散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

小樽にて

2001年09月09日 21時43分26秒 | 飲み歩き・北海道内
前日、突如思いついて小樽へ行く。雨がパラつきだす中を、まずは小樽市美術館へ。一階は「中村善策常設展」。小樽の風景を書きつづけた人なのだが、正直うまいという感じはしない(どちらかというと、一見下手に見える)。

二階に上がり「市民収蔵の美術展」へ。小樽にゆかりの画家の絵、小樽市民のコレクションを展示するもの。バラエティに富んでいて見飽きない。三階はどこかの美術グループの展覧会+書の展示。

続いて、同じ建物にある小樽文学館の展示へ。この文学館はずいぶんいろんなチャレンジ企画をやっていて、普通に想像する文学館の展示とは違うものがある(小樽ゆかりの作家・小林多喜二などの展示はそれなりにしているが)。

今回は小樽市を均等に区切った250地点で4方向の写真を無作為(といってもシャッターを切る人の作為はあるのだろうが)に撮り、1000枚を壁一面に展示するという展示会。あまりにも「ただ撮りました」と言わんばかりのそっけない写真で、最初は全然面白くなかったが、目が慣れてくるとがぜん面白くなってきた。子供の頃に秘密基地を作って、野山や人の家の庭を駆け回ったような風景そのまんまである。

この辺で遅い昼食に「Tそば」へ。もり+冷酒。私の好みより、そばが柔らかい気がするのだが…。酒が飲みやすいという点では、なかなか良い。

雨がひどくなってきたため、雨やどりに小樽市博物館へ。井尻正二という人の業績(化石発掘の)展示をやっている。常設展示コーナーに火をおこす器具があるので、ひとしきりやってみるが200度までしか上がらない(700度まで行かないと発火しないらしい)。

何とか雨もやみ、繁華街を散策して郷土料理「Y」へ。お通し(鮭トバ)、ひる貝竜田揚げ、牛筋味噌煮込みぽん酢かけを頼み、ビール・酒を飲む。途中までは調子が良かったが、5人がけのカウンターに一人座っていた私の隣に4人組の客がやってきた。年配の客で、傍若無人という感じではもちろんなかったが、圧力に負け店をでる(4人なら小上がりに座って欲しい…)。

続いて、小樽の(というよりは日本の)名バー「A」へ。ここのマスターと奥さんは、客を楽しませよう、喜ばそうという情熱にかけては類を見ない。いろいろ勧めてくれる中からブードルスを選んでジントニックから入る。

その後、ウォッカギムレット、シャンゼリゼ、マティーニ。シャンゼリゼはお任せで作ってもらったカクテルだが、ブランデー+シャルトリューズ+レモン+ビタースというレシピ。シャルトリューズは100種類以上の薬草を溶かしこんだリキュールで複雑な味はするが、かなり甘く、くどい。その複雑な風味だけをうまく生かして、レモンを効かして飲みやすいカクテルに仕上げている辺りはさすがである(けっこうアルコール度数は高いので、要注意)。

時間が早いせいか、他には60年配の二人組みだけである。片方が尋常ならざるほどのおしゃべりで、ずっと連れやマスターに対して話しかけている。するともう片方の人が、真顔になって「トクさん。俺、お前さんに真面目に言いたい事がある。あちらのお客さん(私のこと)だって、話したいことがあるだろう。お前さんばっかりしゃべり過ぎだ」と言い出した。

確かに、うるさい客をあまり好まぬ私だが、この日はなぜか機嫌よく飲んでいたので、もう可笑しくてしょうがなかった。この二人、さぞかし仲のいい友達なんだなってことが分かるし、お喋りおじさんもいさめられて、反省しているんだけど、喋りはやめられないのだ(直前比80%くらいまで頑張って抑えてたけど)。

まるでマンガ「レモンハート」のような雰囲気で、すっかり機嫌よく出来上がり、バスにて帰宅する。