●未来に祭を残す子ども屋台
未来の祭を担うのは当たり前ですが、今「子ども」と呼ばれている年齢の人たちです。その子どもたちに祭に馴染んでもらうのが、祭を残すための最もシンプルな方法です。そして、その方法の代名詞といえるのが、子ども屋台です。
しかし、このシンプルな方法はさまざまな苦労や工夫が必要となってきます。現に安全上の理由や身長が大きく違う子どもたちだけでこぶりとはいえ屋台を担ぐことは不可能です。実際に力をいれて担いでいるのは大人だけで、子どもたちは触っているだけというのが、現状のところが多いというか、管理人が見た限りではほとんどでした。
といっても、それでは全く意味がないということはなく、子ども屋台の運行は屋台の動きや太鼓のリズムなどを身につける絶好の機会になるし、何よりも一人一人にかけがえのない思い出を残すことになると思われます。
しかし、子ども屋台は子どもがさわるから危険が一杯です。子どもに触らせようと大人が肩から下ろして「手がき」をすると、やはり重たくなり屋台を落とす危険、子どもたちに取り返しのつかない怪我をさせる危険につながります。逆に大人が肩にいれてしまうと、子どもたちは全く屋台にさわれません。
その矛盾を解決する見事な工夫を見ていきましょう。
●兵庫県たつの市富嶋神社の屋台文化
たつの市富嶋神社の屋台は、網干型の屋台が担がれています。白木のまま金具を取り付けた屋台があったり、何度も差し上げを繰り返す連続チョーサなど、独自の屋台文化をもつ祭として知られています。
↑白木のまま金具をつけた黒崎屋台
当然、子ども屋台もチョーサを、繰り返します。大人と子どもはどのようにして屋台を担いでいるのでしょうか。
●子ども屋台の棒わり
上の写真であげた黒崎屋台の子ども屋台が下の写真です。練り棒のあたりを拡大してみましょう。
↑黄色く囲んだところは大人が担いでいます。つまり大人は外側を担いでいます。一方、内側の本棒を子どもたちが担いでいますが、高さを変えることで大人も子どもも担げるようになっています。また、本棒の先に横棒を渡して、そこも大人が傾げるようになっています。
こうすることで、大人が主要な部分を担ぎつつ、子どもたちも屋台に触れられるという構造になっています。
下に棒わり図をあげてみました。
下に棒わり図をあげてみました。
●編集後記
民俗学では、「今」を語ることが大事だそうです。屋台の祭の今を知るためには、担いだ時の重さや、危険さを知っていないと、分からないことがたくさんあります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます