病気、ケガ、出産などさまざまなシーンで保障が
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意外と知らない?健康保険等に加入しているだけでもらえる給付金や使える制度を解説© LIMO | くらしとお金の経済メディア
日本は、国民全員が公的な医療保険により充実した医療を受けられます。また、安い費用負担で高度な医療を受けられるのも特徴です。こうしたことが当たり前にできているのは、私たち誰もが「健康保険」に加入しているためです。
健康保険では、病気やケガ、出産、死亡時とさまざまなシーンで保障が受けられます。手当や給付といったお金を受け取れる場合もあるため、知っておくとお得な場合もあるでしょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
健康保険に加入している人が保障される制度
健康保険に加入している人が保障されるシーンは、病気・ケガ・出産・死亡とさまざまです。健康保険では、医療を受けるシーンごとに手当や給付などが用意されています。各シーン別に、具体的な手当や給付内容を解説します。
病気やケガで使える制度
健康保険の加入者が病気やケガになった場合は、主に以下の給付や手当が受けられます。
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【写真全4枚】病気やケガになった場合の給付や手当一覧。写真後半では出産時の手当金等を紹介© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・高額療養費:1カ月の医療費の自己負担額が高額になった際に、自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される。
・傷病手当金:被保険者が病気やけがのために働けずに会社を3日以上連続して休んだ場合、4日目の休業日から給与の3分の2が休んだ日の間支給される。
・入院時食事療養費:入院時の食費の一部を負担してくれる。
・入院時生活療養費:入院する65歳以上の人が生活療養した際の費用の一部を負担してくれる。
・訪問看護療養費:在宅で療養している人が訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合に、費用の一部を負担してくれる。
高額療養費は、1カ月の医療費が自己負担限度額を超えた際に、超えた分がすべて払い戻される制度です。大病や大きな怪我をした際の費用負担が最低限で済むため、安心して医療を受けられます。自己負担限度額は自分の給与額に基づき決まります。
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自己負担限度額© LIMO | くらしとお金の経済メディア
たとえば、毎月の給与が30万円の30歳代の人が、1カ月に15万円窓口で医療費を支払ったとしましょう。給与が30万円の場合の自己負担限度額は「8万100円-(医療費-26万7000円)×1%」となります。
現役世代が窓口で負担する医療費は3割ですから、1カ月に15万円の医療費を窓口で支払った場合、総医療費は50万円です。よって、自己負担限度額は、7万7770円となります。窓口で支払った15万円のうち、自己負担すべき金額は7万7770円のため、差額の7万2230円が高額療養費として支給されるのです。
また、病気やケガで入院して会社を休み続けている場合には傷病手当金が支給されます。傷病手当金は、連続して3日以上会社を休んでいる場合に、4日目から休んだ期間の分だけ支給されます。連続して3日間の休業がない場合には、手当は支給されません。
支給額は「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」です。つまり、日額給与の3分の2が休んでいる間に支給されるのです。
たとえば、毎月の給与が25万円の場合、5566円が傷病手当金として支給され続けます。30日会社を休んだとすると、27日間5600円が支給され続けるため、合計で約15万円受け取れます。入院による収入減少を防げるため、家賃や公共料金の支払いといった生活費支出を、滞りなく行えます。
このほか、入院時の食事費用の一部を負担する「入院時食事療養費」や生活療養費の一部を負担する「入院時生活療養費」、訪問介護時の療養費の一部を負担する「訪問介護療養費」などがあります。
出産育児一時金と出産手当金
健康保険の加入者が出産した際は、出産育児一時金や出産手当金が受け取れます。
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出産育児一時金と出産手当金の概要© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・出産育児一時金:出産時に最大50万円の一時金が受け取れる。
・出産手当金:出産日または出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日まで、給与の3分の2が支給される。
出産育児一時金は、出産時に最大50万円の一時金が支給される給付です。被保険者やその家族が、妊娠4か月(85日)以上で出産をした際に支給されます。早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。
支給額は医療機関の種類や妊娠週数によって変わります。支給額の要件は以下のとおりです。
・産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合:50万円
・産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合:48万8000円
・産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合:48万8000円
また、出産前後には出産手当金が支給されます。出産手当金は、出産日または出産予定日前42日から出産翌日56日の間、日額給与の3分の2が支給される制度です。
たとえば、出産前まで毎月30万円の給与を受け取っていた場合、6667円が出産手当金として支給されます。出産手当金は98日間支給を受け続けられるため、合計で65万3366円の支給を受けられます。
出産後はすぐに働けないため収入を得られません。しかし、出産手当金を活用すればある程度の収入を確保できるでしょう。
加入者が亡くなったときの埋葬料と埋葬費
健康保険の加入者が亡くなったときにお金を受け取れる制度として「埋葬料」または「埋葬費」が5万円支給されます。
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埋葬料と埋葬費の概要© LIMO | くらしとお金の経済メディア
・埋葬料:被保険者が業務外の事由により亡くなり、亡くなった被保険者に生計を維持されていた人が埋葬を行う際に5万円が支給される
・埋葬費:埋葬料を受けられる人がいない際に限り、実際に埋葬を行った人に埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用が支給される
埋葬料は、健康保険の加入者が亡くなった際、その人に生計を維持されていた人が埋葬を行うときに支給されます。支給額は5万円です。生計を維持されていれば誰でも支給対象となり「親族かどうか」「同一世帯かどうか」などは一切関係ありません。
また、埋葬費は埋葬料を受けられる人がおらず、代わりに埋葬をした人に対して5万円を限度に支払われます。このときの「埋葬に要した費用」とは、以下のものを指します。
・霊柩車代
・霊柩運搬代
・霊前供物代
・火葬料
・僧侶の謝礼 など
火葬だけでも数万円の費用がかかるため、限度額の5万円を受け取れる可能性も十分考えられます。
なお、国民健康保険の加入者でも「葬祭費」として自治体から給付を受けられる場合があります。金額や支給要件などは自治体ごとに異なります。もし国民健康保険に加入している人が亡くなった際は、自治体窓口に問い合わせてみましょう。
まとめにかえて
健康保険では、さまざまな給付や手当を受けられます。「働けずに収入が確保できない」といった不安が解消できるため、安心して医療を受けられたり休暇に入れたりするのがメリットです。
また、こうした給付や手当があることを知っておけば、入院時や出産時にどれくらいのお金が必要か、検討がつきやすくなります。ライフプランを立てるときにも役立つため、ぜひ健康保険の給付内容をおさえておきましょう。
参考資料
・厚生労働省「国民皆保険制度の意義」
・全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
・全国健康保険協会「傷病手当金」
・全国健康保険協会「入院時食事療養費」
・全国健康保険協会「入院時生活療養費」
・全国健康保険協会「訪問看護療養費」
・全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」
・全国健康保険協会「出産手当金について」
・全国健康保険協会「ご本人・ご家族が亡くなったとき」
・全国健康保険協会「出産育児一時金について | よくあるご質問