(承前)
これまで、さまざまな作品について述べてきたが、たまたま筆者の目についたものに触れたまでのことで、言及しなかった作品が良くないということではまったくない。
最後に、刺繍の会員、吾妻紀子さん(札幌)の「鮭の皮刺繍 大雪の花々」について書いておこう。
吾妻さんは以前も、道内の野鳥を題材にした超大作を出すなど、見る人を驚かせてきたが、今回も会場で最大の作品。しかも、遠くに大雪山系を望む川べりに花が咲き乱れ、シカもいるパノラマ的な風景のすべてを、サケの皮で作ったというのだから、まったくビックリするしかない。
山々は皮をひろげてつくり、エゾイソツツジの群落はうろこを散りばめることで表現している。
それらは透明な糸で縫いつけられているので、刺繍ということになるそうだ。
もともと日本には、菊人形などに代表される「見立て」という文化的な伝統がある。吾妻さんの大作もその伝統上にあるのかもしれない。
「見立て」は、芸術的かどうかという観点からはやや低く見られてきたけれど、筆者はとてもおもしろいと思う。「ああ、こんなアートも『あり』なんだ」と見に来た人が思ってもらえれば、アートがより身近に感じられるのではないか。
こういう、知的ではなくても、シンプルに見る人をびっくりさせる作品の力を、侮ってはいけないと思うのだ。
(この項終わり)
2009年4月15日(水)-19日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展サイト http://www.geocities.jp/bikouten/
■第35回
■第34回
■第33回
■第31回
■第8回会員展
■第30回
■第29回
■第28回
=第33回、第29回美工展以外は画像なし
これまで、さまざまな作品について述べてきたが、たまたま筆者の目についたものに触れたまでのことで、言及しなかった作品が良くないということではまったくない。
最後に、刺繍の会員、吾妻紀子さん(札幌)の「鮭の皮刺繍 大雪の花々」について書いておこう。
吾妻さんは以前も、道内の野鳥を題材にした超大作を出すなど、見る人を驚かせてきたが、今回も会場で最大の作品。しかも、遠くに大雪山系を望む川べりに花が咲き乱れ、シカもいるパノラマ的な風景のすべてを、サケの皮で作ったというのだから、まったくビックリするしかない。
山々は皮をひろげてつくり、エゾイソツツジの群落はうろこを散りばめることで表現している。
それらは透明な糸で縫いつけられているので、刺繍ということになるそうだ。
もともと日本には、菊人形などに代表される「見立て」という文化的な伝統がある。吾妻さんの大作もその伝統上にあるのかもしれない。
「見立て」は、芸術的かどうかという観点からはやや低く見られてきたけれど、筆者はとてもおもしろいと思う。「ああ、こんなアートも『あり』なんだ」と見に来た人が思ってもらえれば、アートがより身近に感じられるのではないか。
こういう、知的ではなくても、シンプルに見る人をびっくりさせる作品の力を、侮ってはいけないと思うのだ。
(この項終わり)
2009年4月15日(水)-19日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展サイト http://www.geocities.jp/bikouten/
■第35回
■第34回
■第33回
■第31回
■第8回会員展
■第30回
■第29回
■第28回
=第33回、第29回美工展以外は画像なし
第36回は、若い作家が多く加わったことで、展覧会にとっても画期的な回になったのではないでしょうか。
来年も楽しみにしています。
音威子府は昨年はじめて訪問しました。
アトリエ3モアは、いいところですね。
いつかまた、こんどは列車で訪問してみたいです。
音威子府といえば、昨年、札幌彫刻美術館友の会のツアーに参加して、砂澤ビッキの「アトリエ3モア」などを訪問しましたが、それに数日先立って、梁井さんがそれらをことごとく訪問し、ブログにアップしているのを見て、友の会の大内さんと「すごい!」と絶句しあったのを思い出しました。