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荒井俊也? の母子像

2019年07月14日 13時31分33秒 | 街角と道端のアート
 オホーツク管内遠軽町丸瀬布は、湧別川に沿った山あいの静かな集落だが、さらにそこから支流をさかのぼって車で十数分行くと、「いこいの森」やリゾートホテル「マウレ山荘」などがある。
 いこいの森は、日本で唯一、昔の森林鉄道の蒸気機関車を動態保存している、SLファンの聖地ともいうべき観光地であり、キャンプ地や昆虫生態館などもあり、親子連れなどが半日以上楽しめる。
 さらに上流に行ったところにある丸瀬布温泉マウレ山荘も、筆者は一度泊まってみたいと思っているおしゃれなホテルだ。

 筆者は2013年、この地を訪れてホテルで食事をし、布川俊次「ガラスブロック」
清水九兵衛「月簪」の二つの野外彫刻を見て帰ってきた。どちらもすばらしい作品であり、とりわけ前者は筆者イチ押しだ。

 当時のブログに

帰宅してマウレ山荘のサイトを見ると、どうやらこの二つ以外にも野外彫刻が周辺にありそうである。

と書いている。



 6年ぶりに丸瀬布上武利の地を訪れる機会があり、せっかくなので、マウレ山荘の奥にこっそり車を走らせた。

 すると、同山荘のコテージのかたわらにあったのが、この母子像である。

 作者名などを記した銘板はどこにもなく、サインも見当たらない。

 しかも、マウレ山荘のサイトは、ホテルを昨年リニューアルした際に作り替えたのだろうか、「ガラスブロック」「月簪」を含む野外のオブジェについて、紹介しているところが見当たらない。

 ただ、旅行会社の楽天トラベル( https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/49357/gallery.html )と、るるぶトラベル( https://rurubu.travel/A01/01/0108/010806/0155501/1224A01/photolist.html )のページに、マウレ山荘の写真がたくさん掲載されており、それらによると、これは荒井俊也という作者の母子像だということである。

 ただ、母子像というのは一般名詞であり、この作品のタイトルが「母子像」というのかどうかは、わからない。

 また、荒井俊也という作者について、筆者は不勉強ながらまったく知らなかった。
 ネット検索すると、東京藝大を卒業し、東北工業大で教壇に立ちながら、制作をしている人のようだ。仙台で発表もしている。

 道立函館美術館で2007年に開かれた「奥の若手道 N.E.blood21 ~東北・北海道の明日~」展にも、24人の出品者の中に「荒井俊也」の名がある。

 もっとも、画像検索すると、この作品のような具象彫刻はまったくヒットしない。
 若い頃の作品だろうか。
 まさか、同姓同名の彫刻家が別にいるのだろうか。


 裸婦(母親)が両腕で幼子を高く掲げるーというもので、母親は脚を少しだけ前後に開き、右足のかかとを浮かせている。
 この結果、母親は軽く背中をそらせるような格好となり、全体に安定感が増している。

 裸婦は、しっかりした骨組みの持ち主で、健康な色気のようなものを感じる。
 台座が高いのと、両腕を開かずにまっすぐ突き出しているため、どの角度に回っても、表情がはっきりとはわからない。

 後ろに回ってみると、赤ちゃんのほうも、とくに特徴的な表情をしているというわけではなさそうだ。

 赤ちゃんは、わきの下をしっかり支えられ(だっこするときの基本!)、片手を軽くあげている。

 あんまり書くとセクハラおやじみたいになってしまうが、女性の臀部の豊かさにあらためて感服する。
 最近はやせたモデルなどが多く、社会問題にもなっているが、この母親はやせすぎず太りすぎず、あくまで男性からの見かたではあるけれど、あるひとつの理想的な姿態を示しているように思う。




 初々しさと健康さ、未来への希望にあふれた母子像だ。


関連記事へのリンク
布川俊次「ガラスブロック」(遠軽町丸瀬布)
清水九兵衛「月簪」 (遠軽町丸瀬布)



・JR丸瀬布駅から遠軽町営バス「丸瀬布上武利線」に乗り、終点「丸瀬布温泉マウレ山荘」降車。約210メートル、徒歩3分
(町営バスは所要20分。1日3往復)





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