朝鮮半島がどうなるかは、日本にとっても死活的な問題である。それを知っていたからこそ、戦後一貫して南の韓国を支援してきたのだ。しかし、それは無駄な努力であった。文在寅が大統領になってからの韓国は、もはや北朝鮮に思いのままである。去る18日から20日まで平壌で開催された南北首脳会談は、終始北朝鮮ペースで、非核化などどこ吹く風であった▼資本主義の経済制度によって豊かになれば、貧しい北朝鮮より韓国が優位に立てると考えたのは、あまりにも安易過ぎた。北朝鮮の工作員による韓国への浸透を阻止できなかったがために、韓国の自由と民主主義は風前の灯である。南北の和解を歓迎する向きもあるが、あまりにも楽観的な見方でしかない▼産経新聞も書いているように、大量に動員された国民の前を、金正恩と文在寅がオープンカーでパレードしたのは、全体主義国家に韓国が屈服したことを意味する。韓国国民が絶望のどん底に落とされるのはこれからである。秘密警察と収容所で国民を黙らせる政治が、韓国全体を覆うようになるからだ▼ハンナ・アレントが指摘したように、全体主義とは「可能な限り多くの人々を運動の中に引き入れ、組織し、昂揚させること」(『全体主義の起源』大久保和郎、大島道義、大島かおり訳)である。そのプロパガンダに反日が用いられており、全体主義国家によって統一された朝鮮半島と日本は向き合わねばならず、未曽有の危機に私たちは直面しているのである。
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