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2017年12月17日は5カ所(3)。かじさやか切り絵展など。千歳から札幌に戻る

2017年12月19日 11時59分59秒 | つれづれ日録
(承前)

 千歳に足を運んだのは「切り絵の世界 かじさやか作品展」(12月14~17日、千歳市民ギャラリー)のためでした。

 かじさやかさんは、切り絵による漫画を雑誌に連載した、おそらく日本でただひとりの人だと思います。その『地と水のカムイたち』(当時は鍛治明香名義)は、北海道の自然とアイヌ文化へのリスペクトを随所に織り交ぜた、いろいろな意味で先駆的な作品でした。
 現在も漫画『太公さんちの休日』を「釣り新聞ほっかいどう」に寄稿しており、1000回を超す長寿連載となっていますが、これは切り絵ではなく普通の描法で作成されています。

 今回は両作品の原画をはじめ、単独の切り絵、色紙や短冊など100点を優に超える作品が並び、圧巻でした。

 なかでも「蒲公英」「向日葵」など、花と花の精を主題にした連作には心惹かれました。
 
 切り絵の宿命として、孤立した線や点というものはなく、広い範囲で線がつながらなくてはならない―というのがあります。
 たとえば、人の顔で鼻や口は細い線でつながらなくてはいけませんし、風の流れを表す曲線も絵の端から端まで渡っているか、さもなければモティーフを構成する線と一体になっている必要があります。

 また、細い線は手作業で切るため、どうしても線の肥痩が生じます。
 そもそも線は、輪郭として用いられる場面が多いのです。
 切り絵がどうしても東洋的な印象を与えがちなのは、そういう事情があるためだと思います。
 陰影やグラデーションがメインではなく、モティーフの輪郭線を主軸に表現するのが切り絵―ということです。

 したがって、浮世絵などとは相性が良く、立体感を重んじるルネサンス以来の西洋画とは肌が合わないということができそうですが、近代以降の、例えば、ビアズレーやエゴン・シーレが切り絵に取り組んでいたらおもしろい成果が得られていたかもしれない…などと思いました。


 さて、千歳駅に着いたら、10時37分発の快速エアポートが到着する直前でした。


 札幌までわずか約30分。
 まぁ、ふつうは、急行バスじゃなくて、こっちに乗るよなあ(苦笑)。

 札幌駅からは、ジェイアール北海道バスの新札幌駅行きに乗り、サッポロファクトリーで降車。
 何度か触れていますが、この区間は現金なら100円で乗れます。
 にもかかわらず、筆者と同時に6、7人が降りたのですが、半数はカードでピッという精算の音を立てていました。SAPICAなどだと210円引かれるのに、なんでだろー?

 市民ギャラリーまで歩き、第70回市民美術・書道展(13~17日)を見ました。
 1階はアマチュアが絵画を並べていました。
 アール・ブリュット系の人(というのもおかしな言い方ですが)がけっこう出品していました。
 炭谷秀正さんの「(時空)未来都市」が1960年代の子ども向けの本みたいで、楽しかったです。




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