゆっくり跳ねる音楽
みるみるあふれ はらはらこぼれ
ラナンキュラスの朝
夜の蜻蛉
王子とAQUA
エリックの庭
花めく
僕たちの愛みたいな愛は
きみとだれの月


2024年10月8日(火)~19日(土)午前10時~午後6時(最終日~4時)
北翔大学円山キャンパス1階ギャラリーA (札幌市中央区大通西22)

www.igetamasaomi.jp

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