散歩日記X

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春の東京(7) アンディ!

2014年03月17日 14時41分12秒 | ART
続いて森美術館「アンディ・ウォーホル展」。正直それほど好みではないのだが、まあせっかくの機会だし見ていくことにしよう。



「女装した自画像」:森村泰昌を思い出す。
「長い馬」:馬の体を紫に塗っているのだが、インクをにじませて模様を描くのが、水墨画のようでもある。
「屏風」:カラフルな蝶の羽を持った天使が向かい合っている。左右対照の図であり、日本的屏風の要素は感じられない。

「潰れたキャンベル・スープ缶(ビーフ・ヌードル)」:潰れたあたりに人の手の介在が感じられるため、後にでたキャンベル・スープの作品とは違って感じられる。
「リステリン瓶」:薄黄緑色の地に薄茶の瓶。実にいい色合いだ。
「自殺(シルバーの飛び降りる男)」:本物かと疑ってしまうが、警察などから入手した事件の写真を使っているらしい。現代ではありえない、と言いつつも、豊田商事事件のようなことも起きてしまうわけであるが。

「電気椅子」:赤と水色を主の色とした2点。家具と何が違うのか、という問いかけ。
「ジャッキー」「エルヴィス」:日本で言うと美智子妃殿下と石原裕次郎か。日本人でも「ああ、ニュースのときに見た写真だ」と思うのだから、アメリカ人にとっては、感慨深い像なのだろう。
「マリリン・モンロー」:さまざまな色彩のマリリンだが、緑色の顔のを見ると、「スタートレック」でよく緑色の顔をした凶暴な異星女性が登場したのを思い出す。左耳の下に飛び散る色彩は、一瞬の線香花火のようでもある。

「銀の雲」:暖かい展望室にフィルム袋にヘリウムガスを入れて浮かべたもの。部屋にはファンが一機だけあるのだが、なぜか床の近くに固まる集団と宙に浮かぶ集団があり、糸で吊り下げてすらなく、生き物のように動くのだ。時々2つの袋がじゃれているみたいにも見えて、絶妙なバランスの傑作。
「ファクトリー」:ウォーホルの作業場所を再現したもの。地下室らしい造作に男女のトイレ、非常口があり、Brilloの段ボール箱や実に鮮やかな「花」の4作品が展示されている。また、箱を持つものと、電話をするウォーホルの等身大写真も展示されている。ウォーホルは実験大好き君だったのかな。
「注文肖像画シリーズ」:金を取って何が悪い。昔っから画家はそうやって来たじゃないか、と言うシリーズ。坂本龍一の肖像画はワイン購入者へプレゼントとして贈られたらしい。アレキサンダー大王の肖像画もあったが、注文したのは誰なのか?

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」:なんだか音楽がなっていると思っていたが、1時間7分のリハーサルビデオが延々と流されていた。しかし、この60年代ロックがたまらないほどの傑作。まあ、私はヴェルヴェットが大好きではあるのだが、延々と続くヴェルヴェットサウンドがこたえられない。リズムでどんどん快感が増していくのは、お経に近いものがあるな。この音源、ウォーホル美術館とクレジットがあったが、市販しているのかな。何だかんだで、ほぼ大部分聞いてしまった。
「TDKコマーシャル」:1983年のCMにウォーホルが登場したもの。なぜか記憶にないと思っていたのだが、私が受験から大学に進学した頃のテレビを持っていなかった時代にかかったものらしい。
「人体図」:ポップに簡略化された人体。人体の記号化か、それとも人体は機械と同一視できるかもしれないという思いか。

「ハンマーと鎌」:実物らしいものの上に、赤い色が塗られている。その赤は共産主義の印か、それとも血の色か。
「十字架」:黒字に十字架の黄色の色彩が衝撃的。何となく佐伯ユウゾウの死の直前に描かれた作品を思い出した。
「自画像」:「カモフラージュ」という2作品に挟まれた、ウォーホルの顔に迷彩が施された自画像。決して長いとは言えない人生。ずっと演技をしながら走り続けたのだろうか…

最初に言ったように決して興味のある作家ではなかったのだが、これだけの作品を時代に沿ってみると、感慨深いものがある。正直なところ、内容に予想のついていた「ラファエル前派展」よりも、ある種の衝撃があった展覧会だった。こちらの観覧者はファッションに気を使った若い女性が多く、「ラファエル」の客層とはまったく違ったのも興味深い。



展覧会が終了したので、「ラファエル前派展」の図録と「ウォーホル展」の小物を購入。

毛利庭園に行き、Martin Puryear「GUARDIAN STONE」。



Jean Michel Othoniel「Kin no Kokoro」。こちらは女子高生が記念写真を撮っていたので、変質者と思われないように、遠くの方からの撮影。



2 コメント

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ラファエル前派 (dezire)
2014-03-28 07:46:15
こんにちは。
私も六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーでラフアエル前派展を見てきましたので楽しくブログを拝見しました。
保守的で停滞気味のロイヤル・アカデミーに反乱を起こし、新しい精神で芸術を創造しようとした「ラフアエル前派」の画家たちの気持ちには共感しましたが。印象派、フォービズム、キュビズムのような明確な理論や絵画手法を持った芸術運動でなかったラファエル前派は、この画家の感性や市資質の違いから大きな芸術潮流には育ちませんでしたが、ミレイ、ロセッティ、バーン・ジョーンズの魅力ある作品群から、画家の独特の自意識や美の感性を楽しむことができました。

今回の美術展で漠然としていた「ラフアエル前派」の全体像が見えてきたように思い、個々の画家の魅力も含めて「ラフアエル前派」について私なりにまとめてみました。読んでいただけますようでしたら、ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけると感謝します。
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Unknown (SH)
2024-07-07 09:21:58
dezireさん、こんにちは。
私は基本的にコメントを頂いた場合には返事を返すようにしているのですが、なぜかこの時はコメントに気がつきませんでした。
大変失礼いたしました、といっても、10年前の話ですから、見てませんよね。
ラファエル前派は大きなムーブメントにはならなかったと思いますが、それでもなお、独特の世界観を私は好むものであります。
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