ゼロから一代で成功した人に学ぶ
私がずっと興味を持っていたことがあります。個人で年収3000万円以上稼いでいる人たちは、普段はいったいどんな話をしているのだろうかということです。
私が考える稼ぐ金持ちは、先祖代々の富裕層のことではありません。なぜなら、本人の努力や才覚とは無関係にただ親がお金持ちだった人は、何かと余裕があり一般人とは違います。考えることのスケールが大きいのは当たり前ですよね。
私たち一般人は、金持ちになりたいと思ったときに、最初の一歩をどう踏み出すか、あるいは壁にぶつかったときにどう乗り越えるか、どうやって仲間を増やしていくかで迷うものです。
だからこそ、ゼロから一代で成功した人の言動、彼らが成功していく過程でやっていたことを真似ることが、凡人の私たちには応用する価値が高いのではないか、と考えています。
「信用できる人」と「信用できない人」の違い
私たちは、同じように生まれ、同じように学校に通い、同じように社会に出てきました。
にもかかわらず、「あの人は信用できる」「憧れる」「一緒に仕事をしたい」「また会いたい」「あの人についていきたい」と言われる人がいる一方で、「あの人は信用できない」「イヤなヤツ」「二度と会いたくない」「もう一緒にはやれない」という評価となる人がいるのはなぜでしょうか。
この違いをもたらす違いとは、いったい何なのか。それがコミュニケーション能力ではないか、というのが私の仮説です。
たとえばビジネスで昇進する人は、周囲に「あいつを昇格させよう」と推してくれる人がいます。新しいプロジェクトに任命されるのも、「あいつをメンバーに入れよう」となります。
真のリーダーとは、「自分がリーダーだ」と主張しなくても、「君がリーダーだ」と任命されなくても、「○○長」という肩書がなくても、自然に皆がついていく人のこと。
では、こうした評価は、どのように形成されていくのだろうか。その答えのひとつが、その人がどういう言葉を発するか、だと思っています。
絶海の孤島に一人で住んでいるならばいざしらず、私たちは他人と関わって生きています。他人との関わりの中で、自分の人生が形成されます。それこそがコミュニケーションであり、会話です。
実際、どんなに環境が変化しても、基本は人間同士のやりとりです。営業、商談、交渉、プレゼン、面接など、あらゆる場面でコミュニケーションが必要となりますから。
極端な話、大学までは会話がおぼつかなくても、多少の差はあれど、親さえいれば生きていけるでしょう。しかし社会に出れば死活問題です。コミュニケーション力の差は人生の格差をも生むと考えられます。
そこで、私の周りで、30代で年収3000万円以上稼ぐ人が、どんな会話をしているのかを取材したり、文献を調べて考えてみました。
成功者はますます成功するための会話をしている
のっけから答えを言ってしまうと、成功していく人は、いつもビジネスや投資の話をしています。自分のビジネスに役立つ議論、新しい投資のネタに関する情報交換をしているのです。
もちろん政治や経済の話題も出ますが、ほとんどは「どうやればもっと儲かるか」「どうやればもっと面白いビジネスを生み出せるか」についての会話がほとんど。
会話のベクトルがすべて挑戦や儲けに向けられているのです。まさしく思考回路、すなわち頭の中身が成功に向けられているといえます。
また、稼ぐ人の口から、「そんなの意味ねーよ」「やるだけムダ」「どうせ自分はダメだ」なんて言葉が出てくることはないのはなぜか。それは、無意識のうちに自分の未来の可能性を信じているからです。
仮に今、不遇な時代だと感じても、未来は変えられる、挽回できると信じているからです。
逆に、自分の未来を自分で信じられなくなると、自分の人生に疑念が生じます。変えられないと絶望し、やりどころのない怒りが沸いてきます。絶望や怒りという感情ではなくても、無意識の不平不満が蓄積していきます。
そうすると感情の矛先は自分以外に向かい、何かあれば他人を呪うようになります。「上司が悪い、会社が悪い、政府が悪い、社会が悪い」。
とはいえ、思考を変えるのは難しい。だから、言葉を変えることから始めよう。ネガティブな言葉を使うのをやめて、無理やりポジティブなことだけを口にするのです。
「そんなの意味ないよ」という言葉が出てくるのを抑え、「それは面白そうだ」に変える。「ムダだよ」という言葉をぐっとこらえ、「やってみる価値はある」に変える。
そうしているうちに、思考のほうもつられて変わってくる。かつて私自身もそうでした。みなさんも、自分の言葉から、変えてみませんか?
文:午堂 登紀雄(米国公認会計士)
大学卒業後、会計事務所などを経て、米国コンサルティングファームで経営コンサルタントとして経営戦略立案や企業変革に従事。貯金70万円を1年で3億円の資産に成長させた経験をもとに、お金持ちになる方法や考え方を伝授。
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