創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

眠っている間に 2

2008-08-10 15:47:16 | 創作日記
 言葉のない村

 夕食のあと、卓袱台に二人は向かい合う。太郎は夢の話をする。私は太郎の夢の話が好きだ。

 夢の中で目が覚めた。奇妙な事だけど、そうとしか言いようがない。いつもの寝床だ。起きてドアを開けると、まだ、夜が明けていない。風景がまるで違う。僕は森の中にいた。そこは言葉のない村だった。だから、とても静かだ。村で人が一人死ぬと、種を一つ植える。その種から一人生まれる。だから、人数は変わらない。何人か知らないけれどね。村人には性がない。男女の区別がない。とても静かな人たちだ。彼等は森の精を呼吸して生きている。一人一人が小さな穴で生活している。言葉に代わるのは瞳だ。互いに瞳を覗き込んで相手を知る。分かると、瞳が青に変わる。いつもは白だ。瞳には青と白しかない。
 森には清流がある。彼等は裸で向かい合って、青と白の瞳で交流する。村には見えない動物がいる。動物も声を失っている。村人の手が動物を撫でている。時々、僕の側を風のように通りぬけていく。

 私と太郎は裸で向かい合っている。やがて眠る時間が来る。

           2008/08/10(日) 

言魂(第三信 老人が生き延びる覚悟)  石牟礼道子・多田富雄著

2008-08-10 11:16:16 | 読書
老人を取り巻く環境は厳しい。後期高齢者医療制度、年金制度。病院は老人達であふれている。私もその一人だ。政治は、医療費削減のためには何でもありだ。確かに老人が生き延びる覚悟が必要だろう。リハビリの打ち切りによって亡くなられた鶴見和子さんの短歌は悲痛である。
政人(まつりごとびと)いざ事問わん老人(おいびと)われ、生きぬくみちのありやなしやと
寝たきりの予兆なるかなベッドより 起き上がることのできずなりたり
この章で使われる「トポス」という言葉は単なる「場所」という意味ではなさそうだ。手強い言葉である。姉性を母のような超絶対存在でなく、最も身近な存在としての優しさ。と説明する。それが石牟礼文学のまなざしだとも。石牟礼文学は一つも読んでいないが、第二信を繰り返し読むと分かる気がする。

時の廻廊 65(最終回)

2008-08-10 09:06:26 | 創作日記
 時の廻廊

 「時の廻廊」は完結しました。左のリンクをクリックして下さい。沢山の方に読んで頂いてありがとうございました。感想を期待しています。右クリック、対象をファイルに保存で、ダウンロードも出来ます。
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時の廻廊 64

2008-08-10 08:38:28 | 創作日記
 時の廻廊

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