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■ゆく年くる年 '16-'17展 (2016年12月20日~07年1月8日、札幌)

2017年01月07日 13時41分54秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 札幌市中心部にあるしにせ「さいとうギャラリー」は、毎年2回、道内に住む画家や彫刻家、イラストレーターが小品を1点ずつ出す企画展を開いています。
 だいたい、7月は「女」「花」などテーマが決まっていて、年末年始はとくにテーマを定めていないようです。

 年末年始は、年末の3日間ほどと元日を休み、1月2日から再開するというのがパターンです。
 したがって、その年の最初に見る展覧会になることが多かったです。

(ことしは、あっぱれ北斎とか、森本めぐみ展とか、チ・カ・ホの正月とか、元日からやっている展示が多いので、そういうことにはならない)

 今回の「 '16-'17展」は、69人が出品しました。
 案内はがきには70人の名が載っていますが、早川尚さんが出品を取りやめています。

 この年末年始展で恒例になっているのが、札幌の造形作家、泉修次さんによるおみくじアートです。
 筆者は初詣にはあまり興味がないのですが、泉さんのおみくじはかならず毎年ひきます(もっとも、あたるかどうかを、気にしているわけではありませんが)。
 今年の「酉年開運」からひとつ、巻いた紙を引き出して中を読むと、「吉」でした。
 文面を読むと「ふわふわした気持ちで異性の話に乗ると…」などと、あまり縁のなさそうなことが記してありました。

 テーマはない、と書きましたが、やはりえとにちなんだ作品は多いようで、阿部典英さん、渡会純价さんの両大ベテランは、鶏でうまくまとめています。
 渡会さんは、鶏のうえにひよこが乗った、なんともめでたい図柄です。

 北見からは脳梗塞で一時倒れてリハビリ中の、やはり大ベテランの林弘尭さんが「浸透する空間」を出品。モノトーンの抽象画です。

 筆者がいちばん好みだったのは、北山寛一さん「オルヴィエート追想」でした。
 白い大福もちのような山が画面の大半を占め、その手前に、落ち葉と、同じくらいの大きさの天使ひとりが並んでいるのが目を引きます。天使の前には、ナナカマドのような赤い実も数粒転がっています。山の上にはよく見ると、町並みがへばりついており、この絵が、それぞれのモティーフの大きさを狂わせることで、シュルレアリスム的な効果を出していることがわかります。もち山の右手前には、比較的大きなあわのような物体があり、その上に鳥が止まっています。

 中野邦昭さん「フクジュソウ」。
 新春の日本画展ではよく見かけるモティーフですが、黄色い花の周囲に描かれた雪が、砂糖粒のようにきらきらふわふわして、どうやって描いたのだろうと思いました。

 若手水彩画家の石垣渉さん「冬の道」。
 石垣さんの描く冬景色の雪は、白一色からはなれて、とくに近年汚くなっているような印象を受けます。
 しかし、だからといってだめだと言っているのではなく、その雪の汚れにこそ、北国の人の生活実感がこめられているような気がしてなりません。車のわだちや足跡を照らすオレンジの街燈の光に、春を待ち望む北海道の人々の心もちが伺えるように思えるのです。



2016年12月20日(火)~07年1月8日(日)午前10:30~午後6:30(最終日~午後5:00)、1月2日を除く月曜休み、29日~1月1日も休み
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)




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