藤井高志さんは北広島市の職員で、現在は市芸術文化ホールのセンター長を務めています。
全道展と、全国的な団体公募展「蒼騎会」の会員です。
毎年この時期は、全道展の中堅実力会員によるグループ「櫂展」に参加していましたが、ことしはひと休みとなったため、個展をひらくことになりました。
ここ数年は、自分の昔の写真を風景に組み合わせたり、近郊の農村風景を題材とした作品を発表してきました。
ことしの全道展出品作「モンサンミッシェルへの道」もあります。
櫂展のメンバー7人でそろってフランスに旅したときに取材したものです。
昨年の櫂展で、セーヌ川の橋に7人が並んだ、藤井さんの手になる絵があり、とても楽しそうでした。
冒頭画像は「旅の始まり」。
幼年時代を過ごした赤平での思い出などが、木造校舎にこめられているのではないかと思います。
この作品はいったん完成した後に、色調を変えているので、サインがありません。
小品では、上の画像の右にある「ピエロ」が、おもしろく感じられました。
ピエロもうしろのほうに描かれていますが、手前のフキが生命力いっぱいです。いかにも北海道の野らしい舞台装置というところが、おもしろいのです。
このほか、ホクレンのカレンダーの原画も3点展示されていました。
藤井さんの他の作品に比べると、やや明るく輝かしい色調です。
「水路」は、江別と恵庭を結ぶ道道沿いにある農村地帯の風景がもとになっています。
白っぽい色調が特徴です。
写真をもとにした人物や風景を組み合わせる技法はそろそろおしまいにして、新しい画風への転換をはかりたい-と話していた藤井さん。
今回の個展が、チェンジの起点になるかもしれません。
藤井さんの絵は写実が基調です。
写実というと、道展というイメージを持たれる方もあるかもしれませんが、筆者は、道展の写実と全道展の写実はちょっと違うと思います。
もちろん、この時代に公募団体で画風を云々するのもあまり意味のあることではないかもしれませんが、神田日勝や鵜川五郎(のち退会)、本城義雄、木村訓丈、川口浩といった全道展の画家たちの作品を見ると、単なる技法として写実を選択しているというよりも、写実の向こうにある精神的なるものを目指しているような気がするのです。
出品作は次の通り。
オペラ座の広場(SM)
モンマルトル(6F)
少年の日(6F)
扉(パリ)(SM)
3つの梨(SM)
ピエロ(F6)
水路(F150)
枯れたものたち(F10)
石(祈り) (F4)
少女の時(F20)
麻衣子(F10)
ピエロ(F10)
ひょうたんのある静物(P6)
モンサンミッシェルへの道(F130)
橋のある風景(F15)
少年の日(秋) (F150)
母のいる風景(F150)
ある風景(P6)
旅の始まり(F150)
少女の季節(F8)
ふきの群(P6)
少女(SM)
バラ(F8)
ある風景(SM)
ホクレンカレンダー3、4月 早春のニセコアンヌプリ(F10)
ホクレンカレンダー1、2月 蝦夷富士(羊蹄山) (F10)
ホクレンカレンダー8、9月 想う牧草刈り (F10)
2009年7月13日(月)-18日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■第5回櫂展(2007年)
■第4回櫂展
■第1回グループ櫂展
■藤井高志・西村潤 平面と立体の対話(2003年)=以上画像なし
お越しいただきありがとうございます。
藤井さんは上手ですよね。
もっとも「汚い絵」にも汚いなりの魅力があることもありますよ。