節操「気持ちを元気にする」
「自分を抑えられるのは
●自分を抑える
元気はつらつとは正反対のイメージが、節操にはあります。
元気はつらつには、心全開、外に向けての自己表現のイメージがあるのに対して、節操には、心閉鎖、内にこもるイメージがあります・
したがって、心元気のキーワードとしては、節操はふさわしくないようにみえますが、しかし、心を自らの意思でコントロール(抑制)できているという感触は、真正の元気へとつながります。
また、欲求の開放、表現は、日本のような豊かな社会では、よしとされます。さらに、心の健康という点でも、欲求の抑制は好ましいものとはされていません。しかし、欲求の野放図な開放、表現は、猛々しさ、けばけばしさ、殺伐さに満ちた都会的な趣があります。
だからこそ、抑えた美しさ、気品のある節操が大事になるのです。
●節操の心理学
節操には、気持ちの領域でのそれと、認知面でのそれとがあります。
気持ちの面での節操とは、欲求の抑制です。内面的には、感情的な安定ですが、外面的には、喜怒哀楽をあからさまにしない、どちらかというと強面(こわもて)ですね。
認知面での節操とは、内面的にはぶれない信念があり、外面的には、振る舞いの一貫性と落ち着きです。
いずれも、それがあたかも性格の安定した特性であるかのごとく周りからは見られますが、本人からすれば、かなり意図的な努力によって節操を保つというところがあります。
●心を元気にする節操の活用のコツ
①自分をコントロールできている感触を得る工夫をする
尊敬する先輩。酒席ではビールは二杯までと決めています。健康上の理由からでないようです。そして、かたくなに守っています。私も酒については、それなりに決めていますが、成り行きで酒乱なんてこともしばしば。反省の日々です。
どこかで、何かで、自分で自分を意識的にコントロールできるものを用意しておくのが節操ある生き方をするためには絶対に必要です。それが積み重なって、いたるところ節操ある振る舞いができることになるからです。
②すべてにわたり節操は、しかし、きつい
とは言っても、生活すべてにわたり節操も大変です。
ストレスも溜まってしまいます。息が抜けるところが必要です。
密かにでもいいですし、周りにもあからさまに見せてもいいですから、どこかで限定的に節操なき振舞いもしたほうが、精神衛生の上ではよいと思います。
「節操は無い方がいいですよ。節操を持ってるとね、心が自由にならないからね。」(タモリ)にも一理ありです。
また、節操過剰も周りから煙たがられることもあります。節操の発揮にも節操が必要ということですね。
③節操のみえる化をする
自分自身の心の元気のための節操ではありますが、それを支えてくれるのは、周りです。周りからの好意的なあなたへの評価が節操を維持するのに必要です。
そのためには、節操を周りに見えることです。
外見で言うなら、胸をはって、姿勢を正す、泰然自若、端正な落ちつき、動ぜず、堂々たる風情といったところでしょうか。
そして、ぶれない考え、寡黙さ、気持ちの平静さを保つことです。