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■北海道書道連盟 創立70周年記念展 (2024年12月5~15日、札幌)

2024年12月16日 12時35分30秒 | 展覧会の紹介-書
 おもに道内の社中・グループの交流の場として、代表が1点ずつ出品して毎年開かれている書展。
 長く丸井今井札幌本店で開かれ、ギャラリー大通美術館・スカイホールの2会場態勢になったのち、2015年からは札幌市民ギャラリーで開かれています。 
 ただしどうして50周年が2006年で、60周年が14年、70周年が今年なのかは、理由はよくわかりません。
 
 今年は顧問9人を含む179人が出品しました。
 作者の五十音順に作品が並ぶのは例年通りです。
 会期中は阿部典英さんやベテラン書家たちによる講演が複数回行われましたが、それを除けば、展示自体は例年と変わったところは見受けられませんでした。
 この連盟は道展も毎日展も読売書法展も呉越同舟というところが最大の特色であり、北海道ならではの良さなので、会場に新味のある企画や相互批評がないからといって文句をつける筋合いのものではありません。 

 冒頭に、社中・グループの代表うんぬんと書きました。
 しかしこの10年ほど、それ以前にはほとんどなかった、個人での参加が増えています。170人中48人のところに所属団体が記されていません。
 それとは反対に、以前はかなり多かった、各市・地域にある書道連盟からの出品は激減し、今年は旭川書道連盟ぐらいしか見当たりません。
 即断は避けたいところではありますが、2013年の連盟展には243人が出品していたことを考えれば、書道王国といわれる北海道にも、少子化・人口減にともなう書道人口の減少の波が押し寄せているのでしょうか。
 個人参加が増えれば作品の水準は担保できるといえますが、これまでの書道連盟展は、社中の代表でないという理由で大所帯に属するベテランの作品が見当たらず、一方で小さな地方の団体の代表があまりにもよく知られた古典の臨書を出してくるなどして、むしろバラエティーという点では、北海道書道展とは違ったおもしろみがあったようにも思います。もっとも、そんなところにおもしろみを感じる人自体、あまりいないのかもしれません。

 先ほど相互批評がないと言いましたが、自らも出品している書家の岡田大岬さんは講演で、井川静芳さん「母と子」を「うまい人がへたに書いているのか、それともへたな人がへたに書いているのか」と面白がっていました。
 身も蓋もないことをいえば、良寛から山口子羊に通じるラインに学んできた岡田さんにとって、魅力のある文字に感じられるのはある意味で当然のようにも思えます。
 筆者が興味を抱いたのは、樋田香雪さんの「秋氣集南礀 獨遊亭午時」で始まる柳宗元の漢詩です。こういう少し硬い字体で漢字の多字数書を書く人は、いまでは少なくなりました。

 もう一点述べれば、以前は連盟展になかった帖の形式で、4人が出品していたことです。
 大槻佳雪さん、小野木沈香さん、廣田玲子さん、田所香風さんで、いずれもたおやかな筆で和歌を書き、かな書らしい薫り漂う作でした。


2024年12月5日(木)~15日(日)午前9時半~午後5時
北海道立近代美術館(札幌市中央区北1西17)

過去の関連記事へのリンク
第42回北海道書道連盟展 (2013)
第37回北海道書道連盟展(2008)
北海道書道連盟創立50周年記念展 ■続き(2006)


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