事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「逆回りのお散歩」 三崎亜記著 集英社

2013-03-21 | 公務員

51uk1rzqmpl_sx230_ おなじみ、元市役所職員である三崎の公務員もの。平成の市町村合併にからむ陰謀と悪意。大衆をコントロールするとはどんなことなのかを、三崎が行政の側にいたからこそクールに描いているとすれば、地方公務員とはよほど冷静で底意地が悪いということに(笑)。

辞令交付という形で赤紙を描いた「となり町戦争」の前日譚「戦争研修」もかなり読ませる。役人は目的を遂行するための方法論について、必死でお勉強する。たとえ、その目的が間違ったものであっても。

逆回りのお散歩 逆回りのお散歩
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-11-26
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表裏一体~気炎。

2013-02-05 | 公務員

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YouTube: Wink - 愛が止まらない Turn It Into Love (PV 1989)

「表裏一体のオモテの方」はこちら

なかなか大阪の体罰の話にいけない。退職手当引き下げ問題はあまりにもネタとしておいしすぎる。

世間の論調が、どうやら制度の方がおかしいんじゃないか?と判断し始めたころ、しかし山形新聞にはこんなコラムが載った。このコラムほど、今回の騒ぎの渦中で教職員の側を批判する気持ちを代表している文を知らないので紹介。今年退職する予定の人がこれを読んで激怒した。

『気炎』~駆け込み退職

閉塞感が漂う社会だけに腹立たしいことも多いが、なんとかこらえている。だが、昨今の地方公務員の退職手当引き下げに伴って減額を前に駆け込み退職が急増という報道に触れるにつけ、立った腹が萎まない。しかも担任を持つ教員や警察官にも及んでいる。
開いた口がふさがらないというのは、こんな時に使うのだろうかと。

民間サラリーマンに比較して恵まれているなどという理由から国家公務員の退職金が減額され、国は地方公務員にも同様の措置を求めている。そこで県や市町村など地方自治体も条例を改正して施行する例が全国的に相次いでいる。改正条例が3月1日に施行された場合、2月末で退職すれば3月末まで勤務して辞めるより100~150万円多くもらえることになるという。それならと1月末あるいは2月末での早期退職希望が殺到している自治体もあるようだ。

それが行政職ばかりか、教員や警察官も駆け込んでいるらしい。2、3月は年度末。中学校や高校では入試、卒業式などで最多忙時期を迎える。教育委員会では臨時任用や、早期退職者を3月末と限定した再任用、警察でも治安確保を理由に再任用などで当座をなんとかしのぐ方策とか。幸いというべきか、本県ではこうした動きはないようだが、条例の施行日などに十分な配慮が必要だろう。

脱デフレをもくろむ政府が公務員の退職金を減額するのはいかがなものか、とも思うが、その是非は抜きにしても、今回の駆け込み退職は
腹立たしい。教員や警察官などを“聖職”などと呼んで物議を醸したことがあった。呼称は別にしても教員や警察官を志す人は人一倍、職務に誇りを持ち、責任感も強いと信じていた。それが裏切られたような気持ちになったから腹立たしかったのだろうと一人合点した。そう思ったら急にお腹が空いてきた。

2013年1月26日 山形新聞

……とりあえず、この人はなにか食べた方がいいんじゃないでしょうか。開いた口になにか入れてやれ。読者の情報によれば「あれ(気炎)は若手に記名で自由に書かせる練習のようなものなので、内容は目をつぶれ、とのことでした。」若手かよこれ。山形新聞社の未来に幸多かれと祈る。

本日の一曲は、たまたまナマ目撃情報をゲットしたのでご紹介。Wink「愛が止まらない」。結婚式にあらわれた相田翔子は、そりゃあもう、そりゃあもうひたすら可愛かったそうだ。

次号「アンケート。」につづく

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表裏一体のオモテの方。

2013-01-27 | 公務員

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YouTube: LOVE PSYCHEDELICO / Beautiful World (Short Version)

PART1はこちら

駆け込み退職8県で460人 最多は埼玉153人

3月末で定年退職を迎える地方公務員の一般職員と警察官、教員のうち、条例改正による退職手当の引き下げを前に退職したか、退職を希望する人は8県で460人を上回ることが26日、共同通信の集計で分かった。国家公務員の退職手当引き下げに合わせて自治体が減額を始める前の“駆け込み退職”とみられる。

共同通信は47都道府県と20政令指定都市の人事課や道府県警、教育委員会を調査。職種別でみると、一般行政職員が54人、警察官・警察職員が約232人、教員・学校職員が177人。都道府県別の集計で、退職者や希望者が最も多かったのは埼玉の153人で、愛知142人、兵庫約90人、佐賀52人、徳島17人、高知5人、宮崎3人、熊本1人と続いた。

一方、減額時期が1~2月の栃木、群馬、東京、山梨、滋賀、大分は「駆け込み退職はない」と回答した。1月から減額した東京都は、3月末以前に退職する場合は支給額を下げる仕組みがあることを理由に挙げた。

稲継裕昭早稲田大教授(行政学)は「職員個人を責めるべきではない。早期退職が得になる制度をつくった政府や地方自治体こそ問題だ」とした。
2013年1月27日 スポニチ

……話をよく聞いてみると、この問題については

・埼玉県には誕生月退職のシステムが前からあった

・現内閣が大嫌いな日教組傘下の組合員の早期退職は(埼玉では)なかった

・退職後にそのまま期限付きなどの立場で年度末まで勤務する県もある

・年度末まで勤務はするけれどもくやしいとする職員もいるし、やはり怒りのために退職を選択する職員もいた

……こんなところだろうか。さて山形県の山場は週明けにやってくる。なにより計算違いだったのは、こんなおおごとになるとは誰も予想しなかったということだろう。報道があってからたくさんの公務員に会ったけれど、みなびっくりするくらい怒っているし、わたしの事務だよりの反響もけた違いだ。

どうやら、公務員は「どうせ辞めないだろうし、辞めても数は少ない」と、要するになめられていたのだ。やれやれである。

大阪の話につづく

本日の一曲は、love psychedelicoと「任侠ヘルパー」の接点がよくわからない「beautiful world」

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表裏一体。

2013-01-24 | 公務員

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YouTube: 斉藤和義- 彼女

「自分がやってきた仕事に誇りや気概はないのか」

……ある県の警察官が定年退職を前に、他県の早期退職の現状を嘆いている。たとえば尾木ママなる人も「教育犯罪」と嘆じているというが(わたしはそのニュースを検索できなかった)、返す刀でこう言うことができる。

「誇りや気概をもってやってきた人間への、これが仕打ちなのか」

と。冷静になってみよう。今回の各県での提案は

『長く勤めれば勤めるほど不利になる』

形だったわけだ。批判する人たちがよく使う

「民間なら考えられない」

というフレーズを敷衍すれば、今回の動きは、民間なら早期退職を促されたに等しい。だけれども、教員の場合は犯罪あつかい。生徒を放り出すのか、と。

皮肉な言い方になるが、会社員だって責任ある仕事をしていたはずなのに、そちらには理解を示すわけだ。

正直に言えば、140万円という数字が一人歩きしているが、2月3月の給与を考えると、そんなにおいしい事態が待っているわけではない。それでも彼らはがまんできなかったという理解がどうしてできないか。一種の異議申し立てではないか。

今回の話であからさまになったのは、霞ヶ関のずさんな指導(恫喝、と言ってもいい)に、地方が盲従したことのツケがまわってきたということだろう。国が金を出さないってんだから!と各県の財政当局の叫びが聞こえる。

マスコミだってそれはわかっているはずなのに(だから追求は及び腰)、世間の「センセイにかぎって」というムードはおいしいから突っ走る。文科大臣がこの時点で「決して許されざることだ」と気が遠くなる発言をしているのは、そのムードをあおりたいのだろう。

駆け込み退職が、じゃあ体罰問題でゆれる大阪で起きていたら(起きていないはずがない)……わたしはその部分の論議が重要だと思う。このふたつは表裏一体だからだ。以下次号

本日の一曲は、近ごろ聴きまくっている斉藤和義「彼女」。アコースティックバージョンがまた素晴らしいんだけどそちらは見つけられませんでした。わたしは検索が甘い。

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辞令書廃止。

2012-03-19 | 公務員

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YouTube: Fast car -Tracy Chapman

県、異動内示書と辞令書を廃止 ペーパーレス化、業務量削減など目的に

2012年3月13日 山形新聞

2012年度に向けた今春の人事異動で、県は内示書と辞令書をともに廃止する方針を決めた。異動の内示と発令に伴う業務で大幅なペーパーレス化を図り、業務量削減と担当職員の時間外勤務を縮減するのが目的。県人事課が12日、年度末の庶務担当者会議で方針を伝えた。

同課によると、事務事業の見直しに伴う削減効果は

(1)内示書の用紙約4万枚

(2)内示書の外注による費用約70万円

(3)辞令書の用紙約2000枚

で、一連の見直しで合わせて1000時間程度の時間外勤務縮減(時間外勤務手当は約200万円縮減)につながる見通し。

人事異動の内示で、県は従来、紙と電子データの内示書を作成し、各所属と報道機関に配布。紙の内示書は350部前後を製本し、各部長に1冊、各所属に1~2冊、各報道機関に1~2冊を配布していたが、19日に予定される今回の内示では、これを原則廃止し電子データのみとする。

職員は庁内イントラネットで内示状況を閲覧し、報道機関には内示データを納めたCD-Rを配布する予定。知事部局をはじめ、企業局、病院事業局、各委員会事務局などが一斉にペーパーレス化に踏み切るが、1人1台のパソコンがないことを理由に、教育委員会は従来通り紙の内示書を発行する。

……なんか、最後に情けないオチがついてるんですけど。

しかしこれはまことにけっこうなことだと思う。定型文書の代表格である辞令書を、実はわたしの分は辞令写簿に本物を綴るぐらい無用の長物(すいません学校事務職員向けマニアックな話で)。

ペーパーレスが一般化すれば、県教委としても権威主義的に「辞令の写しを出しなさい」とか言わなくなるだろう。なれよな。なにしろ、端末が1人1台ないというだけで存在する恥ずかしい代物になったんだから。

滋賀の臨時職員たちも怒っていたが、勤務条件を提示するべき辞令書が、勤務前に渡されないのは明らかに労基法違反なのであり、山形県でも同様の状態なのはやはり問題だ。ペーパーレスでもなんでもいいから、もっと早い提示にもっていくように要求しましょう。

「端末が少ないので紙でないと……」

と返答してくれたら思うつぼなんだけど、そうはいかないか(笑)。

それにしても、わざわざそこまでして報道にサービスしてたんだ。あくまで今日行われたのは内示。新聞発表は異動日にしてくれよほんとにもう。

本日の一曲は、トレイシー・チャップマンの「FAST CAR」

♪速い車があるじゃない
でも、空を飛べるくらい速く走れるわけじゃないよね?
決心しなければならないわね
今夜ここを離れるか、それともこのままここで死んでいくのかを

……貧困の連鎖を、ここまで冷厳に表現した歌はなかなかない。

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私は無実ですPART2

2011-10-04 | 公務員

Ishikawaimg01 PART1はこちら

大阪地検特捜部のずさんさは、黒幕だと決め撃ちした石井一議員の動きをきちんと精査しなかったあたりに読み取れる。

石井は昔から手帳に「いつ・どこで・誰と」会っていたかの詳細なメモをつけており、凛の会関係者と会っていなかったことがいとも簡単に立証されてしまったのだ。

「政治家になったときから、この記録はつづけている」

ある意味、検察に足元をすくわれてなるものかと実感しているに違いない旧田中派議員は違いますね。

その検察が、なぜこんな暴走をしてしまったか。東京地検が小沢一郎がらみの事件を(当時)立件できなかったため、大阪は石井で行こうと安易に手柄をとりに走ったのであろう。検察はこう考えた。この事件の背後には確実に政治家の影がある。そのためには、係長が勝手に証明書に判を押してしまったのでは都合が悪い。だから課長を引っぱれ!と。

捜査に入る前に、自分たちでストーリーを描き上げ、そのストーリーにそった証拠や自白だけを重視し、他を切り捨てる特捜の方法論自体がここで問題になる。フロッピーの改ざんはその象徴だ。

なぜ今ごろこの事件に関する本を読んだかおわかりですね。特捜はいま組織の存亡すら問われている。その時期に

・特捜批判のきっかけとなった小沢一郎関連がまた問題となり

・同じ旧田中派出身の議員を狙い撃ちし

・検察の取り調べが却下された事件を

・「~と推認できる」というようなあやうい文言で有罪判決をだした

現在の状況が、村木事件の意趣返しでないとはとても思えないからだ。だって、この判決を厚労省事件に敷衍したら、「係長がやったことを課長が知らなかったはずがない」と村木課長は文句なく有罪になってしまう。

小沢一郎的なるものへの排除のためになら“何でもあり”だと考えているとしたら、わたしたちが払う代償はとてつもなく大きなものになる。近ごろ、新聞を開くのが怖い。

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私は無実ですPART1

2011-10-03 | 公務員

Murakiatsukoimg01

私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-09-07

村木厚子(元)課長が無罪になったことはまことにめでたいことだし、弁護側の活動が有効だったことも確かだ。でも、この本を読むと無罪獲得がいかにきわどいライン上にあったかがよくわかる。あぶないところだったのである。

よく知られているように、障害者郵便制度悪用事件は

・凛の会などの組織が、障害者団体であるとの証明書を使って、家電量販店などのDMを心身障害者用低料第三種郵便物として廉価に発送することを目的とした犯罪で

・その証明書を担当係長が勝手につくったものか、上司の村木課長が関与したかが問われ

・同時に民主党の政治家がその口利きをしたのではないかと噂された

事件だ。告発したのは大阪地検特捜部。

政治家とは石井一のことであり、ラジオでその報道を聴いたわたしは、「これが本当なら民主党政権はもたないなあ」と思ったのをおぼえている。

ところが、この事件に関しては「どうも課長は無罪なのではないか」という話がネットでも出ていたし、大手メディアのかたすみでも語られるようになっていた。というのも、村木課長は徹底して無罪を主張していたし、検察の動きも不自然になっていたのでマスコミも考えこんだのだろう。ひょっとして、と。

前に「特捜のエース」で特集したように、冤罪を立証できたのは

・被告自身が名探偵だったこと

・関与した政治家に対する調査が不十分だったこと

・検察の手法に対する批判の土壌が醸成されていたこと

などの条件がそろっていたからだ。

ひとつひとつ見ていこう。まず、被告自身が無罪である主張をまったく曲げなかったのが強い。検察はその取り調べのなかで、「執行猶予がつけばたいしたことはない」などと甘い言葉もささやいて有罪を認めさせようとしたが、職業人としてのプライドがそれを許さなかった。

「彼らがつくった調書を読んで、この人たちは霞ヶ関を知らないと思いました」

という彼女の感想など、地方大学出身キャリアの凄みすら感じさせる。だてにこの業界で食っちゃいないぞと。くわえて……以下次号

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わたし怒ってます~阿久根PART23「成長」

2011-01-17 | 公務員

PART22「解職」はこちら

当 8、509 西平 良将 37 無新

   7、645 竹原 信一 51 無前

……正直、ホッとしている。新市長の行く手に数多くの困難が待ち受けていることを知りながらも、まずは選挙民の良識が示された形。

 勝因はいろいろと考えられる。

・西平候補側が、竹原施策にすべてNOを突きつけるのではなく、改革の方向は変わらない、方法が変わるだけだとオトナの対応を見せたこと。

・若い市民のなかで(もちろん竹原市政に熱狂していた若者も多かったのだろうが)、西平候補に応援する草の根運動が浸透したこと。

・西平候補に障害のある子どもがいることを前面に出さなかった冷静な戦術。もしも大きな焦点にしていたら、感情的なやり取りがもっとヒートアップしていたかも。

・西平氏が養鶏業者だったことで、農業による所得アップという政策に説得力があった。

・リコール投票の結果が薄氷の勝利だったことで、選対がまとまった(おそらく、政策については紆余曲折があったはず)。

……そしてもうひとつ無視できないのが

・前市長に選挙民が“飽きた”

……きっとこれってあると思います。型破りな(これでも好意的な表現)手法を連発した竹原氏にとって必要なのは、常に新しい攻撃目標。選挙というオフィシャルな場では、彼の手法の限界も見せたかも。選挙戦が終わった途端に

「西平氏にではなく、市職員組合に負けた。今回の選挙は彼らの力が大きかった」

とさっそくかましているし、

「選挙で市民が成長したと思うか?」との質問に
「成長した部分もあれば、だまされた部分もある」
誰がだましたのか問うと
あんたたち(報道陣)」と語気を強めた。(毎日)

なんて記事も、いかにも彼らしい。さて、問題はこれから。議会までリコールされている以上、竹原氏の次の一手はいろいろと考えられる。本人が出馬することだって可能だし。さあ、次の敵はなんだ。

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わたし怒ってます~阿久根PART22「解職」

2010-12-07 | 公務員

PART21「リコール」はこちら

◇竹原市長解職を問う阿久根市の住民投票

解職賛成  7,543

解職反対  7,145   

=市選管最終発表

阿久根市:竹原市長が失職 出直し市長選へ

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が5日、投開票され、解職賛成票が有効票の過半数を占め、竹原市長は失職した。

 議会を招集せずに専決処分を乱発する強引さで批判を招いた「竹原市政」に対し、市民が初めて「ノー」を突き付けた。1月中旬にも出直し市長選が実施される。だが、結果は398票差の大接戦で、竹原氏支持層も目立ち、複雑な阿久根の民意が改めて浮き彫りになった。当日有権者数は1万9756人、投票率は75.63%だった。

 竹原氏は午後11時ごろ、事務所で支持者を前に頭を下げた。記者会見では「市民がいろいろ考え、体験するよい機会」と強気の発言を繰り返した。結果について「市職員の給料を下げるなどしたことで、損害を受けた人が中心に解職の投票をしたと思う」と語った。出直し市長選については「出ます」とだけ短く述べ、サバサバした様子だった。

 出直し市長選には解職運動を主導した市民団体「市長リコール委員会」監事、西平良将氏(37)も出馬を表明している。竹原氏との一騎打ちの公算が大きく、「竹原市政」の是非が再度争われることになる。

2010年12月6日 毎日新聞

 400票弱の差をどうとらえるかは微妙なところ。カウンターで議会解散のリコールも成立しそうなので、もう何が何だか。

 竹原市政が「独裁」か「改革」かを問う住民投票、と新聞はおさまりのいいフレーズで結論づけたが、阿久根市民はもうそんなことで動いてはいまい。市長派、反市長派の激突という、しこりとか怨恨としか形容できない感情が先走っているのだと思う。

 市長を失職し、現在ただの人になっている竹原氏だが、これまでだってちゃんと復活しているのだし、今度もこのままだと可能性は高い。わたしが期待するのは、なにごとかをおそれ、あるいはなにごとかに呆れて投票しなかった1/4の選挙民の良識だ。

PART23「成長」につづく

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わたし怒ってます~阿久根PART21「リコール」

2010-10-06 | 公務員

PART20「議場」はこちら

阿久根市長リコール署名過半数、住民投票実施へ

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長に対する解職請求(リコール)を巡り、市選挙管理委員会は5日、市民団体「阿久根市長リコール委員会」(川原慎一委員長)が提出した署名簿の審査を終え、有効署名を1万197人と告示した。

 今後、署名簿縦覧などを経て数は確定するが、有権者の3分の1(9月2日現在、6646人)を超え、過半数に達しており、12月にも解職の賛否を問う住民投票が実施されることが確実になった。

 リコール委は8月17日に署名活動を開始。9月15日に署名簿を提出し、1万364人分を集めたと発表していた。

 市選管は地方自治法に基づき、署名簿に有権者以外の署名や重複署名がないかを審査。署名簿は1万407人分あり、このうち無効署名210人分を除いて有効とした。審査最終日の5日午前、臨時選管を開催し告示した。

(2010年10月5日 読売新聞)

 勝負はこれから。これは市長派も反市長派も認識はいっしょだろう。これまでも解職されるたびに竹原市長は復活してきたのだし。

 市民の立場になって考えてみよう。この混乱が続けば行政は停滞し、明らかに不利益をこうむる。それでもね、それでもなお竹原市長に投票する人は多いはず。

 感情的なしこりは『子どものけんか』と表現されるくらいになっているし、いまはまだ『反竹原』というイメージだけでたたかえるものの、反市長派が立てる候補が具体化すれば、市長派の非難はその個人に集中する。さぞやネガティブキャンペーンの応酬になるだろう。

 竹原信一という、まことに奇矯な人物が市長になりえたという事実がまずわたしを落胆させるが、市長という職がいかに巨大な権限を持ち、その気になればこれだけの無茶ができるのだと痛感させられたのが阿久根ケースだ。

 問題は、まさかまさかで竹原再任ってことになりはしないだろうなと。もしもそうなったら、日本にはまだまだ民主主義は根づかず、成熟した市民による政治など、夢のまた夢だと教えられることになる。阿久根のみなさん、がんばらなくてもいい。せめて冷静な対処をお願いする。

PART22「解職」につづく

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