月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

190.宮津駅周辺寺社彫刻名所(月刊「祭」2019.9月17号)

2019-09-17 11:51:09 | 民俗・信仰・文化-伝承・信仰-
 
 天の橋立の価値を上げる彫刻
 世界遺産に登録しようという動きも見られる天の橋立。陸が海を渡るはしのようになるという自然の奇跡は、古来より人々の信仰の対象になってきました。その中で、生まれた優れた寺社彫刻は、天の橋立をアピールする題材の一つになりうるでしょう。各寺社の縁起は毎度のウィキぺDアに任せることにして、ここでは、彫刻を紹介していきます。
●籠(この)神社の和貴宮神社
 籠神社の御分霊を勧請したと伝わる和貴宮神社です。







↑向こう側が見える籠彫りがなされています。

●中井権次(ごんじ)作の彫刻
 中井権次一統(詳しくはリンク先)は、北近畿一体から播州、摂津にいたるまでに見事な彫刻を伴う社寺建築を残した宮大工です。また、五代目からは中井権次橘●●と橘性も名乗るようになっており、同じく明石の橘正義という彫刻師とのつながりも可能性が残ります。宮津の地にも見事な作品を残しました。
 中井権次ご末裔の中井彫刻店(社寺彫刻ではなく印鑑などの制作)のご主人に大変なご厚意を賜りました。また、町中の案内は近隣の服飾店の方に詳しくご教示賜りました。

桜山天満宮(アクセスウェブページ)








 


仏性寺(アクセスウェブページ)




本堂の木鼻、欄間



楼門の龍



●金屋谷の寺町
 寺院が集まっています。全ては行けず、上の仏性寺と妙照寺、大頂寺に行きました。



↑寺院の中に鳥居があります。

↑熱心な日蓮宗の信者だった加藤清正をまつります。


↑彫刻が見事です。

↑本堂

↑龍の木鼻↓

 宮津藩の藩主京極家ゆかりの寺、そして、八百屋の娘から将軍の母にまでなった桂昌院の御霊屋があります。本堂(17世紀)、御霊屋(18世紀)ともに、当時のままの姿をとどめています。

↑坂を登って振り返れば宮津湾。


↑欄間彫刻も17世紀のもののこっています。

↑ご本尊前の龍。ご本尊については、稿をあらためます。

↑八百屋の娘から将軍の母にまで上り詰めたお玉の霊屋

手前の欄間の彫り物が見事です。

少しうつりがわるいですが、さらに内部の彫刻です。全て透し彫りで、漆には金箔で模様がえがかれています。


謝辞
それぞれの場所で、丁寧なご教示を賜りました。改めてお礼申し上げます。
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189.丹後の狛猫!?その理由(月刊「祭」2019.9月16号)

2019-09-17 10:26:12 | 民俗・信仰・文化-伝承・信仰-
●丹後の国の狛「猫」
 この写真を見てください。京丹後市金刀比羅神社内のとある摂社の狛「猫」です。親子猫は天保三年(1832)、右の猫は弘化三年(1846)につくられたそうです。なぜこのような狛猫が作られたのでしょうか。






●木島神社と丹後ちりめん
 上の写真の狛猫は、金刀比羅神社の木島神社の前にいます。




 山代国、現在の京都市より文政十三年(1830)に迎えられました。
 その神社は木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ アクセス)です。別名は「蚕の社」。渡来民族である秦氏ゆかりの神社で、「はた」をおる神社で養蚕業者や織物業者の信仰をあつめていました。
 そして、金刀比羅神社の氏子域を含む丹後地方は、丹後ちりめんと呼ばれる織物の名産地です。江戸初期ごろよりさかんになったとつたわっています。それに伴い養蚕業が発達したと言います。
 養蚕の神さまは金刀比羅神社以外にも招かれたようです。例えば下の写真のように三十八社神社(読み方は写真の下を)近くにもありました。


↑三十八社神社(はっせんさんじんじゃ・
アクセス)近くの養蚕の神が祀られる祠

↑三十八社神社前の畑。このあたりも元々は桑畑だったと聞きました。

このような養蚕の神社、養蚕の地域に狛猫が寄進されたことになります。なぜ猫を選んだのでしょうか。

●猫を選んだ理由
 養蚕、つまり蚕を飼っている時にその蚕を狙うのが、鼠です。その鼠を捕るのはご存知の通り猫です。養蚕業者はのきなみ猫を飼い始めました。
 養蚕業者にとって、まさしく猫は神の使いとなりました。



京丹後市 金刀比羅神社(アクセス)
4月9・10日  春季大祭
7月9・10日  夏季大祭
10月   10日  例  祭
第2日曜  神輿渡御祭(長浜曳山を思わせる芸屋台、祇園祭の山に通じる松を乗せた引き屋台が出ます。かつては、鉾に通じるものもでていました。)
2019年9月8日は狛猫祭があったそうです。

三十八社神社(アクセス)
祭礼日敬老の日前の日曜日。

参考サイト

謝辞
 このお話は立ち寄った三十八社神社で、聞かせていただいた話をもとに書きました。祭をしていて、その酒宴の場にもご一緒させていただきました。厚く御礼申し上げます。
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