今日は2か所行きたいところがあるので、恒例の一日散歩切符を購入し、琴似駅からスタート。8時49分、小樽へと向かう。
駅に向かう途中の温度計がすでに28度の表示になっており、今日は暑い予感。日中に雨の予報も出ているため、一応傘は持ってきたものの、これだけの快晴なのだからどうなるものやら。
JRの混雑はさほどではなく、座ったまま小樽に到着。早速、駅前通りを海の方に向かい、1番目の目的地は小樽市総合博物館運河館へ。
「榎本武揚-小樽に賭けたテクノクラート」という展示と合わせ「小樽進駐軍の映像」という1945年のビデオ映像が公開されているのだ。
消防犬「文公」のお姿を見ながら、展示室の奥へと向かう。
「小樽進駐軍の映像」:7分33秒の映像で、前半は米軍機が編隊を組んで飛んでいる様子。地上から撮影しているため、かろうじて飛行機の形に見えるくらいであまりパッとしないが、あれだけの飛行機が空を飛んでいるのを見れば「これは負けだな」と絶望感を感じずにはいられないだろう。後半は住吉神社の映像などがかなり綺麗なカラーで残っているので、あまり期待せずに一目見るとよいであろう。
その横に、オタモイ遊園地・竜宮閣などのパンフレットが展示されており、珍しいものなので非常に面白かった。
続いて、市立小樽文学館、美術館の方に向かうと、小樽芸術村がかなり整備されてきたところに出会った。次は旧三井銀行小樽支店の建物。建物の前にはズバリ「小樽芸術村」というバス停がある。
建物の横には小公園が整備されており、予想以上に力が入っている感じだ。できれば、ここに彫刻を何点か置いてほしいものだが。
さらに東方向に進むと、旧北海道拓殖銀行小樽支店の前に出た。こちらも9月1日グランドオープンとあって、先が楽しみだ。
■市立小樽美術館「甦る炭鉱の記憶」。
大黒孝義「コールビン雪景」:夕張の明るい雪景色を描いた作品。天気が良くなると、突き抜けたような明るさになるのだ。
木下勘二「抗夫」:坑内に降りようとする男たちを描いた作品であろう。手を合わせて祈っているらしき人もあって、どこか修道女のようにも見える。
小林政雄「炭鉱風景」:黒く太いエッジで炭鉱住宅を描いた作品。キュビスム的でもあり、ビュッフェのようでもある。
大崎盛「富岡より高松423区」:炭鉱住宅を写した写真。4階建ての団地なのだから、相当な近代的施設という感じだっただろう。
大崎盛「本町から望む」:1978年の写真だが、まだ街には賑わいの気配がある。
佐藤時啓「Yubari(Photo Respiration)」:シャッターを開放したカメラに向かい、鏡で光を反射させたものを撮影したもの。廃墟の周りに蛍が飛んでいるかの映像が非常に美しく、非現実感と往時の賑わいを感じさせる。
秋山祐徳太子「ザ・夕張バロン」:ブリキ製の男爵像。控えめな造形でなかなかのカッコよさ。
テーマが炭鉱なだけに、小樽というより夕張ではないかという気もするが、石炭を運ぶ鉄路が小樽までつながっていたというのが開催の理由なのだろう。鉄道路線に関する資料もあったが、面白かったのが駅名の変遷である。現在の小樽は、小樽中央→高島→中央小樽(!)→小樽となっているらしい。また現在の南小樽が、開運町→住吉→小樽(!)→南小樽と変わっているとのこと。これは混乱はなかったのだろうか…
■市立小樽文学館「太陽の兄弟-石原慎太郎と裕次郎展」。まあ、世代的にはあまりスターという気もしない、石原兄弟である。慎太郎は晩節を汚すだけのガッカリな老人(「太陽の季節」も読んだことがない)、裕次郎は「太陽にほえろ」のボス(警察の役職としては偉くないのに、異常な迫力)というところだろうか。
石原慎太郎がサラリーマン時代だったころの写真。まあ、すかしてますわな。
「狂った果実」の撮影打ち合わせと思われるシーン。石原裕次郎、慎太郎に長門裕之、津川雅彦という豪華な顔ぶれ。
一見の価値はあるだろう。本当は石原裕次郎記念館にもちょっと行っておきたい気持ちはあったが、時間の関係で諦めた。結局、私は一度も行ったことがないまま、閉館になるのだろう。
■市立小樽美術館「一原有徳の世界11 二つの技法 モノタイプと腐食版」。
「F20」:なぜか手宮洞窟の文様を思い浮かべる。
「SON(V)」:とてつもなく巨大な円盤状物体の縁をクローズアップしたような感じ。
「UIR」:斜めに羽根のような形が走り、これまた古代遺跡を思い起こさせる。
「底」:一原の日本語タイトル作品が今回は多かったが、あまり見たことが無いような気がする。これは火星表面を思わせるザラザラした中に、水の流れのような形が浮かんでいる。非常に面白い。
中村善策記念ホールでは、「風景」という作品は見た記憶が無い。それ以外はおおむね見たことがあり、時間の関係でさらりと見る。
よし、ここで一旦、昼食だ。