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■林啓一 PAPER WORKS 「シトロン」小さな夏の個展 (7月6日まで)

2009年07月05日 22時27分29秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 すごい。こんなにひきもきらずお客さんがつぎつぎと訪れるアートスペース201を初めて見ました(akaさん、ごめん)。
 しかし、ほんとにすごいのは林さんが紙でつくる工作です。

 アートの「すごい」は、いろいろあるけれど、「わかる人はわかるすごさ」というのもけっこう多いと思います。
 でも、林さんの「すごい」は、だれが見てもすごいと感じるんじゃないかと思います。
 それは、「すごく細かい!」というおどろきであって、アートそのものを革新するようなすごさではないのはたしかかもしれない。
 とはいえ、林さんの作品を見て「すごい!」と息を呑んだとき、わたしたちは子供の素直な心にかえっているのではないでしょうか。道新にあふれた林さんの作品世界とおなじように。

 今回の個展はじつに5年ぶり。
 サイトによると「新作は7点、計約20点」とのことです。
 新作は、連作「小さな風景」と題された、その名の通り小さなサイズの作品が中心です。
 林さんの場合、小ささがひとつのおどろきになっているので、小ささゆえに見劣りするということはありません。
 冒頭の画像「そり」も、ごく小さな作品ですが、じつに豊かな世界を持っています。
 人物の目は、直径1ミリに満たないはずですが、ちゃんと色紙を切ってつくっています。こんなに細かい部材なら、ペンでちょっと書いてもだれもとがめないと思うんですが…。

 しかも、この精巧な紙工作で、動くものもあるというから驚きです。
 こども3人が巨大な白い球を浮かべる「シャボン」という作品では、ボタンを押すとシャボンがまわり、星や草などさまざまな模様が幻燈じかけでうかびあがります。
 「うらら」は、遊園地の飛行機遊具のように回転します。

 ただ細かいだけではなく、少年時代を思わせるなつかしさが漂うのが、林さんの作品の特徴です。
 これは「三丁目の夕日」などで昭和ブームになるずっと以前から変わりません。 精巧さは増しても、一心に作っているときの林さんの心は、工作に夢中になった子どものころとおなじなのではないでしょうか。

 会場では、HTBのテレビ番組が流れ、設計図のファイルが置かれているほか、紙の部品には自由にさわることができます。さらに旧作は写真パネルにまとめられています。
 すごいのは、レジスターも段ボールで自作していること。ポストカードを買ったら、そこからおつりが出てきたので、思わず笑ってしまいました。 


2009年6月26日(金)-7月6日(月)10:00-19:00、水曜休み
アートスペース201(中央区南2西1 山口中央ビル6階 地図B)

□サイト http://homepage2.nifty.com/papercraft/

林啓一ペーパークラフト全作品展「月と太陽と星とぼく」(2004年5月18日の項)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あれっもう5年ですか、、 (エゾ三毛猫)
2009-07-05 22:54:58
前回のアートスペース201が5年前ですか?

誰でもピカソやイナックスのギャラリーは、
それよりも、もっと前となるんですね、、。

時の立つ早さって奴はー、、、。

前回の個展は、大掛りな仕掛け時計等あって
メウロコでしたが、このサイズも好い世界観
を感じられて、ステキでした。

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エゾ三毛猫さん、こんばんは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-06 00:09:24
林さんもおんなじことおっしゃってましたよ。「もう5年か!」って。

たしかに、今回の作品は小さめですが、表現している世界は大きいです。

そして、初期作品がまだ完璧に作動するというのもすごいですよね。
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