歌志内に行くには、砂川までJR、そこからバスで40分というのが、最短のようである。昔はJR(当時は国鉄)もあったようだが、今はない。また、札幌からの直通バスもない。人口は6000人を切る日本最小の市、歌志内への旅である。
砂川でバス待ち。この街の寂れっぷりも中々のものがある。暇つぶしにスーパーへ。やはり鳥モツ串などが売られている(この辺の名物)。ちょうど昼時なので、K岳温泉の麓でバスを降りる。地図では気がつかなかったが、当然のことながらかなりの登りである。
汗をかきながらも、まずはレストランへ。レストランの入口メニューには載っていなかったので、不安に思いつつテーブルにつくと、別のメニューになんこ料理が載っていた。
・なんこカレー 600円
・なんこラーメン 680円
・なんこ玉子とじそば 650円
・なんこスナック 500円
とあるなか、なんこ鍋(750円)とビールを注文。早速来た鍋の中には、なんこと豆腐、長ネギ、ニラ。ベースは味噌仕立てで、その中に玉ねぎのみじん切りが
入っているようだ。
かなり甘めの味噌に一味唐辛子をかけて一口。うーん、北海道に旨いモツ煮込み無し! と思っている私も脱帽である。独特の風味を楽しむには、長ネギはかえって邪魔だな。味噌ダレ(玉ねぎは甘み効果がある)にたっぷりつけてなんこを食べると、「酒(焼酎か?)に合いそうだなあ」という感想が思い浮かぶが、残念ながらまだ先は長い。温泉(正確には温泉ではないらしい)で汗を流し、休憩の後、歌志内市街へ。
歌志内市図書館はGW中で閉館。市役所の建物は味のある木造である。さすがに、人口6000人以下の名に恥じない、地味な風景である。ゴールデンウィーク中のイベントをやっており、そこでもなんこ料理を出しているようであったが、温泉で時間を取られたせいか、15時終了に間に合わなかった。残念。
歌志内の見ものは、「こもれびの杜記念館」の「杜の美術展」(5/3~5/5のみ)。ここでは安藤広重の版画が飾ってあった。また北炭の社員合宿所として作られた建物は、往時の景気のよさを思わせる、趣向を凝らした作りになっている。案内のオジサン曰く。「この色紙、管理人のオジサンが久しぶりに来て、やっと読めたよ。『暗く暑く大群衆と花火待つ』だって」。
人件費削減のため、常駐管理人を置けなくなっているそうだ。
次に「郷土館ゆめつむぎ」へ。よく地方都市にあるお金の大変かかった郷土館である。歌志内の炭鉱・鉄道の歴史を中心に、見所は多い。炭鉱にまつわる3Dシアターは面白かったが、更にスケールの大きい3Dハイビジョンシアターは来館者が少ないせいか中止になっていた。ちょっと悲しい。
ここでは、ウルトラマン・ロボット物・仮面ライダーの資料が多く集められているのも私世代には見所である。怪獣の名前当てクイズをするだけで、数人いれば1時間は軽く遊べるであろう。分かったものは以下。
アントラー、ギャンゴ、スカイドン、ペギラ、キーラ、
クレージーゴン、ユートム、ボーグ星人、グドン、
ツインテール、ペガッサ星人、ダダ、ザラブ星人、
アントラー、ペスター、ジラース、ベムラー、ジェロニモン、
イカルス星人、アボラス、ブラックキング、アーストロン、
ネロンガ、ガマクジラ、パンドン、タッコング、シーゴラス。
特徴のある怪獣で、私が思い出せなかったのは(悔しくて、帰りの飲み屋で思い出した)以下である。
・ミイラ怪獣ドドンゴ
・冷凍怪獣ガンダー
・再生怪獣ギエロン星獣
・毒ガス怪獣ケムラー
・仮面ライダーXのアポロガイスト
(同年代の人、懐かしいかな?)
それから本城義雄さんの「大正館」へ。大量の時計等。札幌の個展に伺ったことを話すと、嬉しそうであった。
さて、一通り遊んだ後、居酒屋を探すのだが、祝日のせいもあり、どうも見つからない。なんこ料理マップを見ても、居酒屋は祝日休みが一軒。一軒だけ祝日も開いていそうな店があったのだが、電話をすると「現在、使われておりません」と閉業したようだ。スナックは開店時間が遅いか、なんこ料理を注文するには事前予約が必要なようだ。(もの凄い行き当たりばったり)
諦めて、温泉2連発「Tの湯」に併設されている「レストランT」へ。ここで、なんこ定食(1100円)と酒を注文する。こちらのなんこは、醤油ベースにゴボウ、玉ねぎが入り、卵でとじられた柳川鍋風である。あっさりした味は万人向けと言え、最後はご飯の上に汁ごとかけて、勝手になんこ丼を作成して食べた。上品な「T」、酒を呼ぶ「K岳」という印象である。
ところで、なんこはスーパーでも冷凍で販売されているのを見かけたので、地元密着の味ではあるようだ。観光客向けには、もう少し食べやすい場所を設けてもらうと嬉しい所だ。後、やはり若干ではあるが、モツ独特のにおいがするので、
苦手な人は避けたほうが良いと思う。
「レストランT」を出ると、気温は6度に下がっていた。私しか乗っていないバスで砂川へ。更に2時間かけて、札幌へ。「居酒屋でなんこ食べたかったな」との思いを果たすためには、平日または、土曜日にいかなければならないのであった。