事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2025年2月号PART2 イチジクの葉

2025-02-28 | 国際・政治

【ウォーホルにゴッホ】下世話に美術を見てみる!?歴代高額絵画ランキング!取引の裏を見ると経済の闇が見えてくる・・・【セザンヌにレンブラント】

PART1「ウクライナ」はこちら

「今のトランプはイチジクの葉すら身につけていない」

言語哲学者の藤川直也さんの指摘。イチジクの葉というのは、英米の言語学者たちが呼ぶところの、ただし書きをつけることによって都合の悪い部分を隠し、責任を回避しようとする企みのこと。そうかアダムとイブのあそこは都合の悪い部分なのか(笑)。

かつてトランプはこう発言したそうだ。

「あまり男尊女卑に聞こえてほしくないが、家に帰って夕食の準備ができていないと(妻に)すごく腹が立つ」

この頃はまだ、イチジクの葉を免罪符のように使っていたわけだ。

でも今は違う。排外主義的な放言が止まらない。

そしてイチジクの葉の典型例が、ある元タレントの

「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直におわび申し上げます」

この葉っぱはいかにも逆効果だったなあ。

PART3「携帯の彼女」につづく

山田五郎を添えたのは、まもなく特集するからです。おんもしろいなあ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今月の名言2025年2月号PART1 ウクライナ

2025-02-27 | 社会・経済

キセキノハナ - Lyrico(露崎春女)

「米中戦争という言葉をよく聞きますが、勝者のいない損な戦争など、実際にはなかなかできない。最小限の力で最大限の利得を得る。そのために有利なのは、小国への侵略です」

「米国はウクライナを見捨てる方向でしょう。きれいな言い方をすれば『ウクライナ戦争のヨーロッパ化』。つまり、NATOマイナス米国でロシアと対峙することになる」

おなじみ、政治学者の藤原帰一さんのコメント。ウクライナ状勢は厳しい。しかし3年も持ちこたえることを誰が予想しただろう。

それにしても、中国とロシア、ロシアと北朝鮮、そしてアメリカとロシアが接近している状況は、なんとも恐ろしいではないですか。それが顕著に現れているのが……

PART2「イチジクの葉」につづく

本日の1曲は露崎春女の「キセキノハナ」。前回共有に失敗したので再チャレンジ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイベスト2024 このミステリーがすごい!編

2025-02-25 | ミステリ

2023年版はこちら

さあこのくらいの時期までくれば始めてもいいでしょうマイベスト2024。

最初は例によって年末の「このミステリーがすごい!」のランキング。わたしが読んでいた作品とは……

【国内編】
1位「地雷グリコ」青崎有吾著 KADOKAWA

2位「冬季限定 ボンボンショコラ事件」米澤穂信著 創元推理文庫

6位「日本扇の謎」有栖川有栖著 講談社ノベルス

7位「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩著 講談社

トップテン以下では

「難問の多い料理店」結城真一郎著 集英社

「にわか名探偵 ワトソン力」大山誠一郎著 光文社

暗殺」柴田哲孝著 幻冬舎

「シャーロック・ホームズの凱旋」森見登美彦著 中央公論新社

それぞれ面白かったが、やはり「地雷グリコ」がダントツ。なにしろ2位の3倍のポイントを稼いでいるのだ。うちの女性職員たちが、階段でひそひそ話をしているので

「なにやってんだよ。チヨコレイトか」

去年はやはり地雷グリコの年だったのだ。

【海外編】
1位「両京十五日」馬伯庸著 ハヤカワ・ミステリ

6位「エイレングラフ弁護士の事件簿」ローレンス・ブロック著 文春文庫

ランク外のロス・トーマス「狂った宴」はいま読んでいます。この3作は、ある理由でランキングを発売前に知ることができる学校事務職員としてのおいしさを最大限に活用。

「でもさあ。ロス・トーマスとかローレンス・ブロックとかドナルド・E・ウェストレイクとか、死んじゃったか超高齢のミステリ作家のを注文すんのはおれぐらいだろ」

「両京十五日はおれが書店から抜いたらもうありませんでした。」

エイレングラフ弁護士の事件簿は、日本の中山七里が描御子柴シリーズの先がけ。依頼者のためならどんなことでもするあたりがすばらしい。っていうか確実にやりすぎなんですけどね(笑)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第8回「逆襲の『金々先生』」

2025-02-24 | 大河ドラマ

第7回はこちら

建国記念日に妻の母親が亡くなり、2月22日の猫の日(にゃん・にゃん・にゃん)にうちの猫(伊織という名前のおじいちゃんです)が他界いたしました。娘は遠く米沢からやってくる。号泣。

はて、わたしは呆然としたけれども泣くことはない。心の冷たい人間だからな。

でも夕刻、総代をやっているお寺の鍵を閉めようと雪の農道を歩いているとき、突然こみあげてくるものがあって、へたりこんだ。二十年もいっしょだったんだから。手のひらにのるくらいに小っちゃかったあいつがどんどん大きくなり、そして最期は痩せていった。わたしのメンタルはもうぼろぼろです。

そんなわたしをこの大河の面白さが救ってくれる。

前回に蔦重(横浜流星)がこんなセリフを放っていたのがニュースになっている。

「それが女の股でメシ食ってる腐れ外道の忘八の、たった一つの心意気なんじゃねえですか?」

これ、あの映画からの引用じゃないですか。「仁義なき戦い 広島死闘篇」における千葉真一の名ゼリフ。

「なにが博奕打ちなら!村岡が持っちょるホテルは何を売っちょるの、淫売じゃないの。云うなりゃあれらはおめこの汁で飯喰うとるんで。のう、おやじさん、神農じゃろうと博奕打ちじゃろうとよ、わし等うまいもん喰ってよ、マブいスケ抱く為に生まれてきとるんじゃないの。それも銭がなけにゃあ出来やせんので。ほうじゃけん、銭に体張ろう云うんが、どこが悪いの!?」

絶対に脚本の森下さんは意識していたはずだ。そして今回の“階段落ち”も時代劇の名物シーンの数々へのオマージュだろう。忘八関係は次週に。とにかく、メンタルがやられているので今回はこのあたりで。

第9回につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈著 新潮社

2025-02-22 | 本と雑誌

2024年の本屋大賞は、津村記久子の「水車小屋のネネ」で決まりだと思っていた。文句なくわたしのベストワンだったし、それどころかあれを上回るのは(わたしにとっては)長嶋有の諸作ぐらいだ。

しかし結果はこの「成瀬は天下を取りにいく」が受賞(ネネは2位)。

全国の書店員が選択したこの作品は、いったいどんなものなのだろう。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

ものすごくいなせな成瀬あかりのセリフからこの物語は始まる。この西武というのはライオンズのことではなくて、まもなく閉店する西武百貨店大津店のことだ。

そこへ14才の成瀬は毎日通い、ローカルテレビ局の番組生中継に映りこむと宣言したわけ。

テレビ局の反応が笑える。なんかめんどくさそうな子だな、と完全にスルーしてしまうのである。

そう。よく考えれば(考えなくても)成瀬はめんどくさい。しかし、同時にいなせでもある。

おそらくは作者自身が投影された主人公のことを、普通の小説であれば男子を名字、女子を名前で表記するのが暗黙のルールだが、この作品では徹底して「成瀬」で通している。

そしてそんな成瀬のことを、読者はみんな好きになったのであり、本屋大賞はその証だ。

書店の求めになかなか応ぜず、増刷をためらいがちなので有名な新潮社。実はもっともっと売ることができたんじゃないの?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明細書を見ろ!2025年2月号 退職後。

2025-02-21 | 明細書を見ろ!(事務だより)

1月号「源泉徴収票」はこちら

初任者にとっては、退職なんて先の話と思えるでしょうが、おぼえておいて損はないし、いずれ必ずやってくることなので、まあ聴いて。

まずは明細書を見てください。中段に「共済短期掛金」という欄があります。これがいわゆる医療保険料で、「共済厚生年金保険料」が年金がらみの掛金です。

このような形でわたしたちは、公立学校共済組合員という存在たりえているわけです。ちょっと高くないか、と思われるかもしれません。日本の社会保障負担率の高さが不況から脱却できない原因だとする論者も多いので、まあまちがってはいないかも。

それはともかく、退職すると(再任用しないかぎり)その公立学校共済組合員ではなくなります。そこから先の医療保険をどうすればいいのでしょう。

選択肢はいくつかあります。

①国民健康保険に加入する

②再就職してそこの健康保険に加入する

……ここまでは、まあ一般的です。しかし公立学校共済には

③任意継続組合員制度

……というものがあり、最長で2年間、掛金さえ払えば引き続き共済組合の給付が受け取れるのです。医療機関の窓口で払う自己負担は、現役時代や国保と同じ3割ですが、他に給付もあるので国保よりは有利かもしれません。

でもデメリットもあって、なにしろ掛金が高い。いや退職したその年は国保のほうが高い(前年の所得で計算されるから)のですが、2年目以降は国保のほうが安くなる傾向があります。

それに、現役時代は給料やボーナスから天引きされているので意識しないでこれましたが、任意継続の場合は自分で納めることになるので高いという印象になるのでしょう。

さて、でももうひとつ強力な選択肢があります。それは……

④家族の被扶養者になる

……です。家族の職業によりますが、健康保険に加入している人がいるのなら、その被扶養者になれるかを確認するのがいいでしょう。なにしろこれが可能なら、掛金がいらないという巨大なメリットがあるので無視することはできません。

実はむかしは定年で辞めた場合、この選択肢は有効ではありませんでした。というのも、60才になった時点で年金を受給できましたから、扶養の要件を充たすことがなかったのです。けれども現在は、年金の繰り上げ受給を希望しないかぎり、65才まで無年金で過ごすことになるので、幸か不幸かこのチョイスができるようになったわけです。

次に、健康保険がらみでもうひとつ考えてもらうことがあります。

それは、退職互助部の特別加入者になるかならないかの選択です。

え、なんだその退職互助部ってと(学校事務職員以外は)誰もが考えます。35才までの人なら無理もない。一度も説明されていないのですから。実はこの制度は、その職員が35才になった翌年度からの25年間、給料の6/1000を積み立てるというもの(入らない人もいる)。そして退職後の医療負担に備えると。35才以上の人ならなんとなくおぼえて……るわけないか。

6/1000とはいえ、300回も積み上げればけっこうな額になる。この額を原資にして加入するということです。ただし、その積みあがったお金を「脱退」して「一時金」として受け取ることもできます。

どちらを選択するかはその人次第。これから自分がどれだけ病気をするか、民間の保険の内容はどうなっているか、多種多様なのでこちらからどっちが正解かは言えないのです。

画像は「はたらく細胞」(2024 WB)
主演:永野 芽郁、佐藤健 監督:武内英樹

予想外の大ヒット。赤血球役の永野が、酸素を運ぶだけの役割に懐疑的だったり、異物を排除する白血球役の佐藤がまんま「るろうに剣心」だったりで笑える。それにしても豪華キャスト。ちょい役の肝細胞として深田恭子が登場するのだ。大好きな松本若菜も出ていてうれしい。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第7回「好機到来『籬(まがき)の花』」

2025-02-20 | 大河ドラマ

第6回はこちら

金曜に通夜、土曜に葬儀。家族葬とはいえ、へとへとに疲れる。そして日曜日。さすがにゆっくり休もうと思ったら、妻が階下から

「猫がっ!猫がっ!」

と抱えてくる。ぐたっとなっているのだ。

うちに来て20年以上。人間でいえば百才をこえるおじいちゃん。先週から食欲もないみたいなので心配していたら案の定。

動物病院へ。日曜なのでいつものところはお休み。初めての病院へ。

「積極的な治療はしませんよ。もう、この猫は十分に生きた

「覚悟しています」

栄養剤を打ってもらい、少し回復したみたい。人間でいえば点滴みたいなものかな。

あ、また前置きが長くなってしまった。大河ですね。

偽板のためにギルドから抜けた鱗形屋(片岡愛之助)に代わって版元になろうと意気込む蔦重(横浜流星)。しかし西村屋(西村まさ彦)などの老舗は妨害にかかる。そこで、「吉原再見」を倍売ればどうかという啖呵を蔦重はきる。

ここから、プロデューサーとしての蔦重の才覚が試される。そのアイデアのひとつが薄くすること。持ち運びに便利だからね。逆に、ぴあは年々厚くなっていくのでしたが。

そこで思い出すのが書店員の雑誌現状報告。

「いまの少年サンデーが、どれだけ薄くなったか知ってます?」

「へー」

「ジャンプとの差が歴然なんですよ。小学館と集英社の関係を考えると、しみじみしますね」

新参者(子会社)の勃興を、老舗(親会社)がどう防ぐか。あ、ちゃんと大河の話になっていた。

第8回につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。」青柳碧人著 双葉社

2025-02-20 | ミステリ

前作「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う」はこちら

なんか近ごろ、マジで青柳碧人青崎有吾しか読んでないような気がする。で、この人たちは名前が似すぎているからよく混同するんだよね。こちらは青柳のほう。青柳は赤ずきんで、青崎はグリコとおぼえておこう。

さて、昔ばなしシリーズは何が周到かというと、おとぎ話としてコーティングしてあるものだから、どんなに残虐なストーリーでも陰惨にならないという点。今回も、ペルシャの王様が花嫁を何人殺そうが読者は平気。そのうえで、アリババやシンドバッド、そしてアラジンなどを本格ミステリに仕立てている。アラビアンナイトは特に残虐なお話なのでぴったりでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「お前の罪を自白しろ」(2023 松竹)

2025-02-19 | 邦画

原作が小役人シリーズや「ホワイトアウト」の真保裕一だし、監督は「アイ・アム・まきもと」の水田伸生で、堤真一が重要な役で登場……てな理由ではなく、単に池田エライザが出ているというだけでレンタルしてしまいました。

しかしこれが拾いもの。政治ドラマとして上等でした。後半のひねりがいい。エライザはあいかわらず魅力的だし(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第6回「鱗剥がれた『節用集』」

2025-02-15 | 大河ドラマ

第5回はこちら

渋い一週間でした。ぎっくり腰はなかなか回復せず、身内の不幸もあり(腰の痛みに気づかれないように玄関口から棺を出す苦労はなかなか)、ああそれで思い出したのは森田芳光の「家族ゲーム」で、あの戸川純が

「このマンションに棺をどう入れればいいんでしょう」

と困惑していたシーン。日常への畏れをこれほどソリッドに描いて見せたシーンはなかったと思う。

っていうかわたしは物理的に腰が痛かったです。

そして、妻の母の死に落ち込んでいた。わたしと妻が初めて夫婦げんかをしたときに

「あ、それはいいことだね」

わたしの息子が不登校になったときも

「いいじゃないか学校行かなくても」

他にも度量の大きさを常に示した人だった。ううう。

あ、大河でしたね。今回は「偽板」という、つまりは海賊版をめぐるお話。大河の主人公が、一種の卑怯なふるまいをして悩む。そしてそれをあの鬼平が慰めるという、この時代ならではの展開。

版元たちのギルドにどう蔦重が入り込むか。わたしはよくわからないんだけど、現代ではそういうことはもうないんですか。新潮社の佐藤家や講談社の野間家が角川春樹をいじめたってことはないんですか(笑)。

わたしの知己に、野間家に書生に入っていた人がいて(どんな時代?)、五木寛之が大量の薔薇を野間家に届けてきたことがあったそうだ。「青春の門」の五木寛之って、そういうこともできる人だったんだ。

第7話につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする