今まで見たくても見ることができなかった京都・今宮神社の祭を、今年はようやく見ることができました。この今宮神社は、かつての内裏の真裏に位置する神社です。そのことを考えると、この祭を見ることは日本の祭とか信仰とかを考える上で非常に大きな意味を持つのかもしれません。が、自分の能力ではその一端を垣間見るようなことはできなかったのですが、、、、、、やはり、祭オタクとしては、見る意味の大きなお祭りでした。 というわけで、その様子を簡単なレポートにまとめます。写真は後日アップします。
■今宮神社の祭りの概要 -二つの大きな祭り- 今宮神社の祭はおもに二つの大きな祭りに分けられます。一つが、4月に行われる花傘が練りだされる「やすらい祭り」。そして、もう一つが五月に行われる剣鉾が巡行し、神輿の渡御がある「今宮祭」。それぞれの祭についての概略は、今宮神社ウェブページ(「やすらい」は「行事」→「やすらい祭」、「今宮祭」は独立項目)、もしくは、ウィキペディアの該当ページへ。 祭りを見物していらっしゃるご老婦とお話しているとこの二つのお祭りについて、興味深いことをおっしゃっていました。「やすらい祭り」は「都会の祭り」、「今宮祭り」は「田舎の祭り」だそうです。いずれも氏子地域内が担い手となって奉仕されますが、それぞれの祭に奉仕する地区が分けられているようです。
剣鉾、花傘 ■宮入する花傘、宮入しない剣鉾 播州三木に生まれ、担い式太鼓台の祭に育てられた僕にとって、山車やだんじり、太鼓台などの練り物は「宮入」するものでした。で、おそらくこのウェブページを見ている約10人の皆様も近い感覚をもっているのではないでしょうか。その感覚と同じく、やすらい祭の花傘は宮入し、神前に舞を奉納しました。 が、今宮祭の剣鉾は宮入りすることはありませんでした。そして、神輿渡御の時は、すべて、神輿の先導をしていました。多くの太鼓台の祭礼にかかわる者、少なくとも三木の大宮八幡宮の祭に参加するものにとっては、特殊な太鼓台以外は、宮入で神輿を「お迎え」した後は、神輿の後ろを「お付き」するという感覚です。この点でも、いくらか特殊なものを感じる祭りでした。
神輿 ■魂の神輿練り 大正時代以降、今宮神社の神輿は宮やお旅所から出される時以外は、肩に担がれることなく、大きな台車に載せられて曳き回されていました。しかし、その間も、棒端を肩に担いでシャンシャンと神輿をゆらします。
そして、道中の一部ですが、今年から肩に担がれて見事な神輿練が繰り広げられるようになりました。ホイットーホイットの掛け声に合わせ、シャンシャンと歓喜の音を鳴らす神輿に、沿道の観客の歓声が一際大きくなります。やはり、「神輿は肩で担がれてナンボ」。人手不足に悩みながらも神輿の道中練を敢行する今宮神社の氏子の心意気に感服しました。 神輿を肩に担がれる姿を見るからこそ、中学生? 高校生? の神輿を担ぐ練習にも身が入るのでしょう。
■掛け声 担ぐ時の掛け声は、ホイットーホイットと他の京都のお祭りでの掛け声と似たものでした。 しかし、台車に載せられた神輿を子ども達が曳く時は、「ワッショイ」という掛け声でした。 ところどころでなされる祝い締めは、「打ちましょシャンシャン、もひとっせーのシャンシャン、祝って三度シャンシャン」の系統のものでしたが、はっきりしたことは覚えていません。録音したものがあるかどうか、後日確認してみます。
■漆の神輿 神輿は、お還りの巡行が終わりお宮に戻ると、鈴などの飾り金具がはずされます。それが全てはずされた後に見えたのは、見事な漆塗りの本体でした。京都の神輿は、「キンキラキン」のイメージだったので驚きでしたが、金色と黒色のコントラストが見事で、ため息がでました。
■文化祭と祭の違い!?■ このような祭を見ていて、いつも感じることがあります。それは、学校や地方自治体、NGO、NPOなどが主催する伝統文化「サークル」と、地元青年団などの地域の神社などに奉仕する「まつりびと(このような名前が適切かは分かりません。)」の違いです。それが何なのかはうまくいえません。ですが、後者のほうがすごく「かっこよく」感じてしまいます。前者はあたりまえですが、立場上、「健全」を旨としなければなりません。しかし、後者は超一級ともいえる有形無形の文化財を披露する一方で、下品な冗談も飛び交います。その「ギャップ」に祭の良さがあり、前者が後者を決して超えられない何かの一つではないかと感じています。 今宮祭でいうと、「よさこい」と「きれいなお姉さんの行列(名前は知りません)」が前者で、「剣鉾」や「お神輿」が後者といえるでしょう。前者は文化祭(フェスティバル)、後者は祭という分け方を僕は便宜的にしています。フェスティバルと祭が混在する祭という意味でも今宮祭は興味深いものがありました。
■最後に このお祭りを見ているときに、京都の剣鉾の調査隊のみなさまにパンフレットのコピーをわけてくださったり、いろいろなことを教えてくださったりと、本当にお世話になりました。そして、お神輿にずっと随行されていた方から、ご自作の巡行経路地図のコピーを頂きました。本当にありがとうございました。そしてそして、見事なお祭を見ることができたのは、今宮社の氏子の方々のご尽力のたまものだということは言う間でもありません。ですが、「ありがとうございました」というのは、別に「お前のためにやったんちゃう」という声が聞こえてきそうなので、控えさせていただきます。
uchimashomo1tsu@yahoo.co.jp 2011年頃ジオシティーズウェブページ「祭・太鼓台」『祭と民俗の旅』ID(holmyow,focustovoiceless,uchimashomo1tsuなど)に掲載。 2019年本ブログに移設掲載。写真の移設が自動的にできなかったため、随時掲載予定。
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