創作日記&作品集

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人間の建設 6 岡潔・小林秀雄対談

2010-05-05 14:31:46 | 読書
○人間の生きかた
小林 私はいま「本居宣長」を書いていますが、あなたのおっしゃる情緒という言葉から、宣長の『もののあわれ』の説を連想するのですが。これはやはり情緒が基だという説なんです。
小林 わからんでしょうな。わかれば書きませんね。
岡 そうでなければ、読む人は企みに踊らされているような気がするでしょう。
小林 方向だけは決まりますが、やれるかどうかはわかりませんね。
岡 きっと本当のやり方はそうなると思います。

対談のテープをおこした人はすごいと思います。読むと会話が聞こえてくるようです。そして書き写すのもとても気持ちがいいのです。茂木健一郎さんが音読が気持ちいいと言っておられるのも共通していると思います。私は校正に読み上げソフトを使っていますが、ほとんど間違いなく読み上げてくれます。これも関係していると思います。

小林 私は人というものがわからないとつまらないのです。だれの文章を読んでいても、その人がわかると、たとえつまらない文章でもおもしろくなります。
実際一人の人というのは不思議なものです。
岡 トルストイは端まで一目で見渡される町に似ている。一目でわかるものを歩いてみる気はしない。
小林 そういうことはありません。トルストイも偉いです。

二人のトルストイの評価が対立します。そうすれば評価するほうの意見に耳を傾けます。

岡 数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです。行き詰まるから発見するのです。

私はいつも行き詰まりぱなし。