キンビが491点もの寄贈を受けた高橋博信氏の浮世絵コレクションから、歌川国貞51点と溪斎英泉26点を展示。
筆者は、風景画のほうが美人画よりもすきなのだが、美人画でも、「こま絵」という画中画が上の隅に描かれていることがけっこうあり、そこに描かれた江戸の名所などから想像の翼を広げるのが、とっても楽しい。
また、顔はだいたいどれも同じだが、着物の模様は多種多彩で、浮世絵って江戸のファッション雑誌でもあったんだろうなあと思う。
というわけで、筆者が浮世絵について勝手なことを書き散らすシリーズです。(5)までつづく予定。
・美人画と赤ん坊
浮世絵には、赤ん坊や子どもが出てくることが意外と多い。
今回の国貞にも2点ある。
「時世江戸鹿子 白銀の清正公」と「江戸八景ノ内 愛宕(あたご)」である。
これらを見ていると、赤ん坊は、いきな女性を登場させる、いわば口実ではないかという気がしてくる。
肌をちらりと見せる湯上り姿と同じようなものだ。
つまり、授乳の情景だといういいわけが成り立つような場面なら、女性の胸元を描くことができるから、赤ん坊を描いたのではないか。
「白銀の清正公」は、おそらく授乳が終わって、赤ん坊がすやすやと眠り始めたときの場面だと思う。
この「白銀」は、いまは高級住宅街として名高い白金(港区)のこと。
清正公(せいしょうこう)とは、加藤清正の位牌をまつっている覚林寺(現在の白金台1丁目)をさす。清正は、朝鮮出兵でトラ退治をしたという伝説で有名な戦国武将だ。
一方、「愛宕」のほうは、女が赤ん坊とくちづけしている。愛情の表現なのだろうか。
右側には、火鉢があり、かごのようなものをかぶせているが、これもどんな意味があるのかわからない。
愛宕神社が防火の守り神とされていることと、なにか関係があるのだろうか。
愛宕も港区で、標高30メートル弱の小高い丘になっている。
当時は東京湾が見えたらしい(いまでもビルがなければ見えるのかも)。いまはNHK放送博物館が建っている。
「江戸名所図会」にいう。
要するに、眺めは最高で、夏も木がうっそうとして涼しく、毎月24日は参拝客が多く、とりわけ6月24日は多い、ってことですね。
12月13日(水)-2007年1月28日(日)
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D)
これくしょん・ぎゃらりぃの2階から入れば無料です。
筆者は、風景画のほうが美人画よりもすきなのだが、美人画でも、「こま絵」という画中画が上の隅に描かれていることがけっこうあり、そこに描かれた江戸の名所などから想像の翼を広げるのが、とっても楽しい。
また、顔はだいたいどれも同じだが、着物の模様は多種多彩で、浮世絵って江戸のファッション雑誌でもあったんだろうなあと思う。
というわけで、筆者が浮世絵について勝手なことを書き散らすシリーズです。(5)までつづく予定。
・美人画と赤ん坊
浮世絵には、赤ん坊や子どもが出てくることが意外と多い。
今回の国貞にも2点ある。
「時世江戸鹿子 白銀の清正公」と「江戸八景ノ内 愛宕(あたご)」である。
これらを見ていると、赤ん坊は、いきな女性を登場させる、いわば口実ではないかという気がしてくる。
肌をちらりと見せる湯上り姿と同じようなものだ。
つまり、授乳の情景だといういいわけが成り立つような場面なら、女性の胸元を描くことができるから、赤ん坊を描いたのではないか。
「白銀の清正公」は、おそらく授乳が終わって、赤ん坊がすやすやと眠り始めたときの場面だと思う。
この「白銀」は、いまは高級住宅街として名高い白金(港区)のこと。
清正公(せいしょうこう)とは、加藤清正の位牌をまつっている覚林寺(現在の白金台1丁目)をさす。清正は、朝鮮出兵でトラ退治をしたという伝説で有名な戦国武将だ。
一方、「愛宕」のほうは、女が赤ん坊とくちづけしている。愛情の表現なのだろうか。
右側には、火鉢があり、かごのようなものをかぶせているが、これもどんな意味があるのかわからない。
愛宕神社が防火の守り神とされていることと、なにか関係があるのだろうか。
愛宕も港区で、標高30メートル弱の小高い丘になっている。
当時は東京湾が見えたらしい(いまでもビルがなければ見えるのかも)。いまはNHK放送博物館が建っている。
「江戸名所図会」にいう。
抑(そもそも)当山(愛宕神社のこと)は懸岸壁立(へきがんへきりゅう)して空を凌(しの)ぎ、六十八級の石階は、畳々として雲を挿(さしはさ)むが如く聳然(しゅうぜん)たり。山頂は松柏鬱茂し、夏日といへどもこゝに登れば、涼風凛々(りんりん)としてさながら炎暑をわする。見落(おろ)せば三条九陌(きゅうはく)の万戸千門は、甍(いらか)をつらねて所せく、海水は渺焉(びょうえん)とひらけて、千里の風光を貯へ、尤も美景の地なり。月ごとの廿四日は縁日と称して参詣多く、とりわき六月廿四日は、千日参(まいり)と号(なづ)けて、貴賤の群参稲麻(とうま)の如し。(縁日ごとに植木の市立ちて、四時の花木をこゝに出す。尤も壮観なり)
要するに、眺めは最高で、夏も木がうっそうとして涼しく、毎月24日は参拝客が多く、とりわけ6月24日は多い、ってことですね。
12月13日(水)-2007年1月28日(日)
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D)
これくしょん・ぎゃらりぃの2階から入れば無料です。
炭の火の粉が飛び散らないようにした物だと思います。
書斎用のものは軸などが近く、特に防火に配慮された形に考えられたと思います。
なるほど、しかし、その上にどっさり衣類をのっけておくのはどうなんでしょう。
衣類が乗っているのは、子供に着せる服を温めているのではないでしょうか(これは何かで読んだような気がします)。
SHさん、よくわかりました。
ありがとうございます。