(承前)
これまで何度もこのブログで参考にしてきた、札幌彫刻美術館の編集による小冊子「北海道の野外彫刻」の巻末にある一覧表の「遠軽町」の項目に
「カノーバーの女神 復刻 カノーバー・アントニオ 丸大」
というのがあり、いったいなんのことだろうと長い間疑問を抱いてきました。
「復刻」などというのが載っているのは、ここだけなのです。
このたび、太陽の丘えんがる公園をくまなく歩いて、ようやく探し当てたので、ここにご紹介します。
公園を貫く道路から左折して、コスモス園や、小林繁美さんたちの彫刻が並ぶゾーンへと進む道から、すこし右手に入ったところに立っています。
池の裏手です。サンヒルハウスに向かう道の途中にあります。
台座の銘板には
「カノーバ」
となっています。
アントニオ・カノーヴァは1757年生まれ、1822年生まれのイタリアの彫刻家です。
西洋の彫刻にとって、古典古代は仰ぎ見る範例ですから、この彫刻家も古代ギリシャやローマの作品の複製を作ったことがあったのかもしれません。
ただし、銘板には「フィレンツェ ウフィーツ美術館蔵」とありますが、ウフィツィ美術館のサイト( https://www.uffizi.it/en/the-uffizi/sculpture/artworks )にはこの作品は載っていません。
岩波書店の「新編 ウフィーツィ美術館」をひもといてみても、この作品について記載はありませんでした。
この作品について調べると、そもそも野外彫刻とはなんぞや? という問いに逢着します。
つまり、屋外に彫刻や立体があればそれは野外彫刻なのか、と聞かれれば、それは違うような気がするのです。
ディズニー映画の「白雪姫」に登場するこびとの置物がお庭にあるのは珍しくありません。
しかし、これは「野外彫刻」というよりは、ホーマックなどのホームセンターで買ってくる大量生産商品というのがふさわしいでしょう。
墓地の近くにある石材屋の店先にあるアンパンマンの石の立体も、同じようなものです。
では、このカノーバの女神はどうでしょう。
ネット検索すると、これを輸入販売している業者があるんですね。
そうなるとこれは、はたして彫刻といえるのかどうか。
いや、たしかに「彫刻」にはちがいないんでしょうが、なかなかむずかしい問題をはらんでいるといえそうです。
そもそも、どうしてこれが、ここにあるのか…。
さて。
この記事をもって、遠軽・湧別・佐呂間の「野外彫刻」についてはあらかた紹介は終わったと思われます。
オホーツク管内という枠組みでも、紹介できそうなものはもうあまり多くは残っていないでしょう。
これまで何度もこのブログで参考にしてきた、札幌彫刻美術館の編集による小冊子「北海道の野外彫刻」の巻末にある一覧表の「遠軽町」の項目に
「カノーバーの女神 復刻 カノーバー・アントニオ 丸大」
というのがあり、いったいなんのことだろうと長い間疑問を抱いてきました。
「復刻」などというのが載っているのは、ここだけなのです。
このたび、太陽の丘えんがる公園をくまなく歩いて、ようやく探し当てたので、ここにご紹介します。
公園を貫く道路から左折して、コスモス園や、小林繁美さんたちの彫刻が並ぶゾーンへと進む道から、すこし右手に入ったところに立っています。
池の裏手です。サンヒルハウスに向かう道の途中にあります。
台座の銘板には
「カノーバ」
となっています。
アントニオ・カノーヴァは1757年生まれ、1822年生まれのイタリアの彫刻家です。
西洋の彫刻にとって、古典古代は仰ぎ見る範例ですから、この彫刻家も古代ギリシャやローマの作品の複製を作ったことがあったのかもしれません。
ただし、銘板には「フィレンツェ ウフィーツ美術館蔵」とありますが、ウフィツィ美術館のサイト( https://www.uffizi.it/en/the-uffizi/sculpture/artworks )にはこの作品は載っていません。
岩波書店の「新編 ウフィーツィ美術館」をひもといてみても、この作品について記載はありませんでした。
この作品について調べると、そもそも野外彫刻とはなんぞや? という問いに逢着します。
つまり、屋外に彫刻や立体があればそれは野外彫刻なのか、と聞かれれば、それは違うような気がするのです。
ディズニー映画の「白雪姫」に登場するこびとの置物がお庭にあるのは珍しくありません。
しかし、これは「野外彫刻」というよりは、ホーマックなどのホームセンターで買ってくる大量生産商品というのがふさわしいでしょう。
墓地の近くにある石材屋の店先にあるアンパンマンの石の立体も、同じようなものです。
では、このカノーバの女神はどうでしょう。
ネット検索すると、これを輸入販売している業者があるんですね。
そうなるとこれは、はたして彫刻といえるのかどうか。
いや、たしかに「彫刻」にはちがいないんでしょうが、なかなかむずかしい問題をはらんでいるといえそうです。
そもそも、どうしてこれが、ここにあるのか…。
さて。
この記事をもって、遠軽・湧別・佐呂間の「野外彫刻」についてはあらかた紹介は終わったと思われます。
オホーツク管内という枠組みでも、紹介できそうなものはもうあまり多くは残っていないでしょう。
(この項続く)