保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

京の夜空を炎で染める「五山の送り火」。

2008-08-15 22:08:29 | 京都情報
明日16日(土)は京都の夏の風物詩である
「五山の送り火」が行われます。

「五山の送り火」は、お盆に行われる京都の伝統行事で
京都を囲む五つの山に「大文字」「船形」や「鳥居形」
「妙」「法」「左大文字」の五つの文字や形を松明の火
で浮びあがらせ、京都の夜空を炎で染めます。

‘送り火’はお盆に帰ってこられた‘お精霊’さま
(おしょうらい)を再びやすらかに冥府へと見送る
信仰行事で古くから京都の庶民の間に浸透している行事。

起源は諸説ある中、室町時代に足利義政が創始した
という説が有力で「大」の文字が炎で描かれる妙意ヶ岳
が裾野の銀閣寺領だった事や「大」の字が銀閣寺と
同寺派・相国寺の方を向いている事などからこの説が
有力視されているようです。

私の育った衣笠からは金閣寺北側「大北山・左大文字」
が間近に見え、また妙意ヶ岳の「大文字」に「法」も
見える地域だったので、毎年「五山送り火」の日は
夏休みのビックイベントでした。

「左大文字」では送り火の前日15日から16日午前中から、
金閣寺門前に設けられた奉納所で護摩木や松割木の奉納受付
が行われ、それらの木を当日の午後から山上に運び
炎を燃やす火床が組まれます。

山の斜面に栗石をコンクリートで固めて作ってある
高さは30cm~3mの火床は全部で53箇所設置して
あり、係の者一人が一箇所ずつを担当し、高さ約1mに
積み上げた奉納松割木を、乾燥した松葉を入れて
燃え上がらせるのです。

炎を燃やす為に使用される薪は350束、護摩木は5000本。

今年は「大文字」で初めて地元の国有林の間伐材が
‘送り火’用の‘薪’(たきぎ)に使用されます。
これは近年東山一体で深刻化する松枯れ被害の影響で
松の不足が起こっている為。

長い京都の歴史の中、幾多の苦難な時代も民衆の
‘祈りの火’「五山の送り火」が途絶えたことは
一度もない。そんな代々地元住民に支え守られ、
受け継がれてきた「五山の送り火」に地球環境の悪化
が影響を及ぼそうとしているのですね。

京都の夏の夜空に幻想的に浮かびあがる炎の文字。
多くの人の祈りと願いが込められた炎の輝き。
今年は先祖の精霊を見送ると同時に、環境のことにも
思いを馳せ‘祈り’を捧げたいと思います。

☆明日は嵐山でトロッコ列車と保津川下りのコースを
楽しんだ後、夜は「五山の送り火」で去りゆく夏を
偲んでみてはいかがでしょう。

☆各五山の点火開始時間
●大文字(東山如意ケ嶽)   午後8時 
●妙法(松ヶ崎西山・東山) 午後8時10分
●船形(西賀茂船山)    午後8時15分
●左大文字(衣笠大北山)  午後8時15分
●鳥居形(嵯峨曼荼羅山)   午後8時20分

☆嵐山・渡月橋からは「大文字」と「鳥居」がご覧になれます。