あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

土木工事 1

2011-09-07 | 
もう数ヶ月前の話になってしまったが、毎年毎年夏が終わると新しい事が始まる。
それは野菜作りだったり、石けん作りだったり、ニワトリを飼うことだったり、EMだったり、とまあ色々なことが始まるのである。
今年のプロジェクトは土木工事。
土方である。



家の駐車場兼ドライブウェイは幅4m長さ20m。
車が4台、うまく詰めれば5台ぐらいは停められる広さがある。
一応砂利が敷いてあるのだが、長年手入れをしてこなかったのだろう。砂利と土は混ざっていて雑草がすぐに生い茂ってしまう。
女房がヒマさえあればせっせと雑草を抜いていたのだが、抜いても抜いても次から次へと雑草は生えてくる。
除草剤をまけば雑草は駆除できるがケミカルは使いたくない。
常日頃から「なんとかしなきゃあなあ」と思っていた。
ある日、庭仕事をしている時に1人のおばあさんが家の前を通りかかった。
おばあさんは歩行器を押していたのだが、その際歩道の小石を避けるように進んだ。
歩道には車の出入りの際にどうしても小石がちらばってしまう。
普通に歩く分には気にならないのだが、小さな車輪がついたもの、足腰が弱っている人には邪魔になる。
おばあさんは何も言わなかったが、その姿を見て「いよいよこれは何とかせねばいかん」と思った。それがここに住む人の責任ってものだろう。
家にはコンクリートブロックがかなりの数ある。それを敷き詰めることも考えたが隙間から雑草は生えてくる。
それならばいっそのこと舗装にしよう。
舗装にもアスファルト舗装とコンクリート舗装がある。
アスファルトは高い、というわけであえなく却下。
コンクリート舗装にしても業者に頼めば何千ドルとかかる。
それならばいっそのこと自分でやっちゃおうか。
そう考え始めたのが3月のことだ。
土方の経験はある。
高校の夏休みはアルバイトで土方をやったし、20代もバイトで土方をよくやった。
現場で働いた経験はあるが、自分で設計から何から何までやったことはない。
まずはイメージ作りから始まった。



今ある場所にきれいなコンクリートのドライブウェイがあることを想像する。できるだけ細かく形や色までも想像する。
ボクは来る日も来る日も家のドライブウェイを眺めた。
散歩に行っても他の家のドライブウェイを眺めて参考にした。
そして調べる。
まずはコンクリートの厚さはどれぐらいか。
インターネットで検索すればすぐに出てくるし、町の図書館でDIY(Do it yourself)の本も借りてきた。
厚さは10~15cm。厚い方が丈夫なわけだが、その分コストもかかる。それだけ深く掘り下げなくてはいけない。地面を掘れば土の処理も考えなくてはいけない。
かといって薄ければ強度は下がる。車が入ったときにひび割れなども起きるかもしれない。
いろいろと調べて出した結論は厚さ10cm。補強するために中に鉄筋を入れることにした。
コンクリートというのは圧縮に強く引っ張りに弱い。逆に鉄筋は圧縮に弱く引っ張りには弱い。
なのでこの二つを組み合わせて鉄筋コンクリートにする。
なんといっても工業高校の建築科を出ている。
大学受験の勉強はやらなかったが、コンクリートの棒に機械で力を加え、どういう力で破壊されるかという実験をやった。
あの高校の建築科へ行ったことも全くの無駄ではなかったわけだ。
厚さが決まれば広さをかければ体積は出る。これは小学校の算数の問題だ。
厚さ10cm広さは約80平方メートルなので8立方メートルのコンクリートが必要だ。
プロならば枠を全部組んで下地も全部ならし鉄筋も全部敷いて、一気にコンクリートを流すだろうが、ボクはプロではない。
自分の力でコツコツやりたいと思っていたので、範囲をいくつかに分けて考えた。



家の基礎など立体的にコンクリートを打つ(コンクリートは作るのではなく打つと言う)時は鉄筋をその形に加工して、結束線というもので縛り付けていく。これも土方でやった。
今回は平面で打つので、ワイヤーメッシュといってシート状になっているものを使う。手間も省けるし、そんなに高いものでもない。
ホームセンターに行って調べると長さは4650ミリ、というわけで1回ごとに打つ長さが決まった。
娘を送り迎えする途中には製材所がある。ここで枠用の木と杭を買う。木枠は頼めば切ってくれるのだが、最初から4.8mの長さのものがあった。
迷わず買う。毎度あり~、チーン。
縦の枠を置いてみると広さが見えてくる。
漠然としていたイメージがより細部まで想像出来るようになる。
イメージが出来なかったら物はできない。イメージが出来てくれば、やることだって見えてくる。
手順としては枠を決め地面を掘るわけだが、段取りも考えなくてはいけない。
掘り始めたら車の乗り入れができなくなってしまうので、その前にやることをやっておく。
まずはセメントを10袋買って物置に保管。ついでにワイヤーメッシュも2枚買う。
そしてコンクリート用の砂利と砂が混ざったものを2立米買い、トラックで配達してもらう。
準備は完了。次は作業だ。
コンクリート打ちは出入り口、道路側から始めることにしたのだが、問題は境界線だ。
家の前の歩道はアスファルトが敷いてある。
アスファルトの端はギザギザでドライブウェイの砂利と混ざっている。
ここをきれいにしたいなあ。
まずは手元にあるスコップでガシガシとアスファルトの端を削ってみる。
アスファルトはボロボロと崩れ、あまりきれいではない。
よし、それならアスファルトを切ってみよう。
アスファルトの厚さは2cmほど。ハンドカッターで切れない厚さではない。
友達のアイヴァンに電話をしてハンドカッターを借りる。こういう時に持つべきものは友だ。
こういった物も店で借りればお金はかかる。友達が持っているなら借りればよい。
作業時間15分ほどでアスファルトは綺麗な直線で切れた。
アイヴァンにハンドカッターを返す時に、お礼としてビール6本。お金はこうやって使うものだ。
そこから4,65mに横枠を組む。
枠組みが決まり、コンクリート打ちの範囲がはっきりと定まった。
ビジョンはより強いものになっていく。






コメント (4)
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