Q1・12「心理学を勉強すると、人の心が読めるようになりますか」ーー読心術
人間は社会的動物です。人との関係なくしては生きていけません。対人関係をよくするには、何はともあれ、相手の本当の考えや気持ちを知ることが大切になってきます。そのことが、質問のように、読心術への期待になるのだと思います。 その読心術が心理学を勉強すればできるようになるかですが、それは、もちろん、「はい」が答えです。心理学は、そのために日夜努力を重ねているのですから。
では、相手の心や気持ちを私たちはどのように知ることができるのでしょうか。実にいろいろの方法を縦横に駆使して、対人理解を試みています。その代表的な理解の方法を3つ紹介してみます。 ***図 別添
●投影的理解
自分(I;主体的自己)で自分(Me;客観的自己)を理解するときの図式(I--->Me)を、そのまま相手の心や気持ちの理解に使うのです。
相手が自分と同じような心性を持っているときには、かなり精度の高い理解ができますが、たとえば、親が子どもを、教師が児童を、日本人がアメリカ人を、さらには、人間が動物を、となると、投影的な理解には限界があります。 しかし、投影的な理解は、対人理解においては、最もよく使われ、しかも有効な理解の仕方です。
●共感的理解
投影的理解と似ていますが、相手の主体としての自己(I)に寄り添って、相手のIと自分のIとを重ね合わせることで、相手のMeを理解しようとします。
ややわかりにくい説明になりました。別の言い方をするなら、投影的理解が、自分の「I--->Me」図式を相手の心の理解に使うのに対して、共感的理解は、相手の「I-->Me」図式を使うのです。 これは、かなり難しい理解の仕方ですが、カウンセリングでは必須の理解の仕方になります。したがって、それなりの訓練が必要となります。
ただ、極めて親しい人、たとえば、友人どうし、夫と妻などの間での心や気持ちの理解では、ごく自然に使われています。というより、共感的理解ができているような関係でないとすると、何か問題があることになります。
●因果的(科学的)理解
ここで心理学的な知識が役立ちます。もしあなたが対人理解についての社会心理学の知識を豊富に持っているなら、今現在の心や気持ちをもたらしている原因に思いをはせるはずです。そして、必要なら、その原因を取り除いたり強化することで、相手の今の心や気持ち(結果)を変えることを試みるはずです。
この3つの理解の仕方が、本当は、うまく連携を保って互いの長短を活かし補っていくのが一番よいのですが、どういうわけか、人によって理解の仕方に好みがあるようです。それは、時には、相手への偏見を生んだり、浅い理解しかさせなかったりします。
解決策は、手前みそになりますが、心理学ではないかと思います。因果的理解を支援するだけでなく、投影的理解と共感的理解をする人の心理のくせについての知識をも提供できるからです。
人間は社会的動物です。人との関係なくしては生きていけません。対人関係をよくするには、何はともあれ、相手の本当の考えや気持ちを知ることが大切になってきます。そのことが、質問のように、読心術への期待になるのだと思います。 その読心術が心理学を勉強すればできるようになるかですが、それは、もちろん、「はい」が答えです。心理学は、そのために日夜努力を重ねているのですから。
では、相手の心や気持ちを私たちはどのように知ることができるのでしょうか。実にいろいろの方法を縦横に駆使して、対人理解を試みています。その代表的な理解の方法を3つ紹介してみます。 ***図 別添
●投影的理解
自分(I;主体的自己)で自分(Me;客観的自己)を理解するときの図式(I--->Me)を、そのまま相手の心や気持ちの理解に使うのです。
相手が自分と同じような心性を持っているときには、かなり精度の高い理解ができますが、たとえば、親が子どもを、教師が児童を、日本人がアメリカ人を、さらには、人間が動物を、となると、投影的な理解には限界があります。 しかし、投影的な理解は、対人理解においては、最もよく使われ、しかも有効な理解の仕方です。
●共感的理解
投影的理解と似ていますが、相手の主体としての自己(I)に寄り添って、相手のIと自分のIとを重ね合わせることで、相手のMeを理解しようとします。
ややわかりにくい説明になりました。別の言い方をするなら、投影的理解が、自分の「I--->Me」図式を相手の心の理解に使うのに対して、共感的理解は、相手の「I-->Me」図式を使うのです。 これは、かなり難しい理解の仕方ですが、カウンセリングでは必須の理解の仕方になります。したがって、それなりの訓練が必要となります。
ただ、極めて親しい人、たとえば、友人どうし、夫と妻などの間での心や気持ちの理解では、ごく自然に使われています。というより、共感的理解ができているような関係でないとすると、何か問題があることになります。
●因果的(科学的)理解
ここで心理学的な知識が役立ちます。もしあなたが対人理解についての社会心理学の知識を豊富に持っているなら、今現在の心や気持ちをもたらしている原因に思いをはせるはずです。そして、必要なら、その原因を取り除いたり強化することで、相手の今の心や気持ち(結果)を変えることを試みるはずです。
この3つの理解の仕方が、本当は、うまく連携を保って互いの長短を活かし補っていくのが一番よいのですが、どういうわけか、人によって理解の仕方に好みがあるようです。それは、時には、相手への偏見を生んだり、浅い理解しかさせなかったりします。
解決策は、手前みそになりますが、心理学ではないかと思います。因果的理解を支援するだけでなく、投影的理解と共感的理解をする人の心理のくせについての知識をも提供できるからです。