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■小林大 銅版画展 (2018年1月20日~2月12日、札幌)

2018年02月07日 00時00分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 小林大さんは、個展のほか、日本版画協会、道展、北海道版画協会などの会員でもあり、精力的に制作・発表を続けています。昨年の野外美術展「ポンペツ藝術要塞」にも参加し、巨大な立体を発表しており、版画家の枠にとどまらない活動ぷりです。
 現在、円山公園に近いギャラリーレタラで個展を開いています。

 冒頭の画像の右側にある大作「Princess Room」は、複数の版画を組み合わせたもので、基本的には、2015年にト・オン・カフェで開いた個展で発表した作品と同じです。
 ただ、細部を見ると、左下の猫が1匹増えて2匹になっていたり、中央の王女の周りに白い額が取り付けられたりするなど、変更点もあります。

 おそらく一番の変わったところは、作品の最上部に、アフリカのお面のような立体が据えられたことでしょう。
 ふだん、色数の少ない銅版画を制作している小林さんとしては、異例な感じです。

 なお、この作品は、先に述べた王女、その上の国王夫妻、右下で段差を上りながら振り返る男、左上の芸術家の自画像…といった組み合わせからわかるように、スペインの画家ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」のパロディーになっています。

 冒頭画像で、会場の奥にある三連画ふうの作品は「イッカク」。
 左右は、天然の板に、自然に開いた穴を通して版画がのぞける仕組みになっています。
 題のとおり、細くて白いイッカクの角が中央の画面に描かれていますが、イッカクの本体や、この海獣に着想を得たとおぼしい空想の動物である一角獣などは登場していません。幻想性とほのかなエロティシズムが漂う、小林さんらしい作品です。


 向かって右側には新作が並んでいます。

 縦長の2枚組の肖像は「SHIZUE」「KINZO」と名付けられています。
 版画家のご両親です。
 付け加えれば、お父様の小林金三さんは、北海道新聞の論説委員を務め、特に60年安保闘争で全国の新聞がデモに反対する共同宣言を発表した際にそれをコラムで皮肉ったことは後々までの語りぐさになりました。後年、小樽支社長を務めたときは、街なかをスケッチして回り、その多くは現在、市立小樽文学館に所蔵されています。

 その左には、レンブラントの有名な「放蕩息子の帰還」の一部の摸写(affection -THE RETURN OF THE PRODIGAL SON . by Rembrandt)が展示されています。あるいは、両親と自分自身ということなのかもしれません。

 ほかに、作品は次の通り。
往ぬ
I am helpless
道新 日曜文芸 他
Rainy day
freetime
drizzle
mushroom


2018年1月20日(土)~2月12日(月)正午~午後6時、火曜休み
Gallery Retara(札幌市中央区北1西28 moma-place 3階 http://moma-place.jp )


関連記事へのリンク
小林大 銅版画展 UNIVERSE & FAMILY (2015)
いすのゆめ (2009)
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【告知】銅版画2人展 伊藤倭子・小林大 (2006)
北海道版画協会第47回展 (2006)
小林大・石川亨信銅版画展 (2006)





・地下鉄東西線「円山公園」駅・円山公園駅バスターミナルから約360メートル、徒歩5分
・同「西28丁目駅」から約540メートル、徒歩7分
※円山公園駅は改札と地上の間が長いので、両駅からレタラまでの距離はそれほど違いありません

・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分
※小樽行き都市間高速バス全便(北大経由除く)と、手稲、銭函方面行きの全便が止まります


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