500m美術館は、がんばっています。
オープン当時、行政が民業を圧迫するのかなどと悪態をついたことを反省しています。
公立美術館もギャラリーも行わない企画を次々と開いており、むしろ道立近代美術館などが怠っている地元作家の特集などを一手に引き受けている感さえあります。
今回は、札幌の姉妹都市である韓国の大田広域市にスポットを当て、大田広域市にゆかりのある作家と、韓国を中心として国際的に活躍する作家、合わせて4人が出品しています。
もともと札幌は「水脈の肖像」展などを通して韓国のアーティストとの交流が息長く続いてきているのですが、今回はそうした人脈とは別に、新しい世代が登場しています。
Hong Jihee (ホン・ジフィ)さん。
冒頭画像は「Mother Nature」シリーズ。
2枚目は「土を握りしめた彼らは」。札幌の開拓がはじまった創成橋でいきなり倒立を試みる作者を写したビデオ映像で、意表を突かされます。
逆立ちをするのは、木が土を握りしめているのではないかという思いから来ているようです。
Kim Woojin (キム・ウジン)さん。
ビデオ作品「そして、私は短い演劇を作ることに決めた」のパートA、パートUが上映されていますが、「メモリーズプロジェクト」のコンセプトは、こちらのブレーンストーミング? の結果のほうが伝わりやすいでしょう。
ロンドン大ゴールドスミス・カレッジと梨花女子大で学んだ俊英で、ここには、ネイションステート(民族国家)と言語を同一視する既成の思考について鋭く問い直す思考の軌跡があらわれています。
Lim Seung-kyun (イム・スンギュン)さん。
「The Tide Panorama」は、歴史の痕跡を「潮だまり」にたとえた作品。
韓国のさまざまな近現代史の現場を訪ねるようすは、米田知子の写真群をちょっと思い出させます。
戦後の米兵による虐殺事件など、筆者が知らないことがあり、自らの不勉強を恥じました。
Ha Jhonnam (ハ・ジョンナム)さん。
長野県生まれの在日コリアン3世で、2017年に韓国に移住した作家。
韓紙を切って作った模様には、日本語やハングル、青海波などがあって、日本と韓国とがまじりあった景観をつくりだしています。
画像には雲、チマチョゴリが見えますが、そのほか、ツルなど韓国でめでたいとされているものが切り抜かれています。
韓国にも、1980~90年代のクールな現代絵画とも、民衆美術とも違う、新たな世代が台頭しているのだな~と思いました。たった4人で結論を出すのは性急かもしれませんが、現代アートらしい展覧会だといえそうです。
2024年10月26日(土)~2025年1月8日(水)、会期中無休
500m美術館 (札幌市中央区地下鉄東西線 大通駅―バスセンター前駅間コンコース)
オープン当時、行政が民業を圧迫するのかなどと悪態をついたことを反省しています。
公立美術館もギャラリーも行わない企画を次々と開いており、むしろ道立近代美術館などが怠っている地元作家の特集などを一手に引き受けている感さえあります。
今回は、札幌の姉妹都市である韓国の大田広域市にスポットを当て、大田広域市にゆかりのある作家と、韓国を中心として国際的に活躍する作家、合わせて4人が出品しています。
もともと札幌は「水脈の肖像」展などを通して韓国のアーティストとの交流が息長く続いてきているのですが、今回はそうした人脈とは別に、新しい世代が登場しています。
Hong Jihee (ホン・ジフィ)さん。
冒頭画像は「Mother Nature」シリーズ。
2枚目は「土を握りしめた彼らは」。札幌の開拓がはじまった創成橋でいきなり倒立を試みる作者を写したビデオ映像で、意表を突かされます。
逆立ちをするのは、木が土を握りしめているのではないかという思いから来ているようです。
Kim Woojin (キム・ウジン)さん。
ビデオ作品「そして、私は短い演劇を作ることに決めた」のパートA、パートUが上映されていますが、「メモリーズプロジェクト」のコンセプトは、こちらのブレーンストーミング? の結果のほうが伝わりやすいでしょう。
ロンドン大ゴールドスミス・カレッジと梨花女子大で学んだ俊英で、ここには、ネイションステート(民族国家)と言語を同一視する既成の思考について鋭く問い直す思考の軌跡があらわれています。
Lim Seung-kyun (イム・スンギュン)さん。
「The Tide Panorama」は、歴史の痕跡を「潮だまり」にたとえた作品。
韓国のさまざまな近現代史の現場を訪ねるようすは、米田知子の写真群をちょっと思い出させます。
戦後の米兵による虐殺事件など、筆者が知らないことがあり、自らの不勉強を恥じました。
Ha Jhonnam (ハ・ジョンナム)さん。
長野県生まれの在日コリアン3世で、2017年に韓国に移住した作家。
韓紙を切って作った模様には、日本語やハングル、青海波などがあって、日本と韓国とがまじりあった景観をつくりだしています。
画像には雲、チマチョゴリが見えますが、そのほか、ツルなど韓国でめでたいとされているものが切り抜かれています。
韓国にも、1980~90年代のクールな現代絵画とも、民衆美術とも違う、新たな世代が台頭しているのだな~と思いました。たった4人で結論を出すのは性急かもしれませんが、現代アートらしい展覧会だといえそうです。
2024年10月26日(土)~2025年1月8日(水)、会期中無休
500m美術館 (札幌市中央区地下鉄東西線 大通駅―バスセンター前駅間コンコース)