森山さんは札幌在住のベテラン画家。自由美術協会の会員であり、「北海道現代具象展」などにも出品しています。
時計台ギャラリーでは隔年で個展を開催しており、ことしはこれまでの画業をまとめた画集もつくり、会場で販売しています(1500円)。
今回の個展でも、静物を組み合わせた「卓上」のシリーズと、森山さん自身の面影をどこかに宿した人物の坐像と周囲の空間を描いた「memory」シリーズの2本だて。両者をおりまぜて展示しています。
少ない要素で絵画空間を成立させるわざは、熟練の域に達しています。
しかも、それは、たとえば熊谷守一のような、一種の「味」に頼ることなく、むしろ或る厳しさをたたえています。
突飛なたとえかもしれませんが、モランディやデュビュッフェの絵が、なにも哲学的・思想的な絵解きではないのに、存在することの深みのようなものを伝えていることと、どこか共通しているような気がするのです。「空虚な現代の反映」というような安直な解説を拒む空間追究の厳しさが、絵の「格」の高さにつながっているともいえそうです。
左が「卓上07-8」。
緑のびん、白い皿、そしてテーブルの上を縦横に走る鋭い線。
右は「memory07-1」。
「memory07-5」。
スローシャッターを切ったかのようにブレた顔の表現は、森山さん独特のものです。
「卓上07-6」。
テレビが端に置かれています。
手前左は「卓上08-1」。
ガラス窓に画廊内の人の像が反射しています。
このほか、「卓上07-5」のように、ものがテーブルに溶解したように、ほとんど抽象作品といえそうなものもありました。
出品作は次のとおり。
卓上08-2 8F
卓上06-10 6F
卓上08-1 8F
卓上06-9 15F
卓上(花)07-2 20F
memory08-1 50F
memory08-2 100F
卓上07-5 80F
卓上(花)07-1 15F
memory07-4 100F
卓上07-4 100F
卓上(花)08-1 15P
卓上07-6 60F
memory07-5 100F
卓上06-8 20F
卓上07-8 40F
memory07-1 80F
卓上08-3 8F
08年6月9日(月)-14日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■06年の個展
■04年の個展
■02年の個展