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■コレクション展 ひとのかたち(2月19日~3月20日、釧路) 2022年2月26、27日釧路→川湯→網走(8)

2022年03月20日 11時52分51秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(承前)

 アップする順番が
(1)→(17)→(8)
と、バラバラになっていますが、ご容赦ください。

 釧路市立美術館のコレクション展会場は、旭川や帯広の道立美術館の第2会場とあまり変わらない小ささで、今回も14点と小粒の展示なのですが、なかなか興味深いラインナップで攻めてきます。

 今回の出品は
川瀬敏夫「人たち」
増田誠 「アルゴナウト」
松尾洋明「嘆きの壁」「ユダの羊飼い」
ベルナール・ビュフェ「闘牛士2」(ドライポイント)
アンドレ・ドラン「婦人の肖像」
モイズ・キスリング「若い婦人の肖像」
孔柏基 「王女」
森田曠平「桃山おとめ」(紙本彩色)
西村計雄「花と乙女」
木路毛五郎「画一化された人間にもドラマはある」「胎動」
中江紀洋「二人」「抱擁」

 中江さんの2点が木彫(カツラ)、ビュフェが銅版画、森田曠平が日本画、ほか10点はいずれも油彩となっています。

 木路さん(1936~2002)の「胎動」は、1998年作。晩年に手がけていた、丸っこい線による裸婦で、「日本人の西洋画」を突き詰めたある種の到達点だと思います。
 もう1点の「画一化された…」は1970年作で、179.2×246.8センチの大作。
 ダリを思わせる奇怪な裸婦7人を、ひび割れた大地の上に配していて、通り一遍のシュルレアリスムとは異なる異様なたたずまいを見せています。「人間疎外の現代」みたいな、当時はやりの言説でまとめてしまうことも可能かもしれませんが、たとえば、7人のうち影があるのは2人だけなのはなぜかなどと考えだすと、なかなか不思議な作品だといえそうです。

 木路さんは樺太生まれ、釧路湖陵高の卒業とのこと。

 ドランとキスリングは、エコール・ド・パリの画家として著名で、道立近代美術館の所蔵品展で見た人も多いでしょう。
 西村計雄も後志管内共和町に美術館があるのでよく知られていますが、この作は、独自の抽象を確立する前の、おだやかな写実です。1949年作。

 孔柏基(1932~2018)は、上海生まれ。文化大革命に巻き込まれて地方に下放となるなど、時代に翻弄された画家だったようです。出品作は西域の石窟などを思わせる像を、混沌とした色彩で描いています。

 中江さんの「二人」のテーマは「時」だそうです。
 1971年作。荒削りな中にも造形感覚は確かなものがあり、この作者の力量が伝わります。


2022年2月19日(土)~3月20日(日)午前10時~午後5時、月曜休み
釧路市立美術館(幣舞町4-28 釧路市生涯学習センター「まなぼっと」3階)

観覧料:一般140円 大学生以下無料
*身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けた方及び付き添いの方は無料
*65歳以上の釧路市民は無料



(この項続く) 


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