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カノーバの女神(模刻)…太陽の丘えんがる公園・7

2020年07月11日 07時53分32秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 これまで何度もこのブログで参考にしてきた、札幌彫刻美術館の編集による小冊子「北海道の野外彫刻」の巻末にある一覧表の「遠軽町」の項目に
「カノーバーの女神 復刻 カノーバー・アントニオ 丸大」
というのがあり、いったいなんのことだろうと長い間疑問を抱いてきました。
 「復刻」などというのが載っているのは、ここだけなのです。

 このたび、太陽の丘えんがる公園をくまなく歩いて、ようやく探し当てたので、ここにご紹介します。

 公園を貫く道路から左折して、コスモス園や、小林繁美さんたちの彫刻が並ぶゾーンへと進む道から、すこし右手に入ったところに立っています。
 池の裏手です。サンヒルハウスに向かう道の途中にあります。






 台座の銘板には
「カノーバ」
となっています。
 アントニオ・カノーヴァは1757年生まれ、1822年生まれのイタリアの彫刻家です。

 西洋の彫刻にとって、古典古代は仰ぎ見る範例ですから、この彫刻家も古代ギリシャやローマの作品の複製を作ったことがあったのかもしれません。

 ただし、銘板には「フィレンツェ ウフィーツ美術館蔵」とありますが、ウフィツィ美術館のサイト( https://www.uffizi.it/en/the-uffizi/sculpture/artworks )にはこの作品は載っていません。
 岩波書店の「新編 ウフィーツィ美術館」をひもといてみても、この作品について記載はありませんでした。

 この作品について調べると、そもそも野外彫刻とはなんぞや? という問いに逢着します。

 つまり、屋外に彫刻や立体があればそれは野外彫刻なのか、と聞かれれば、それは違うような気がするのです。

 ディズニー映画の「白雪姫」に登場するこびとの置物がお庭にあるのは珍しくありません。
 しかし、これは「野外彫刻」というよりは、ホーマックなどのホームセンターで買ってくる大量生産商品というのがふさわしいでしょう。
 墓地の近くにある石材屋の店先にあるアンパンマンの石の立体も、同じようなものです。

 では、このカノーバの女神はどうでしょう。
 ネット検索すると、これを輸入販売している業者があるんですね。

 そうなるとこれは、はたして彫刻といえるのかどうか。




 いや、たしかに「彫刻」にはちがいないんでしょうが、なかなかむずかしい問題をはらんでいるといえそうです。

 そもそも、どうしてこれが、ここにあるのか…。


 さて。
 この記事をもって、遠軽・湧別・佐呂間の「野外彫刻」についてはあらかた紹介は終わったと思われます。

 オホーツク管内という枠組みでも、紹介できそうなものはもうあまり多くは残っていないでしょう。





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