保津川下りの船頭さん

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「紫」が優雅さをかもし出す保津峡の‘藤’

2009-05-05 20:57:49 | 保津川下り案内
新緑まぶしい保津峡に今、藤の花が見ごろとなっています。

若いいのちの息吹を感じる緑色の山々の中に、薄紫色の花の房が
垂れ下がる姿はこの季節独特の優雅さをかもし出しています。

藤の優雅さはその花の形というより「色」にあると思います。
「紫」という色は高貴さを連想させる色です。
藤は「紫」という花の色が優雅と高貴さを際出させるのであって、
これが他の色だったらこれほどの雅な雰囲気はでないでしょう。

その視点で眺めてみると「藤ほど京都が似合う花はない」とすら思えてきます。


この栄華の極みともいえる平安王朝はまさに藤の時代でした

「この世うば我がの世とぞおもう…」とまで詠ったのは「藤原道長」
彼の姓の頭文字が「藤」だったということも「藤」の優雅さと
無縁ではないでしょう。
道長が栄を極めた平安の世は「王候貴族文化華やかなりし」時代で
‘優雅な京の都’の創成期でもありました。
その頭文字の藤の花の色である「紫」に優雅さと高貴さを見るのは
自然な感情だと思えます。

そしてこの時代を代表する「源氏物語」著者のペンネームはご存知の通り
紫式部で、作品の中には藤壺という女性が‘美の象徴’として描かれている
ことをみても、藤の花の色「紫」が当時の人々の美意識に深く結びついて
いったことが想像できると思うのです。

また藤原氏の流れを汲む姓の「内藤」「佐藤」「加藤」「伊藤」
などの家柄の方の家紋は「下がり藤」など「藤」の紋であることも
高貴さを表現しようとしたのではないでしょうか。

古の都人にとって「紫」は「藤原氏」を連想される藤の花の色で、
王侯貴族文化の「優雅さと高貴さ」を象徴する色でもあったといえるでしょう。


野趣に富む自然がひろがる保津峡ですが、藤の花が咲くこの時期だけは
雅な京都の雰囲気を味わうことができます。

優雅で気品ある藤の花を眺めながら、自然の中に‘京都’を感じていませんか?