愛のバラード
第3回はこちら。
週末は遠方の研修会へ。夜の懇親会では
「絶対に『光る君へ』は途中でギブアップするものだと思ってた」
と指摘される。
「うん。まあ源氏物語も読んだことのない人間だからなあ」
「あたしは読んだことあるわよ」
「え、誰の訳(やく)で?」
谷崎潤一郎だろうか円地文子だろうか。
「なにを言ってるんですか。古文の教科書ですよ」
そりゃま、そうだが。しかしわたしは古文や漢文の授業は苦痛でしかなかった。五言絶句ってなんだよ、ぐらいの世界。でもちゃんとやっていれば、あの大河ドラマをもっと楽しめたのかもしれない。
その点、この「べらぼう」は、早坂暁の「天下御免」や三谷幸喜の「風雲児たち」で予習済みなので気が楽だ。「解体新書」が出てきたら、これターヘル・アナトミアだよなとすぐに理解できる。
さて今回は出版業に乗り出そうとする蔦谷重三郎(横浜流星)が、業界の面々に弾き飛ばされるという苦いお話だ。蔦重に支援を申し出る親切な西村屋(西村まさ彦)が実は……という展開。
業界の横紙破りの新人が、旧弊な年寄りたちに追い込まれるという構図で思い出すのは角川春樹だ。
「ある愛の詩」や「犬神家の一族」などでメディアミックスを仕掛け、大量宣伝大量販売の手法には批判も多かった。しかし今や出版界も映画界も、角川春樹的なるものを無視してはやっていけない時代になっている。まあ、でも角川兄弟の現在を考えると、蔦重と彼らを重ねるのは……。
ってことで本日の1曲は犬神家の一族。大野雄二さんを起用するセンスは角川春樹のものだったろうか。
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