短距離走
2011-09-27 | 日記
最近の日課だが、娘と毎日走っている。
娘の学校で陸上競技が始まったらしく、その大会があるそうな。
「よし、それなら大会まで毎日練習しよう」
ということで夕方1時間ほど近くの公園で走る。
家から歩いて5分ぐらいの所にはカンタベリーパークという公園がある。
特に何があるというわけではないだだっ広い公園だが、池がありその周りは散歩コースもある。
牧場とつながっていて、柵の向こうでは羊がのんびりと草を食む、という典型的なニュージーランドの景色だ。
ここへ来ると平野の向こうに山も見えるし、ニュージーランド原生の植物がたくさんあり鳥も多く、気持ちの良い場所だ。
気持ちの良い場所はエネルギーの高い場所でもある。
娘が出る種目は60m走と80m走。
巻尺で距離を計り、毎日何本かタイムを計る。
ボクの父親は陸上競技の選手で、若い時には国体でメダルを取ったこともある。
家には本物の砲丸や円盤などがあった。
まだ小さい頃それで遊んでいて、出しっぱなしにして盗まれて、叱られた記憶がある。
ボク自身はというと、子供の時は野球小僧で陸上を競技としてやったことはない。
だが中学ぐらいの時に,父に砲丸投げのやり方を教わったこともあった。三日坊主だったが。
陸上競技は素人だが、何も知らない子供にコーチ(と呼べるかどうかわからないが)をするぐらいはできる。
腕をちゃんと振って走る、ゴールは駆け抜ける、1本1本を集中して走る、といったような基本的なことだ。
これをきっちりとやるだけで、大分変わる。というかそれまでがゼロだったのだから速くなって当たり前だ。
練習を始めて三日目ぐらいだったか、深雪が行くのを渋りだした。
まるで絵に描いたような、典型的な三日坊主である。
子供の頃の自分を見ているようだ。
家から出て走り始めるといいのだが、踏ん切りがつかないというか怠け心というか。
怒ったりなだめすかしたりして、家を出る。
走り始めても全力で走らず、手を抜くことを覚えた。
それはタイムにはっきりと出る。
僕はどなる。
「やる気あるのか!やる気がないなら帰る!」
「やる気ある~。次はがんばるから」
「本当か?手を抜くなよ。遅かったらオマエを置いてオレは帰るぞ」
そして再び走る。
さすがにおどしが効いたのか、全力で走ってきた。
そして自己最高のタイムも出た。
「よくやった。な、オマエはやればできるんだ。がんばればこんなに速く走れるんだ。今の走りは良かったぞ。エライ!深雪」
ジキルとハイドのごとく、別人のように態度を変えボクは娘を誉める。
子供の前にハードルを置き、それを乗り越えた時に誉めるのが父親の仕事だ。
そしてそのハードルはどんどん高くしていく。これが子供の成長である。
深雪もはっきりとタイムが出たのがうれしいのだろう。がぜんやる気が出てきた。
叱ったり誉めたり、そんな調子で練習は続く。
ある日学校の帰りに深雪が言った。
「クラスで一番速い女の子がいるのね。今日その子と走ったんだけど、ゴールした時これぐらいの差だったの」
これぐらい、と腕を広げたのは1mにも満たないだろう。
「そうかあ、そりゃ練習の成果が出たんだろう。な、毎日やってるから速くなっているんだよ」
そして僕達は走りに行く。
毎日やっているうちに走り方も少しはさまになってきた。これは親の欲目か?
公園には犬を連れて散歩に来る人もいて、挨拶を交わす。
犬もだだっ広い所を思いっきり走れて気持ち良さそうだ。ここでは犬も幸せだ。
椎名誠が何かの本で書いていた。ニュージーランドは犬と子供が幸せな国だ。ボクもそう思う。
帰りはゆっくりと散歩をしながら帰る。
川沿いにはちょっとした茂みがあるが、そこでポロポロの木に黄色い実がついているのを発見。
この木は家にもあり、とんでもなく生い茂っていたのを切って、今そこはニワトリ達の住みかとなっている。
実は黄色で、熟していない緑の実には毒がある。熟した実も人間は食べないがニワトリ達は争って食べる。
実は秋にできるのだが、冬を越えた今でもまだ残っている。いくつか持って帰ってニワトリ達へのお土産にしよう。
コファイも黄色い花を咲かせ始めた。
マオリ語で黄色という名のこの木は春に黄色い花を咲かせる。
黄色といっても鮮やかな黄色でなく、黄色にほんの少し黒を混ぜたらこんな色になるのではないか、というようなちょっとくすんだ黄色だ。
ボクはこの黄色が好きだ。
国の花と完全に認められているわけではないが、ニュージーランドではそれに値するぐらい人気がある。
黄色い実は毒、と物の本には書いてあるが、マオリの人たちはこれを整腸剤として摂っていた。
毒というのは使い方では薬にもなる。
道に出れば桜は満開、椿が赤、白、ピンクの花を咲かせている。
ニュージーランドは春である。
娘の学校で陸上競技が始まったらしく、その大会があるそうな。
「よし、それなら大会まで毎日練習しよう」
ということで夕方1時間ほど近くの公園で走る。
家から歩いて5分ぐらいの所にはカンタベリーパークという公園がある。
特に何があるというわけではないだだっ広い公園だが、池がありその周りは散歩コースもある。
牧場とつながっていて、柵の向こうでは羊がのんびりと草を食む、という典型的なニュージーランドの景色だ。
ここへ来ると平野の向こうに山も見えるし、ニュージーランド原生の植物がたくさんあり鳥も多く、気持ちの良い場所だ。
気持ちの良い場所はエネルギーの高い場所でもある。
娘が出る種目は60m走と80m走。
巻尺で距離を計り、毎日何本かタイムを計る。
ボクの父親は陸上競技の選手で、若い時には国体でメダルを取ったこともある。
家には本物の砲丸や円盤などがあった。
まだ小さい頃それで遊んでいて、出しっぱなしにして盗まれて、叱られた記憶がある。
ボク自身はというと、子供の時は野球小僧で陸上を競技としてやったことはない。
だが中学ぐらいの時に,父に砲丸投げのやり方を教わったこともあった。三日坊主だったが。
陸上競技は素人だが、何も知らない子供にコーチ(と呼べるかどうかわからないが)をするぐらいはできる。
腕をちゃんと振って走る、ゴールは駆け抜ける、1本1本を集中して走る、といったような基本的なことだ。
これをきっちりとやるだけで、大分変わる。というかそれまでがゼロだったのだから速くなって当たり前だ。
練習を始めて三日目ぐらいだったか、深雪が行くのを渋りだした。
まるで絵に描いたような、典型的な三日坊主である。
子供の頃の自分を見ているようだ。
家から出て走り始めるといいのだが、踏ん切りがつかないというか怠け心というか。
怒ったりなだめすかしたりして、家を出る。
走り始めても全力で走らず、手を抜くことを覚えた。
それはタイムにはっきりと出る。
僕はどなる。
「やる気あるのか!やる気がないなら帰る!」
「やる気ある~。次はがんばるから」
「本当か?手を抜くなよ。遅かったらオマエを置いてオレは帰るぞ」
そして再び走る。
さすがにおどしが効いたのか、全力で走ってきた。
そして自己最高のタイムも出た。
「よくやった。な、オマエはやればできるんだ。がんばればこんなに速く走れるんだ。今の走りは良かったぞ。エライ!深雪」
ジキルとハイドのごとく、別人のように態度を変えボクは娘を誉める。
子供の前にハードルを置き、それを乗り越えた時に誉めるのが父親の仕事だ。
そしてそのハードルはどんどん高くしていく。これが子供の成長である。
深雪もはっきりとタイムが出たのがうれしいのだろう。がぜんやる気が出てきた。
叱ったり誉めたり、そんな調子で練習は続く。
ある日学校の帰りに深雪が言った。
「クラスで一番速い女の子がいるのね。今日その子と走ったんだけど、ゴールした時これぐらいの差だったの」
これぐらい、と腕を広げたのは1mにも満たないだろう。
「そうかあ、そりゃ練習の成果が出たんだろう。な、毎日やってるから速くなっているんだよ」
そして僕達は走りに行く。
毎日やっているうちに走り方も少しはさまになってきた。これは親の欲目か?
公園には犬を連れて散歩に来る人もいて、挨拶を交わす。
犬もだだっ広い所を思いっきり走れて気持ち良さそうだ。ここでは犬も幸せだ。
椎名誠が何かの本で書いていた。ニュージーランドは犬と子供が幸せな国だ。ボクもそう思う。
帰りはゆっくりと散歩をしながら帰る。
川沿いにはちょっとした茂みがあるが、そこでポロポロの木に黄色い実がついているのを発見。
この木は家にもあり、とんでもなく生い茂っていたのを切って、今そこはニワトリ達の住みかとなっている。
実は黄色で、熟していない緑の実には毒がある。熟した実も人間は食べないがニワトリ達は争って食べる。
実は秋にできるのだが、冬を越えた今でもまだ残っている。いくつか持って帰ってニワトリ達へのお土産にしよう。
コファイも黄色い花を咲かせ始めた。
マオリ語で黄色という名のこの木は春に黄色い花を咲かせる。
黄色といっても鮮やかな黄色でなく、黄色にほんの少し黒を混ぜたらこんな色になるのではないか、というようなちょっとくすんだ黄色だ。
ボクはこの黄色が好きだ。
国の花と完全に認められているわけではないが、ニュージーランドではそれに値するぐらい人気がある。
黄色い実は毒、と物の本には書いてあるが、マオリの人たちはこれを整腸剤として摂っていた。
毒というのは使い方では薬にもなる。
道に出れば桜は満開、椿が赤、白、ピンクの花を咲かせている。
ニュージーランドは春である。